自転車シェアリング:72自治体導入も…利用広がらず

毎日新聞 2015年04月02日 15時00分

 自転車をカーシェアリングのように共同利用する「自転車シェアリング」を本格導入している自治体の9割で、1台当たりの利用が1日1回に満たないことが、国土交通省の調査で分かった。1台の平均利用回数は1日0.4回で、1台の自転車が2日に1回も使われていないことになる。導入が進んでいる欧州の都市に比べ、本格的なシェア(共有)が実現していない現状が浮き彫りになった。

 自転車シェアリングは、自転車を置く拠点(ポート)を各地に作り、貸し出しや返却ができる仕組み。公共交通機関の補完や温室効果ガス削減などを目的に欧米で先行導入されている。

 国交省によると、国内では2010年ごろから「コミュニティサイクル」「シェアサイクル」などの名で各地に広がり始めた。13年には超党派の国会議員連盟が普及策を提言。東京都も20年の五輪に向けて推進している。14年11月現在、全国72市区町村が自治体直営や民間委託の方式で本格的に実施し、ほかに51都市が導入を検討しているという。

 しかし、国交省が72市区町村の利用状況を調査した結果、回答した64都市のうち、1台当たりの利用が1日1回を超えていたのは札幌、金沢、川越など8市だけだった。最高は岡山市の3・3回だが、パリ(6回)やニューヨーク(8回)などを大きく下回った。

 採算については35自治体が回答したが、14年4〜9月の平均利用料金収入は支出の46.5%にとどまり、自治体の予算で赤字補填(ほてん)をしているケースが多いという。

 国交省はポートの場所が駅やバス停から遠く、使い勝手が悪いことなどが背景にあると指摘。担当者は「行政が赤字補填してでも導入すべきかは今後の検討課題。利用度を高めるため、現状を詳しく分析したい」としている。【大迫麻記子】

 ◇自転車シェアリングをしている自治体

(昨年11月現在、国土交通省調べ)

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