大震災4年:八戸から米国に漂着した鳥居 夏にも返還

毎日新聞 2015年04月03日 06時00分

流出した鳥居のあった厳島神社を訪れた(左から2人目から)ブルームCEO、高橋政典さん、内山貞文さんら。現在の鳥居は震災後に立て直された=八戸市鮫町で
流出した鳥居のあった厳島神社を訪れた(左から2人目から)ブルームCEO、高橋政典さん、内山貞文さんら。現在の鳥居は震災後に立て直された=八戸市鮫町で

 東日本大震災の津波で青森県八戸市の大久喜漁港の厳島神社から流され、米国西海岸のオレゴン州に漂着した二つの鳥居を保管している米側の関係者が2日、同市を訪れ、早ければ今夏にも鳥居を返還する意向を示した。震災から5年となる来年3月をめどに、鳥居を復元する方向で検討するという。

 2013年にオレゴン州に漂着したのは、鳥居の上部の「かさ木」と呼ばれる部分二つ。同州の「ポートランド日本庭園」の学芸員の内山貞文さんらが、流出元の神社の特定に奔走し、鳥居に書き込まれた奉納者の名前などから厳島神社が特定された。かさ木は同市の元漁師、高橋利巳さん(85)と、無職、高橋政典さん(67)の父親が奉納したものだった。

 2日に八戸市を訪れたのは、内山さんや同庭園のスティーブ・ブルーム最高経営責任者(CEO)ら6人。八戸市役所で政典さんらと返還について協議した後、小林真市長を表敬訪問。厳島神社も訪れた。

 小林市長は「返還がまとまって大変うれしい。市としても全力でサポートしたい」と話した。ブルームCEOは「夏の終わりまでにはかさ木を日本に送り、来年3月に向け再建できればと考えている」と述べた。政典さんは「予期しなかった話で本当に感謝したい」と語った。【塚本弘毅】

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