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 第2次世界大戦後、旧ソ連が現在の北朝鮮に設置した収容所で死亡した日本人とみられる869人分の名簿を、ロシア政府が日本に提供していたことがわかった。菅義偉官房長官が2日の記者会見で明らかにした。厚生労働省のウェブサイトで近く公表し、情報提供する方針という。

 厚労省によると、提供されたのは2006年。北朝鮮の興南地区に設置された「第53中継収容所」で40年代ごろに亡くなった軍人・軍属や民間人についてロシア語で記載されている。名前のほか死因や埋葬日、埋葬場所なども記録されているという。

 同省は旧ソ連の抑留者のうち、約4万7千人が北朝鮮や旧満州などに移送されたとみる。しかし、その後の状況は不明な点が多く、この名簿が新たな情報を得る手がかりになる可能性がある。

 同省はこれまで名簿の提供を受けたことを公表していなかったが、遺族から照会があれば記載内容を知らせていたという。菅氏は会見で、「出来るだけ国民に公表すべきだと判断した」と述べた。(中村靖三郎)