入居を希望した京都市のアパートが「外国人不可」のため、賃貸契約できなかった欧州出身の20代の留学生が、法務省の京都地方法務局に外国人差別だとして救済措置を求めたところ、法務局は「人権侵犯の事実があったとまでは判断できない」と退けた。
【外国人入居拒否】 法務局、人権侵犯認めず アパートの「外国人不可」 仲介の大学生協は謝罪 : 47トピックス - 47NEWS(よんななニュース)
というニュースがありまして。
はてブでは「これは差別だ」「いや大家の契約の自由が」と真っ二つに分かれています。
私の感覚だと、まあアウトに近いんじゃないかなあ、と。
判例があります
実は、国籍差別での賃貸入居拒否については判例があります。
認定の事実関係によれば、本件賃貸借契約は、X2が日本国籍でないことを理由に、Yが賃貸しないこととしたのであるから、Yは、X2に対し、不法行為に基づき、損害を賠償する責任を負うものというべきである。
不動産適正取引推進機構 紛争事例データベース
ということで、損害賠償110万円という判決でした。
ですから、「外国人を拒絶する事は、大家にとって経済的に合理性がある」という人はこの訴訟リスクを織り込んでからもう一度ご回答いただければな、と思います。
……えーと。
ごめんなさい、リスクがあると書いたのはウソです。
このケース、当時の報道では私の記憶だと韓国籍の弁護士さんだったと思います。留学生が異国の地で訴訟をしてくるリスクはほぼゼロです。そんなすげえ奴めったにいませんよ、100%泣き寝入りです。安心してどうぞ。
ところで、この部分だけ読むと「契約の最後の審査で拒絶したからダメなんであって、事前に表示してればいいんじゃないの?」と思うかもしれません。
実は、この訴訟は仲介会社に対しても「外国人不可なのかどうか調査する義務を怠った」と賠償請求をしていたのですが、これは通りませんでした。
その理由がこちら。
そのような注意義務を負わないと解するのが相当である。賃貸マンションの所有者が、もっぱら入居申込者の国籍を理由に賃貸借契約の締結を拒むことは、およそ許されないからである。
不動産適正取引推進機構 紛争事例データベース
「そもそもそんな大家の存在は許されないので気にしなくてよろしい」ということです。全国の生協さん、道理のわからん大家がいたらこの判例をかましてくださいね。
保証会社を使いましょう
調べたらこんな制度が。
京都地域留学生住宅支援機構に加盟する大学が、制度に賛同する協力事業者と協力して留学生を支援する制度です。連帯保証人がいない京都地域の留学生が「連帯保証人不要」で住宅確保ができるように支援しており、その機構事務局を大学コンソーシアム京都が運営しています。
京都地域留学生住宅支援制度(事務局・留学生窓口運営) | 公益財団法人 大学コンソーシアム京都
協力業者を見ると、普通に大家さんも参加してるんで、この辺の努力もしないで「留学生はリスクがあるから差別は合理的」とか言ってたら地雷大家っぽいかなあ、と。
留学生OKの保証会社もあるんでそこを使ってみるのもいいかも。
緊急連絡先の対象者
日本セーフティー株式会社
お身内の方
留学生の場合、日本国内に居住の日本語が話せる方
ただ、まあ、これは留学生に限らないんですが、学生借主だと親を連帯保証人に取る保証会社もあって、*1
学生、未成年の場合は、親権者を連帯保証人とします。
家賃滞納対策や家賃保証(セキュアレントシステム)はジャックス
留学生だと特に厳しいよなあ、と思います。
もちろん社会正義の問題もありますが、「外国人不可」とかやって恥じない地雷大家をいちいち撲滅するよりも留学生の選択肢を広げられるようにしてあげた方が、現実の対策としてはいいのかな、なんて思います。
もしかしたら、その大家さんも今頃「マッサン」を見てすっかり心を入れ替えてるかもしれないですしね。
なんでまあ、難しいのかもしれないですが、法務省は生協に啓発をするよりも保証会社あたりになんか働きかけをできなかったのかなあ、などと思うところです。
追記
貼ろうと思って忘れてました。
住宅:外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について - 国土交通省
各言語で日本での部屋の使い方とかも書いてあるので、この辺を活用してみるのもいいと思いますよー。
*1:「連帯保証とるなら保証会社いらないじゃん」と思う向きもあるかと思いますが、親世帯の家計がこけると学生世帯も一緒にこけることが多いので