自民党の原子力政策・需給問題等調査会(額賀福志郎会長)は2日の会合で、2030年の望ましい電力源の構成に関する提言案を大筋で了承した。安定的に発電できる原子力、石炭火力、水力などベースロード電源の比率を全体の6割程度にするよう求めた。電力料金の引き下げにつなげる狙いだが、原発への依存度や環境負荷の低減をめぐり異論も噴出した。
額賀氏は来週にも安倍晋三首相に提言する考え。経済産業省の議論もふまえ、政府内で原子力や太陽光など詳細な電源構成の議論が加速する見通しだ。30年の望ましい構成は、年末の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に向け、政府が温暖化ガスの削減目標を決める前提にもなる。
提言案は11年の東日本大震災後にふくらんだ電力コストを「震災前に回復させることを目指し、可能な限り現在の水準よりも低下させる」とした。そのため「安価で安定的に供給されるベースロード電源の比率を6割程度」にするよう求める。家計や中小企業の負担軽減につなげたい考えだ。
震災前の05年度にベースロード電源のうち原子力は31%、石炭は26%、水力は8%で6割超を占めた。震災後に原発が止まり、13年度は原子力が1%、石炭が30%、水力が9%で4割に下がっている。石油や液化天然ガス(LNG)による発電が増え、家庭や企業の電気料金は上昇した。
温暖化ガスの排出量も増え、13年度は二酸化炭素(CO2)換算で13億9500万トンと過去最大となった。20年以降の温暖化ガスの排出削減目標を国連に提出できていない。提言案はCO2排出量の「大幅な削減」も求めている。
2日の党会合ではベースロード電源の「6割程度」という数字を「落とすべきだ」といった意見もあった。河野太郎氏らは党本部で記者団に「国際的にベースロード電源の比率は下がっていく」と訴えた。石炭火力の比率が高まることへの懸念もある。
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