勉強や仕事をがんばって成功を目指しているのは、その先にある「幸せ」のため。
そんな誰もが信じてきたその法則が、実は逆だった・・・!?心理学者のショーン・エイカーは私たちが知らなかった「幸福と成功の意外な関係」をTed Talksで語った。
成功が「幸せ」をつくることは不可能で、むしろ「幸せ」が生産性や能力を向上し成功に導くのだという。彼のスピーチをまとめると、こういうことだ。
1. 脳の考え方次第で、世界が変わる 世界を見るレンズ(脳)を変えることができれば、当然世界が変わってくる。だから、考え方がポジティブになれば、世界はポジティブに変わる。 2.成功しても幸せにはなれない。しかし、幸せだと成功しやすい。 いくら成功しても、また次のゴールがでてくるだけで幸せには一向になれない。ただ、いつもポジティブな気持ちで幸せがいっぱいだと、パフォーマンスがあがり、成功しやすくなる。 3. 毎日2分、21日間感謝すれば、あなたの世界は変わる 直近の24時間で何が起きたのか?その中でもっとも感謝したいことを3つ書くこと。シンプルなことだが、これによってあなたの頭は感謝の気持ちに変わり、ポジティブになる。
ここからはユーモアたっぷりのスピーチを見ていこう。
現実の世界は、
脳によって作り上げられている
ニュースをつけると、殺人事件、贈賄、病気、自然災害についてばかり・・・。その時、私の脳は素早く考え、世界はネガティブなことで溢れているんだと思いこんでしまいます。これは、医学学校1年目に、さまざまな症候群や病気のリストを読んでいくうちに、突然自分がその症状や病気であるかと思ってしまう医学部症候群と同じことです。
脳というレンズを通してみる世界が、私たちの現実を形作っているのです。つまりそのレンズを変えることができれば、自分の幸せの感じ方を変えられるだけでなく、勉強や仕事のあらゆる成果も同時に変えることができるのです。
ハーバードにいるからといって
幸せではない
私はハーバード大学で、学生カウンセラーをしていました。そこで気付いたのは、みんな幸せではなかったということ。始めはハーバード大学に入れたという成功で、幸せを感じていても2週間もすれば脳がそれに慣れ、膨大な量の課題や競争、ストレス、そして不満に集中してしまっていました。
私の友だちがハーバードを訪ねてきた時、私にこう言いました。「ショーン、ハーバードで幸せの研究なんかしても無駄なんじゃない?ここにいて、不幸を感じる人がいるなんて、信じられないよ」と。
この質問には、幸福に関する鍵が隠されていました。彼は、人の幸せはその人を囲む環境から想定できると思っていたのです。でも実際は、取り囲む環境をすべて知っていたとしても、その人の幸せを、10%程度しか想定できないのです。あとの90%はまわりの環境ではなく、自分の脳がどう考え、受け止めるかによっているからです。
成功しても幸せになれない
しかし、幸せだと成功しやすい
この3年間で私は45ヵ国を旅し、業績が悪くなってしまっている学校や会社を変えるために働いてきました。そのうちのほとんどが、「働けば働くほど成功する。成功していればしているほど幸せになる。」という方程式にのっとっていました。
これはほとんどの教育やマネジメントの動機付けの基礎となっている考え方です。問題は、この方程式は科学的に間違っているということです。
人は、成功を経験するたびに次のゴールをつくっていきます。いい成績をとったなら、今度はもっといい成績を取らなくてはいけなくなる。いい仕事についたのなら、次はもっといい仕事につかないといけない。セールスのゴールを達成したら、今度は別のゴールを達成しなければいけなくなる。だからもし幸せが成功の向こう側にあるのだとしたら、あなたの脳が幸せにたどり着けることは決してないのです。
私たちは「幸せになるためには、成功すべきだ」と考えています。でも、脳はその逆の働き方をするものなのです。成功しても幸せになんてなれないんです。でも、幸せな気分だと成功しやすいのです。幸せな気分とはつまりポジティブなこと。
ポジティブな状態の脳は、ネガティブな状態の脳よりも大幅に良いパフォーマンスを出すことが、研究でも分かっているからです。
つまり現状に対して、ポジティブに考えることができれば、私たちの脳はもっと効率良く力を発揮するのです。そしてその結果として成功することも増えるのです。
脳がポジティブなときは、ドーパミンが増加します。幸福感を引き起こしてくれるだけでなく 、脳のあらゆる学習機能をオンにしてくれます。
毎日2分、21日間感謝すれば
幸せになる
ではどうすれば脳をポジティブにできるでしょうか。実験の結果、一つの答えが見つかりました。毎日たった2分、21日間つづけることで脳をポジティブに、そして効率よく使えるようになる方法があります。
毎日、感謝していることを3つ書く。たったそれだけ。それを21日間継続するのです。21日後には、世の中をポジティブに捉えようとする考え方が身に付いているでしょう。
直近の24時間で起きたポジティブな出来事の日記をつけると、脳がそれをもう一度経験することになります。繰り返しの練習が、ポジティブな考え方を脳に教え込むのです。
それから、まわりに感謝を伝えましょう。例えばメールを開くたびに、いつも支えてくれている誰かに感謝の気持ちを送るようにするなど、です。
私たちが体を鍛えるように、ポジティブな脳を鍛えることで、幸せになり、成功できるようになるのです。脳を少し変えるだけで、あなたの人生に革命を起こすことができるのです。
Reference:Ted Talks