(山岸広報課長)男は湊哲郎33歳。
女は中村里香24歳。
湊哲郎は警視庁警務部人事第一課勤務。
(記者達のざわめき)中村里香は会社員。
現場は都内品川パレスシティホテルの一室。
死亡推定時刻は昨夜の午後9時から11時の間。
男女とも剃刀によって頚動脈を損傷。
それが致命傷となった。
諸々の捜査の結果心中と思われる。
心中ですか?
(山岸)そう。
(奥寺美和子)覚悟の心中ですか?
(山岸)なにが?納得ずくだったかということです。
それとも無理心中の可能性も…。
(山岸)それは今後の捜査待ち。
以上。
ちょっと待ってください!もうちょっと詳しく!
(足音)
(小松刑事)特命係ですかね?
(角田課長)そうみたいだね。
(大木刑事)ピルイーターが何の用ですかね?あいつらまた何かやらかしたか〜?
(大河内監察官)ここが噂の“陸の孤島”ですか。
その節はどうも。
(亀山薫)あ…。
あー頭が痛い。
はい?頭痛ですよ。
あ…。
もちろん頭痛の種はあなた方。
(薬を噛み砕く音)お元気そうですね。
(杉下右京)ええ。
お陰様で。
あの…何かご用ですか?随分…ご活躍のようですね。
は?“島流し”以降15件の事件を解決に導いていらっしゃる。
…ずっと俺たちを監視してたんですか?警察官の不正や不祥事に目を光らせるのが私たちの仕事の1つですからね。
不正や不祥事ですか…。
勝手に捜査に参加なさるのはいかがなものかと思いますよ。
警察組織の規律を甚だしく乱すことになる。
あなた方の行動は当然のごとく懲戒の対象になるものだ。
その資料はその証拠として採用されるのに十分だ。
だから何すか?また聴聞会ですか?
(噛み砕く音)あなた方を…評価してますよ。
えっ?公式には手柄はすべて管轄部署のものになってますがお二人がいなければ事件は解決できなかったでしょう。
評価してます。
あくまでも個人的にですよ。
しかし上は絶対に評価しません。
杉下警部。
(大河内)上はあなたのことがとてもお嫌いなようですよ。
承知しています。
あなたが事件を解決すればするほど疎ましく思うようです。
理不尽なようですが人間社会とはそういうもの。
理屈よりも感情が優先されることが往々にして…。
よろしいですか?何でしょう?ご用件は何でしょうか?そうっすよ。
もったいぶってないでスパッと言ってくださいよ!聴聞会に出ろと言うなら喜んで出ますよ。
亀山君。
聴聞会の呼び出しならば電話で済みます。
わざわざここへいらっしゃる必要はない。
あ…。
だったら何すか?あなた方の…力を貸してもらいたい。
…は?力?ええ。
俺たちの?そう申し上げてます。
個人的に…ですか?
(内村警視長)無理心中ですか…。
(村井総務部長)どうやらそのようですよ。
そうだね?
(山岸)そういう報告が上がってきてます。
(中園警視正)無理心中だとするとどちらがどちらを道連れに?
(山岸)男のほうが女を道連れにしたようですな。
となるといささか厄介だな。
(中園)はい…。
湊哲郎というのはどういう人物だったんですか?
(阿部警務部長)どういう人物だったの?
(坂本人事第一課長)仕事は真面目。
優秀な監察官でした。
こっちのほうはどうだ?えっ?仕事は真面目でも下半身は不真面目だったとか。
(下卑た笑い)特にそのような傾向は見受けられませんでした。
しかし既婚者でしょ?はい。
えーと…平成10年に結婚してます。
子供はありません。
つまり不倫関係の女を道連れに自殺した…そういうことか?まだ無理心中と決まったわけではありませんから。
だとしても警察の人間…それも監察官が不倫をしていたという事実は非常に具合が悪いねえ。
その上無理心中だとしたらこれは一大スキャンダルだ。
警務部長あんたの責任問題にも発展しかねない。
ま…あまり杓子定規に考えず心中は心中ということでよろしいんじゃありませんか?むろん不倫もそれから心中も現職警察官としては道義的責任を免れないでしょうがあくまでもプライベート。
これがひとたび無理心中…女を道連れにってことになると…。
刑事部長いろいろとお宅の手も煩わせなければなりませんしね。
殺人ですからなあ…。
殺人か…。
被疑者死亡のまま送検という事態も…。
うまくないなあそれは!もちろん身内のことですから事を荒立てたくはありませんが…。
心中は心中…ですか。
無理心中も心中のうち…。
この際細かい所には目をつぶるということでいかがでしょう?
(薫)心中じゃない?奴が女と心中するとは思えない。
でも記者発表は心中だって…。
(大河内)ほぼ間違いないだろうということです。
しかしあなたはそうじゃないとおっしゃる。
ええ。
その根拠は何ですか?湊は私の部下です。
腹心の部下と言っていい。
自殺なんかするような男じゃないしましてや…。
心中などなさらない?…はい。
要するに確固たる根拠はないっていうことですよね?調べていただけませんか?
(薫)お断りしたらどうなります?どうなるとおっしゃいますと?聴聞会ですか?俺たちの懲戒処分を検討…。
ハッ…そんなこと思ってもみませんでしたがもしもそれが有効ならばそうさせていただきますよ。
しまった…。
(携帯電話)すみません。
はい大河内。
うん…うん…そうかすぐ戻る。
(湊杏子)このたびは…本当に申し訳ないことをしてしまって…。
…よしましょうよ。
私に謝られてもしょうがない。
それにあなたの責任じゃない。
(噛み砕く音)ご迷惑を…おかけしました。
座ってください。
1年ほど…前でした。
浮気の兆候が…見えはじめて…。
他に女をつくるなんて…思っても…。
主人は…いつ戻りますか?まもなくだと思いますよ。
(監察医)無理心中ですよ。
無理心中?剃刀の刃は後方から前方へ引かれたようですね。
女性のほうは自分でつくった傷ではないと思います。
つまり別の人間が切った。
ええ。
ですから…。
無理心中?検案書にはそのように意見を添えておきました。
(米沢鑑識官の声)直前女は窓辺に立ち夢見心地で夜景を眺めている。
がしかしそこへ死を決意した男が迫る。
もはや死の虜となった男はなんのためらいもなく女の首筋を…!女は一巻の終わり…。
続いて男は靴紐を引き抜く。
そしてこの世で添い遂げられぬのならばせめてあの世では必ずと己が小指と女の小指をしっかりと結びこの世の名残りのつもりであろうかもはや色を失った女の唇に唇を重ね…。
えっキスしたんですか?してほしいですね。
はっ?希望的観測です。
心中とはかくありたい。
美しくそしてはかなくありたいものですからね。
あの…なるべく脚色は抜きに…。
努力します。
ま名残りのキスがあったかどうか定かではありませんが…女と並んで横たわった男は女の命を奪ったその刃をやおら己が首筋に当てやがて一思いに…!男も一巻の終わり…。
かくて無理心中全巻のお終い。
…お粗末さまでした。
いえ臨場感があって非常に結構でした。
「講釈師見てきたような嘘を言い」…。
えっ?私もその場にいたわけではありませんが現場の状況遺留品その他を総合的に判断してその時何が起こったかを再現して講釈しました。
当たらずとも遠からずだと思いますが。
湊さんはご自分で首筋をお切りになったんですね?
(米沢)…と思います。
(ドアの開く音)イタッ!特命係の亀山でーす!
(伊丹刑事)クッ…!へへヘッざまあ見ろ!特命係の亀山だよ!悪いかバーカ!何だとこの野郎!
(三浦刑事)特命係の杉下警部。
“特命係”は結構。
どうしてこんな所であなた方と会わなきゃなんないんでしょうね。
さあどうしてでしょう?意外とご縁があるのかもしれませんね。
あの…何かご用で?ああ…。
心中したって監察官…名前何だったっけ?湊哲郎さんです。
そうそう湊…。
余計なお世話ですよ!失敬。
でその湊って監察官と女…女は何て名前だ?
(三浦)えっと…。
中村里香だ。
ああありがとう。
って…うるせーよ!この野郎…!こりゃ失敬。
ヘヘヘ…。
おいテメェらまたなに嗅ぎ回ってんだよ?ベーつにぃ〜?しらばっくれてんじゃねえぞ?無理心中なんだろ?湊って監察官のほうが女を道連れにした。
まだ非公式情報ですが。
無理心中となりゃ立派な殺人事件だからな。
立件するのか?いけねえのかよ?いえ…いけなくはありませんが…。
殺人事件を黙って見逃すことはできん。
しかしその辺りは穏便にということで先ほど話が…。
だからそういうことでいいのか
(中園)は…?正義の味方の警察がそんなことでいいのかと言ってるんだ!
(薫)どういう風の吹き回しですかねぇ?結構じゃないですか。
身内だからといって隠蔽するのは良くありません。
まそうっすけどね。
はいどうぞ。
サンキュ。
刑事部長と警務部長っていうのは昔から犬猿の仲だからな。
えそうなんすか?ああ。
殺しで立件して警務部長の責任問題にまで発展させようって魂胆じゃねえか。
なるほど…あの人のやりそうなことだ。
ねぇ?どんな理由にせよ都合の悪い事が隠されるよりはましでしょう。
だけど…無理心中でいいんですか?よくないのか?状況的には無理心中なんですけど…ねぇ?けど何だよ?あいや…。
亀山君。
余計なおしゃべりはそれぐらいにしておきましょう。
何だよ?隠すなよ!いつもみたいにまた何か引っかかってるのか?いいえ…別に何も…。
引っかかってるんだろ?いいえ別に何も。
いいえ…別に何も。
ごめんくださーい。
(ママ)1年ほど前だったわねえ…初めてお見えになったの。
1年ほど前?うん。
いらっしゃいませー!
(中村里香)いらっしゃいませ。
お一人様ですか?
(湊哲郎)はい…。
こちらどうぞ。
それからちょくちょく?そうなのよぉ。
里香ちゃんに一目惚れ。
一目惚れですか。
どうもありがとうございます!君も座ったら?失礼しまーす。
(ママ)随分入れ込んで通ってきてたわね…。
そして2人は恋仲に…。
言ったのよ〜!お客さんは適当にあしらわなくちゃダメよって。
個人的に親しくなったらろくなことないでしょって…。
わかってますなんて言ってたけど所詮素人の娘だもんね…。
昼間はOLでしたよね?そうここはバイト。
でママの忠告も虚しく結局デキちゃったわけですか。
うんデキちゃった。
…っていうことになるのかしらねやっぱり?えっ?それはどういう意味ですか?里香ちゃんがすっかり“お熱”だったしそもそもそうなったのは湊さんがさかんに彼女を口説いたからなんだけど…ついこの間よ。
じゃまた来てね。
また来るから。
(ママ)湊さんを送って出た里香ちゃんがなかなか戻ってこないんで私…。
私のこと好きじゃないの?好きだよ…。
だったらどうして抱いてくれないの?警察官だから?不倫はいけない?それとも奥さんが怖いの?ねえその両方だ…。
意気地なし…!まだ肉体関係はなかったってことですか?とっくの昔にデキちゃったと思ってたんだけどね清い仲だったってこと。
なるほど。
いやそんなことがあってまもなくでしょ。
はい?心中なんてねえ…何が何やら…。
男と女ってわかんないもんね…。
ねえ〜。
お飲みになる?いえ結構。
勤務中ですから。
私1杯もらっていいかしら?は?ああ…どうぞ。
うちで一番高いのもらっちゃおう。
えっちょっ…。
領収書出すわよ。
落ちんでしょ?情報提供したんだから売り上げ協力してよ〜!うーん…どう思います?何やらちぐはぐですねえ…。
ですよね?うんちぐはぐ…。
肉体関係もないのにいきなり心中なんて…なんだかなあ…。
この世で添い遂げられぬのならばせめてあの世で…。
は?米沢さんの講釈のとおりであれば清い関係のままであったのだとしても納得できなくはない。
でも積極的に添い遂げたいと思ってたのはどうやら中村里香さんのほうみたいじゃないですか。
湊さんは一線を越えるのを躊躇してた。
だとしたらですよ?無理心中をしかけるのは里香さんのほうが自然じゃありませんか?しかし現場の状況から見てしかけたのは湊さんのようです。
ちぐはぐですよねぇ?ええ。
やっぱり心中なんかじゃないんですかね?心中だよ。
承知してるよ。
それもただの心中だ。
いや無理心中だ。
現場の状況がそれを物語っている。
どうしても立件する気か?俺は正義を貫くよ。
フンッ!そんなことをしても上層部は喜ばないぞ!かまわん。
むしろ迷惑がる。
だからかまわんよ。
上層部からにらまれようが疎まれようがお前のキャリアに傷がつけばそれでいい。
俺はそれで満足だ。
悪いか?とうとう踏み切っちゃったか…。
行くからね。
おう。
ああ美和子。
なに?慎重にやったほうがいいぞ。
何が?…これ。
慎重にって?単なる心中じゃない。
だから無理心中でしょ?まったくとんだ警察官がいたもんだね。
いやだから…。
なによー?無理心中じゃないかもしれないの。
無理心中じゃなかったら何なの?わかんない。
もう…行ってきます!おーい。
忙しいの!何かわかってから教えてちょーだい!おい待てよ。
続きは今夜ねー!これ挙げたの伊丹だぞー。
それだけでも信憑性薄いだろ?
(三浦)さっそく部長のところに上層部からお叱りがきたらしい。
とはいえ大義名分はこっちにある。
部長も珍しく突っぱねたらしい。
しかし根っこは単なる遺恨試合だぜ。
どうなるか見物だぜぇ。
つまんねえ…。
えっ?被疑者が死んじまってっからつまんねえや!まったくやりがいが感じられねえ!
(噛み砕く音)
(電話の音)はい?…わかりました。
いずれにしても会見は必要だ。
不祥事だの何だのとうるさく突いてくるだろうがその辺りはうまくかわしてくれたまえ。
ご心配いりませんよ。
頼むよ。
いずれ刑事部は赤っ恥をかくことになります。
(2人)え?少なくともこの立件は勇み足です。
どういうことかね?どういうことかは…。
まだ私にもわからない…。
なに…?おはようございます。
(右京)おはようございます。
亀山君。
はい?ちょっと見てください。
何すか?ああ現場検証の時の…。
これが何か?冷蔵庫の所です。
冷蔵庫?タンブラーが3つありますね。
ああグラスね…確かに。
この部屋が事件のあった部屋と同じつくりの部屋ですね。
そうですね…。
あの夜湊さんはビールを飲んでいる。
検案書にも「微量のアルコールを検出」とありますね。
でも中村里香さんの体内からはアルコールは検出されてませんよ?彼女は飲まなかった。
たぶん…ですね。
湊さんがご自分で飲むだけならタンブラーは必要ないとも考えられますがご覧のとおりロング缶です。
タンブラーに注いで飲んだとしても不思議はない。
こんな具合に。
ええ。
おそらく彼女にも勧めたのでしょう。
しかし彼女は飲みませんでしたが本来ならばこの状態で十分なはずです。
十分?あの夜この部屋に2人だけしかいなかったとするならばです。
えっ…?しかしタンブラーは3つ。
もう1つ置いてありました。
どういうことでしょうねぇ?誰か他にいたってことですか?そういうことでしょうね。
しかしタンブラーは2つしか備わっていません。
これじゃないですもんね?味気ないですしねえ。
俺は別にこれでも平気なんですけどね…。
湊さんは平気じゃなかったんですよ。
やはりビールはグラスに限ります。
これで現場写真と同じです。
いやいやそんなふうにビールは残ってませんよ。
洗面所に流して洗いましょう。
あはい。
ええ。
あの夜湊さんはそうやってタンブラーを洗ったのだと思います。
そしてこんなふうに置いた…。
3つとも湊さんの指紋しか検出されていません。
使用したタンブラーを湊さんが洗ったと考えるのが妥当でしょう。
確かに2人きりだったならばタンブラーは2つで足りますよね?洗面所のコップは必要ない。
でも3つ。
つまり2人きりじゃなかった。
もう1人いらっしゃったような気がします。
しかし誰が…?あの夜この部屋をリザーブしたのは誰ですか?あ…中村里香さんだったみたいですよ。
ええ。
しかし電話ですから確かに本人だったかどうかはわかりませんね。
ああ…そりゃまあね。
確かなのは女性がリザーブしたということです。
ええ。
今回の一件が湊さんの浮気に端を発しているのだとすれば当のご本人それから愛人あと…女性として必要なメンツというと…。
お…奥さんですか?通常ならばこれで三役揃い踏みということになりますねえ。
(電話の音)
(薫)奥さんが里香さんを…?状況から見れば十分ありうると思いますよ。
湊さんは?奥さんはご主人まで殺したんですか?その可能性もあります。
浮気をしたご主人が許せなかった。
つまり2人を殺してその罪から逃れるために心中を偽装した。
いえ…そこが問題です。
えっ?もしも奥様が2人を殺したのだとしても心中を偽装したりするでしょうか?それでは2人が愛し合ってるのを認めるようなものですからね。
だったら湊さんは…?自殺…という考え方もできるんじゃありませんかね。
自殺…つまり心中を偽装したのは湊さんご自身だったということですよ。
…大河内さん!電話にお出にならない?朝刊に湊の記事が出てましたからね。
殺人容疑で書類送検…心配になってかけてみたんですが。
そうですか…。
今回の一件奥さんが何らかの形で関与してるかもしれませんよ。
奥さんが…?
(玄関のチャイム)
(玄関のチャイム)やっぱり留守みたいですね。
湊さーん?いらっしゃいますか?…いませんね。
右京さん。
…いました。
(杏子の手紙)「中村里香さんを殺したのは私です」「あの夜私は部屋をリザーブして2人を呼び出しました」「もちろん別々にです」「まさか私がそんなマネするなんて主人は本当に困った様子でした」泥棒ネコ!くだらないことはよそう。
何がくだらないのよこんな女と…!逃げる気…?俺は逃げも隠れもしない。
とにかく少し落ち着こうよ。
別れてよ…主人と!別れてください…ご主人と。
2人ともいい加減にしてくれ!愛してるの!私たち愛し合ってるんです!そうよね?…そうでしょ?何とか言ってよ!俺は…。
そう…わかった。
杏子!なんてことを…!
(杏子)「最初っから殺すつもりだったのか正直なところ自分でもよくわかりません」「バッグに忍ばせていった剃刀は覚悟の気持ち…一種のお守りだったような気がします」「けれども事実私はその剃刀で中村里香さんを殺しました」とにかくお前は帰れ…。
(杏子)「最初っから殺意があったのかもしれません」「でも本当にその辺りはよくわからないのです」聞いてるのかわ…私!あとは俺が何とかする!とにかくお前は帰れ!誰にも見られるな!いいな?早くしろ…!
(杏子)「帰りのタクシーの中で私は思いました」「何とかすると主人は言ったけどもうどうにもならないだろうと」「ところが主人は驚くようなマネをして決着をつけました」「私への罪滅ぼしのつもりだったのでしょうか私の罪を消し去ろうとしてくれた」「でも一方で主人は中村里香さんを心から愛していて彼女のあとを追ったとも考えられます」「むこうで主人と会ったら訊いてみようと思ってます」「いずれにしても中村里香さんを殺したのは私であり主人は自分で命を絶ったのです」「これが事件の真相です」どうやら無理心中じゃないみたいだな。
そんなバカなっ確かに意外な真相ですが筋は通ってます。
少々早まったか…。
湊の女房は死んでるんだろ?はっ。
この手紙だか遺書だかにどれだけ信憑性があるというんだ
(三浦)まあその点については…。
亭主を庇うためにデタラメを書いたかもしれんじゃないか!
(三浦)おっしゃるとおりですが…。
無理心中だ…湊の送検は間違ってない…!この手紙の信憑性を徹底的に調べろ!デタラメだという証拠を挙げるんだ!何が何でも無理心中で通せ!…なに黙ってるんだ?勝手にやれよ…。
なにっ?勝手にやりゃあいいだろうつまんねえまったくつまんねえなんだよボケッ…すみません!あ…あいつなんか今ちょっと疲れてるみたいで…。
おい伊丹!…失礼します!おい…!どうした?正気かお前?ヤバかったかなあ…?まあ…たまにはいいさ。
そうか…!手紙は間違いなく奥さんの筆跡のようですよ。
結局俺らあんまり役に立ちませんでしたね。
俺らが動かなくても早晩真相は明らかになった。
もう少し早く気がついていればねえ…奥さんを死なせずに済んだんですけど。
本当に我々は真相にたどりついたのでしょうか?…えっ?
(大河内)手紙の内容に何か疑問でも?いいえ。
奥様の書かれたあの内容は事実だと思います。
ならばそれが今回の真相じゃありませんか?しかし釈然としない。
真相の一歩手前のような気がします。
湊さんの浮気のお相手は本当に中村里香さんなのでしょうか?周りがそれと気づくようにあからさまに中村里香さんを口説いておきながら彼女が本気になりぞっこんになったにもかかわらず湊さんは彼女の気持ちに応えようとなさらなかった。
それはなぜでしょう?もちろんプラトニックな愛情を否定する気はありませんよ。
そうだったのかもしれない。
または倫理観が邪魔をして最後の一線が越えられなかったとか理由はいろいろ考えられます。
ひょっとすると中村里香さんはカモフラージュだったのではないでしょうかね?本当の浮気相手を隠すためのカモフラージュです。
そうだとしたら代役を立ててまで隠したい浮気相手は何者なのか…。
そう考えた時ふと思い出しました。
大河内さんあなたの言葉です。
奴が女と心中するとは思えない。
普通に聞き流せば湊さんは心中などするはずがない…そういう意味の言葉です。
俺らもそう思いました。
気にも留めなかった。
しかしもしもそれが言葉どおりの意味だったとしたら?つまり女性とは心中しない…そういう意味だったとしたら?わざわざ代役を立ててまで隠そうとなさったことに納得がいくんですよ。
浮気相手が男…どんなことをしても隠したいんじゃありませんかね?特に奥さんには。
浮気の事実を隠すことよりも浮気相手を隠すこと…。
それが湊さんには重要だったわけです。
まさかあんなことになるなんて…大きな誤算だったでしょうけど。
ご存じだったんじゃありませんか?あなたには心中事件を否定する確固たる根拠がおありになった。
違いますか?あなたのおっしゃるとおりだったとしても大筋に変わりはないじゃありませんか。
結果が変わるわけじゃない。
確かに結果は変わらない。
しかし意味合いは大きく変わります。
奥さんは勘違いで殺人を犯した。
中村里香さんは心をもてあそばれたうえに奪われる必要のない命を奪われた。
どちらもまったく浮かばれないじゃありませんか!湊の浮気相手は…。
あの涙は…腹心の部下を失っただけの涙とは思えませんでした。
私は一体どんな罪になるんでしょう?どう思います?別にあなたが悪いわけじゃありませんけど…。
けど?事件の根っこはあなたと湊さんの関係にあったわけですから…。
男を愛した罪ですか…。
男を愛するのは悪いことでしょうか?そうじゃない。
愛するのが悪いことではなく隠しておいたこと。
それが今回の悲劇を生んだことは間違いありません。
行きましょうか。
はい。
あ…あと1つだけ。
いつも食べてらっしゃる薬…あれ何の薬ですか?あそれ。
何ですか?ラムネです。
ラ…ラムネ子供の頃から大好物なんですよ。
(噛み砕く音)ラムネですって!聞こえてます。
他言無用に願いますよ。
もし秘密をバラしたら懲戒処分です。
ラムネ?うん。
とんだピルイーターだよな。
あ…誰にも言うなよ。
最悪クビになっちゃうから。
ハァ?
(宮部たまき)わざわざ薬の瓶に入れて?ええそれが真相です。
でもなんだか可愛いらしい。
真相というのはいつも意外なものですねえ…。
2015/04/02(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season2[再][字]
「ピルイーター」
詳細情報
◇出演者
水谷豊、寺脇康文 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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