ルフトハンザ航空の最高経営責任者(CEO)、カルステン・シュポア氏は先週、ケルンで報道陣を前にしたとき、疲労困憊(こんぱい)しているように見えた。旅客機のパイロット免許を持ち、普段は自信に満ちているシュポア氏は、子会社ジャーマンウイングスの従業員が故意に飛行機をフランスの山腹に墜落させたもようだというニュースを理解し始めていた。
48歳のシュポア氏は、マレーシア航空の2度の悲劇が乗客の信頼崩壊と予約激減につながるのを見た後だけに、今回の大惨事に対する自らの対応が今後何年もルフトハンザのイメージを決定づける可能性があることを知っていたに違いない。
ドイツの名門フラッグキャリアで売上高で欧州最大の航空グループであるルフトハンザは4月、創業60周年を記念する予定だった。ところが今、祝賀行事はキャンセルされ、従業員はその代わりに、搭乗者150人が全員死亡した旅客機墜落事故の犠牲者のための追悼式のテレビ放送を見ることになる。
シュポア氏は事故後すぐに犠牲者1人につき最大5万ユーロの一時金を家族に支払うことを約束し、ルフトハンザと契約している保険会社各社は近親者への賠償金を含め、墜落関連の全費用を賄うために合計3億ドルを引き当てた。
シュポア氏が先週の記者会見で述べたように、同氏にとって目先の金銭的なコストはごく小さな懸念でしかない。だが、ルフトハンザの評判に対する潜在的なリスクの現実から逃れることはできない。
シュポア氏は公の場に姿を現した場面でおおむね確かな対応を見せ、今回の悲劇をどの航空会社でも起こり得た異常事態として扱おうとしてきた。同氏は先週、「私は当社のパイロットに全幅の信頼を寄せている。彼らは今も世界最高だ」と述べた。
とはいえ、ルフトハンザはあまり時間を置かずに、コックピットに人が常時2人いることを義務づける米国の安全基準(欧州では実施されていない措置)を採用すると発表した。
ハンブルクに本拠を置く航空問題や危機管理の専門家、ハインリヒ・グロスボンガルト氏は言う。「このひどい状況への(シュポア氏の)対処の仕方にはかなり感心している。起きたことに本当に心をかき乱されている様子を表した。それは航空会社に対する信頼を高める助けになる」
だが、ルフトハンザはアンドレアス・ルビッツ副操縦士の深刻なうつ病の病歴を一見して知らなかったことで批判された。3月31日、ルビッツ氏が電子メールでルフトハンザ系航空学校に自分の健康状態について報告していたと同社が認めると、問題は一段と深刻になった。
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