中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーへの申請が3月31日に締め切られた。参加は約50カ国に上った。

 当初は主要国は参加表明しておらず、3月初旬の段階では参加は27カ国程度だった。潮目が変わったのは、3月12日の英国の電撃参加表明だ。これに続いてドイツ、フランス、イタリアが相次ぎ参加を表明。米国との板挟みで揺れ動いた韓国も26日に参加を決めた。28日にはロシアやブラジルも参加を発表した。

 G8(主要8カ国会議)メンバーの半数以上がAIIBに参加する中、日本は米国とともに最後まで慎重姿勢を崩さず、創設メンバーとしての参加を見送った。

欧州やロシア、ブラジルはなぜ参加に踏み切ったのか

 ではなぜ欧州を始めとする国々がAIIB参加を決めたのか。

 アジア開発銀行(ADB)の試算によると、今後10年間で、アジアを中心とした新興国開発では8兆ドル(約960兆円)の投資が見込まれる。各国とも、中国主導というリスクはあるものの、そこから生まれる巨大な果実を手にする権利を得る道を選んだのだ。

 新興国開発においては米国主導の世界銀行や日本が主導したADBがあるが、必ずしもうまく機能してきたとは言えない。そこに登場することになったAIIBでは資本金500億ドル(約6兆円)でスタートし、1000億ドル(約12兆円)にまで増資する計画だ。AIIBはインフラ開発を主眼においており、人道支援を中心に開発を行う世界銀行やADBとは、投資の進め方も異なる。

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