異性の存在を気にすると成績が下がる!?
公立小学校で広がる「男女別学」の動き
- 男子だけが学ぶフロリダ州の小学校のクラス
フロリダ州のチャールズ・ドリュー小学校のある教室を覗くと、ピンク色の小物が置かれ、「いつも上品に!」という標語が掲げられている。その隣の教室を覗くと、壁にはレーシングカーやアメフト選手の写真が飾られている。どちらも3年生の教室だが、前者の児童は女子のみ、後者は男子のみだ。
米国では近年、特に貧困層の多い地区の公立小学校で「男女別学」が増えている。
学びかたや行動は男女で異なり、別学のほうが、成績や素行が良くなるという説が注目を集めているのだ。
米教育省によると、現時点で完全な男女別学を実施している学校は850校、一部導入している公立校は750校に上る。別の団体による推計では、05年度に完全な男女別学を導入していた公立校は34校だけだった。
男女別学を支持する人たちは、男子は読解力で女子に劣ることが多く、素行不良に陥りやすいと指摘する。また、女子は理系分野が男子に比べて苦手で、別々に学んだほうが有益だという。さらに、どちらにとっても異性の存在が、気が散る原因になっていると語る。
一方で反対派は、子供を性別で分けることは、それぞれの性別に対する固定観念や偏見を助長すると警告する。
過去の研究で、男女別学が学業成績を大きく向上させると示すものは見当たらない。だが、実際にチャールズ・ドリュー小学校のある地域では、男女別学の教育を受けている児童の約4分の3が読解や算数のテストで点数を上げた。また、いじめや素行不良といった問題も大きく減少しているという。
from USA 「ニューヨーク・タイムズ」(英語)
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[courrier-japon 2月号 P64]