今日も嫌がらせ弁当—反抗期ムスメに向けたキャラ弁ママの逆襲 [著]ttkk(Kaori)

[文]斎藤環(精神科医)  [掲載]2015年03月29日

表紙画像 著者:ttkk  出版社:三才ブックス 価格:¥ 1,080

■母娘問題を克服するヒント

 弁当に泣かされたのは初めてだ。
 八丈島に住む40代シングルマザーと、反抗期に差し掛かった高校生の次女。素直じゃない娘の言動に抵抗すべく、母は奇想天外な報復を思いつく。“キャラ弁作り”だ。ただ作るばかりではない。日々の弁当写真を公表し続けたブログは、月間約350万アクセスを誇る。
 昼はお土産屋さんの工場、時には内職と多忙な母はお酒も好きで、二日酔いもしょっちゅうだ。それでも朝は5時起きで弁当作りに励む日々。その作品は、「木工ボンド」あり「缶コーヒー」あり、ある時は海苔(のり)の貞子が呪っていたり、チーズのマツコ・デラックスが説教をかましていたりと、確かにこれは嫌がらせ以外の何ものでもない。「普通の弁当を!」という娘の嘆願もものかは、母は断固、キャラ弁を作り続けた。
 すぐにまねしたくなったお母様がた、ここは慎重に。まず、この手法は「娘」限定である。息子? 母のメッセージを理解する前に3分で完食、がオチである。娘なればこそ、キャラ弁当にこめられた膨大な手間すなわち愛を理解できる。シャレとマジの境界をきわどく攻めるユーモアのセンスも必須だ。
 高校3年間、キャラ弁を食べ続けた娘に、母は弁当で表彰する。それに答える娘の文章にほろりとする。評者が感動したのは、ここにあの難しい母娘問題を乗り越えるヒントを発見したからだ。「あなたのため」と称してなされる「おせっかい」よりも、愛情を込めて続けられる「嫌がらせ」のほうが“健全”なのはなぜか? そこにあるのが「支配」ではなく「交渉」だからではないか?
 たかがキャラ弁とあなどるなかれ。そこには関係とコミュニケーションのもつれをほどく、意外なヒントがあったのだ。
    ◇
 三才ブックス・1080円=7刷14万3千部

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著者:ttkk/ 出版社:三才ブックス/ 価格:¥1,080/ 発売時期: 2015年01月


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