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CAREER LAB機械設計者じゃなくても知っておくべき「ネジの適材適所」

機械設計者じゃなくても知っておくべき
「ネジの適材適所」
CATEGORYコラム
DATE2015/04/02
皆さんも一度は経験があると思いますが、家電製品などを分解/組み立てした時、ネジが余ったりしませんでしたか?
実はネジは、使用する場所や材料によって、どのようなネジを使用するのか決まっているのです。それを理解するとネジをなくすことが少なくなります。

本コラムではものづくりエンジニアなら当然知っておくべき「どんなものに、どんなネジが使われているのか」を紹介します。
製品開発時は試作品のバラシと組み立てを頻繁に行うはずです、そのため機械設計者だけではなく回路設計者も知っておくべき情報です。
機械設計者じゃなくても知っておくべき「ネジの適材適所」

理解しておきたい ネジの特徴

寸法、形状はJIS(Japanese Industrial Standards)規定がありますがよく使用されるネジに対して特徴と用途を理解すれば余ったりすることも減ると思います。ネジは「鍋ネジ」、「サラネジ」、「バインドネジ」、「Wセムス」がよく使用されています。それでは各ネジの特徴をまとめていきます。
鍋ネジ
鍋ネジ
鍋を逆さにしたような形状で多くの場所で使用されている安価なネジです。
サラネジ
サラネジ
上面が平らで横から見るとお皿のような形をしています。ネジを締めた時にネジ頭が出ないように平らになっています。

サラネジと受け側の形状が完全に一致しないため振動によって緩みやすい欠点があります。緩んでもネジが外れない場所によく使用されます。
バインドネジ
バインドネジ
鍋ネジに似ていますが、鍋ネジよりネジ頭の径が大きくなっています。鍋ネジより広い面積に対して締結トルクをかけることができます。
Wセムス
Wセムス
鍋ネジに対して最初からスプリングワッシャーとワッシャーを組み込んであり作業時間を短縮できます。
一般の製品にはこのようなネジを使用しています。では、続いて「どこにどのようなネジを使用しているのか」を考えてみましょう。

用途によって異なるネジの種類

例として、DVDプレーヤーなどの家電製品を想像してください。まず外装ですがシャーシに対してトップカバーをネジ止めしています。ここは見栄えよくしなければいけないところですのでワッシャーを使用しない「バインドネジ」を使用します。製品によっては黒い「バインドネジ」かもしれません。

このネジを外すとトップカバーが外れます。今度は内部ではDVDの機械部とプリント基板が入っています。まず機械部ですが金属同士の締結なので鍋ネジが使用されています。
プリント基板では基板自体がやわらかいのでワッシャーと「鍋ネジ」を使用しますが、ここでは作業性を考慮し、「Wセムス」を使用しています。

今度は製品の裏面ですが、シャーシに対してネジ頭が飛び出ないように「サラネジ」を使用しています。このように使用する場所によってネジの使い分けをおこなっています。

これらが分かってくると組み立ててもネジが余ることは減っていくのではないでしょうか。

適した場所に適したネジを

その他、自動車のように安全性を考慮しなくてはいけない製品に使用する「ネジの頭に数字が入っているボルト」などが存在します。これは使用する箇所に対しての締めつけトルクが刻印されており、ボルトもそのトルクに対応できるものを使用しなければなりません。(同じサイズのボルトで標準ボルトと高張力ボルトがありますが、高張力ボルトの規定値で締め付けると標準ボルトは折れてしまいます)

つまり使用する製品、場所、用途により適正な強度を持ったネジやボルトを使用しないといけません。ましてや航空機や自動車など、使用するネジを間違えるとネジが折れたり、緩んだりと重大な事故に繋がります。ネジの性質を理解し製品設計に生かしていきたいですね。

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