人をうらやんだりしないのなぜかな

こんにちは、ぱぷうです。
村上さんには肩こりや二日酔いがないそうでうらやましい限りです。
おまけに嫉妬したこともないとこの質問回答コーナーで見ましたが、嫉妬心というのは文学を成り立たせる大切な要素のひとつと思います。
村上さんが好きな漱石にも嫉妬が主要モチーフと思われるものがありますし。
そこで変な質問ですが、小説家として嫉妬を感じないことで悩んだりしませんでしたか。
(ぱぷう、男性、53歳、会社員)

うーん、とくにそのことで悩んだ経験はありません。たとえ嫉妬がなくても、人生には他にもずいぶんいろんな種類の重荷があります。ひとつくらい減っても増えても、そんなに違いはないんです。それにみんなと同じことを同じように感じていたら、みんなと同じような小説しか書けません。小説家にとっては「他の人と少し違う」というのもひとつの大事な財産なのです。世の中に同じような小説ばかり溢れていたらつまらないでしょう?

でも「嫉妬がない」というのはけっこう精神的に楽かもしれないです。あれって、あるとつらいですよね。僕は生まれてこのかた、ほかの誰かをうらやましいと思ったことって一度もないんです。べつに自分に自信があるわけじゃないんだけど、劣ったところが自分にたくさんあることはわかっているんだけど、それでも人をうらやんだりはしない。なぜかな?

村上春樹拝