100分de名著 ブッダ 最期のことば(新番組)全4回(1)涅槃(ねはん)への旅立ち 2015.04.01


小野寺さんの「とっておきアルバム」を作っていきたいと思います。
21世紀。
豊かで便利な社会の中で人々の暮らしは一見幸せであるかのようです。
しかし世界各地で紛争やテロが頻発。
国内でも心がすさむ事件が起こり先の見えない不安が社会を覆います。
そんな中2,000年以上前に生まれたブッダの教えが今注目を浴びています。
死を目前にしたブッダの「最期のことば」は私たちに生きるヒントを与えてくれるのです。
更に現代に通じる組織論も語られていました。
「100分de名著」今回はブッダの「最期のことば」「涅槃経」をひもときます。

(テーマ音楽)「100分de名著」司会の…さあ今回の名著はこちらでございます。
「ブッダ最後の旅」。
本のタイトルの下にここに「大パリニッバーナ経」と書いてあるんですけどこれ一般的には「涅槃経」と呼ばれているものなんです。
「涅槃経」。
はい。
これブッダが死ぬ直前の旅に出かけたその様子それから死そのものそして死後の事も書いてある。
それで仏教の経典の一つなんですね。
ブッダの教え自体はすごくためになるんでというんで手治虫先生が漫画で描いた「ブッダ」を読もうと思って買ったところまでですね。
私たちの生きていく上のヒントはもちろんの事組織論にもつながっていくような「涅槃経」ですって。
この4月ねこれから新しい組織に入っていく人もいるでしょう。
是非この「涅槃経」で渋く始めてみましょうこの1か月。
さあでは今回の指南役ご紹介いたしましょう。
花園大学教授でいらっしゃいます佐々木閑さんです。
(一同)よろしくお願いいたします。
先生これ「ブッダ最後の旅」という翻訳の本があるんですけれども今回はタイトルは「ブッダ最期のことば」として下さったんですね。
たくさんあるお経の中でこれは非常にユニークなお経でしてブッダが亡くなる最後の旅の様子を語っているんです。
ブッダがいなくなったあと亡くなったあとにどうやって仏教を維持していったらよいかという組織を守るための言葉がたくさん入ってるわけです。
本のタイトルは「最後の旅」ですけれども今回はあえてそれを「最期のことば」というタイトルでお話ししようと思ってるんです。
福井県の浄土真宗の寺に生まれた佐々木閑さん。
学生時代は科学者を目指していましたが挫折をきっかけに仏教研究を始めました。
理系の論理的な視点を取り入れながらブッダの教えを科学的に検証する異色の仏教学者です。
それではまず「涅槃経」の基本の情報を見ていきたいと思います。
詳しく伺っていきますが先生まずこの原題。
これは古代インド語の一つでパーリ語という言葉で全体として「偉大なるブッダの死を語るお経」という名前になるんですね。
そこにはその2種類ありまして。
これどんなものかというのを先生まとめて下さいました。
もともと日本はもう全て大乗仏教の国ですから我々が仏教と言ったらもう大乗仏教しか周りにないんです。
例えば釈の仏教というのはどこにあるかというと今のスリランカやそれから東南アジアのあの黄色い衣を着て鉢を持って歩いておられるあのお坊様たちの世界は釈の仏教です。
釈の仏教では外に我々を救ってくれるような特別な力はないと考えます。
ですから自分の苦しみを消すためにはどうしたらいいですかと聞かれたら…それに対して大乗仏教は外に我々を手助けしてくれる不思議な力やあるいは不思議な存在がいるからその人たちにお願いをする。
拝んで助けを求めるという事で我々は心の苦しみを消す事ができるという2つの大きな違いがあるんですね。
そんな中で今日はそもそもの釈の仏教を。
取り上げます。
さあこの「涅槃経」一体どのように生まれたんでしょうか。
ブッダの生い立ちと共に見てみましょう。
ブッダは紀元前5〜6世紀ごろ現在のインドとネパールの国境近くにあったルンビニで王子として生まれました。
ゴータマ・シッダッタと名付けられ何不自由なく暮らしていました。
ある日貧しさや病に苦しむ人々を目の当たりにし人生は「生老病死」という苦しみの連続であると気付きます。
そして何もかも捨て29歳の時に出家してしまいました。
肉体の苦行ののち瞑想に入り煩悩と闘ったシッダッタは35歳で悟りを開きます。
そしてブッダすなわち「目覚めた人」となり人々を救うため旅立ったのです。
その後45年もの間布教をし多くの弟子を育て80歳で涅槃に入ります。
「涅槃」とは普通の死とは違い完全な死を意味しました。
当時インドでは「輪廻」という思想が浸透。
「天」「人」「畜生」「餓鬼」「地獄」という5つの世界を行き来しながら生死は繰り返すものだと考えられていたのです。
この生死のサイクルから逃れるのが涅槃なのです。
ここからはブッダ解説者のスリラッタ・シッタッタさんに引き継いで頂きます。
どうもこんばんは。
せん越ながら私が解説をさせて頂きます。
この輪廻ですが大変な苦痛の連続です。
何度も何度も永遠に生き返り苦しみ続ける事が輪廻です。
ブッダは涅槃に入る事で究極の安楽を得る事ができると説きます。
しかし涅槃に入るためには修行しお金の事ばかり考えたり恋愛に一喜一憂したりそういった煩悩を消し去らなくてはならない。
そのためには自己鍛錬が必要です。
ブッダはそのための方法を示したのです。
このブッダの教えが書かれた書物が「お経」でありその一つである「涅槃経」はブッダの涅槃にまつわる物語が記されているのです。
涅槃は単なる死ではない。
ここ大事ですね。
インドの当時の人たちにとっての死というのは輪廻する事であると。
輪廻は単なる生まれ変わりではありません。
5つの世界があるという事を信じる事です。
その世界の中で生まれ変わり死に変わりを繰り返すというのが輪廻です。
それはもちろん苦しみの連続だと考えます。
僕ちょっと気になったのは人の上に神天があるじゃないですか天。
それは神ですよね。
涅槃はそれより上ですか?輪廻する世界の神はみんな寿命があります。
地獄もそうですよ。
地獄も寿命があるんですよ。
いい所行ったってまた悪い所へ行く。
それの繰り返しになるんですね。
それを涅槃と言います。
煩悩を我々が起こすとその煩悩が原動力になって輪廻すると考えるんです。
煩悩の働きというのは我々の心に生まれつき起こってくる悪い要素です。
もっと簡単に言うと自分中心に世界を見る見方です。
もちろん生存するためには必要なんですがそれが回り回って苦しみのもとにもなると考えるわけです。
もちろん今の人たちはその輪廻つまり5つの世界があるという事は信じてませんよね普通はね。
しかしながら…そこが仏教が現代に意味を持つポイントです。
仏教には先生すごく大切な要素があるんですね。
その煩悩を消し去っていくための。
そうですね。
仏教にはちゃんとした定義がありまして3つの要素です。
この3つがそろった状態をそこに仏教があるというふうに言うんです。
「仏法僧」は仏教を構成する3大要素です。
「仏」はブッダ自身を意味します。
「法」はブッダの教えです。
そして最後の「僧」これは「サンガ」と呼ばれる自己鍛錬のための組織を指します。
ブッダを信頼しその教えに従いサンガを維持する事が一番大切だとブッダは教えたのです。
サンガは4人以上のグループで成り立っています。
そこにはブッダの深い意図がありました。
一人ではなく複数で支え合う事で自己鍛錬を長い期間着実に積み重ねていく事ができるとブッダは考えていたのです。
「涅槃経」にはブッダの死後サンガをどう維持するのかその方法が示されているのです。
仏法僧なんですけれども「仏」と「法」は分かりやすいんです。
最後の「僧」なんですね。
僧というのはもともとがインド語のサンガ。
そしてその意味は一人のお坊さんじゃなくて集団を指します。
自分が修行して最初に道を進んで後でその自分の進んだ道を後輩に教えてあげようというまあ一種のリーダー…私が既に進んだ道を教えてあげるからそれを進みなさいと言って悟りのためのマニュアルですねそれを残した。
それがお経です。
やるためにはその修行する場が必要です。
その組織を設計したのもブッダです。
その場であるサンガ具体的にはどういう事だと言ってるんですか。
まず4人以上の男のお坊さんあるいは女のお坊さんが集まるというのが必要条件。
もう人数も決まってるんですか。
決まってます。
4人集まったらサンガのね領域を決めます。
ここからここまでこうやって線を結んでちょうど陣取りゲームみたいにそれをサンガとして決める。
でもその領域は所有権とは関係ありませんからその辺で勝手に決めてもいいんです。
例えば渋谷のね忠犬ハチ公のあの広場をサンガとすると決めてもいいんです。
ほうほう。
他の宗教だとその宗教の真ん中の神様みたいなものを信じてさえいれば割と個人でいい感じじゃないですか。
修行が一番合理的に進むような組織を作る。
これは言ってみれば…何かそうなってくると全く仏教と関係なくても私たちの生活の中でもちょっと関係あるというか生かせそう。
だからサンガの理念というのは別に宗教の問題じゃないんです。
サンガの運営の方法というものは今のそういった現代の組織にもすごく役に立つんです。
野球で考えますとね野球はもともと遊びです。
ところがそれを一生懸命やってるうちに次第に技術が向上しすばらしいプレーができるようになってくるとそれを周りの人たちが見ててなんてすばらしいんだろうと思うようになる。
そうするとただの遊びであった…そしてみんながそれを支えようという事になる。
「すげえなあんな野球選手になりてえな」。
「あいつのホームラン見ると何だか分かんないけどスカッとするんだよ」に対してお金を払ってるのとあそこまで突き詰めて修行をなさってるお坊様に対してというのはあんま変わらない。
組織として一番古いのはサンガです。
これは2,500年前に出来て今も続いてます。
私は恐らく歴史上最も長く続いてる組織だと思うんです。
それでは早速「涅槃経」の内容に入っていきたいと思います。
組織論役立つ考えが出てまいります。
「涅槃経」はブッダがインド北部マガダ王国の首都ラージャガハにいた時のエピソードから始まります。
ある日マガダ国の大臣がブッダを訪ね……とアドバイスを求めます。
するとブッダは傍らにいた弟子のアーナンダに尋ねました。
ブッダ解説者のシッタッタさんとそのアシスタントのアッシジさんに当時の様子を再現して頂きます。
私がブッダを演じさせて頂きます。
弟子のアーナンダを演じさせて頂きます。
ブッダがそう答えるとマガダ国の大臣は戦うのをやめると言って納得して帰っていったのです。
更にブッダは弟子たちを集め組織が衰亡しないための条件を説きました。
比丘というのは出家した修行者の事ですが要するに決め事はメンバー全員が参加する会議で民主的に決めよという事です。
全ての生活は全てルールに沿って行動する事。
そして先に出家した先輩たちのアドバイスを尊重すべきという事。
「渇愛」とは欲望である。
欲望は取り払うべきであるという事。
アランヤとは閑静な郊外。
人けのない郊外の方が修行は進むという事。
出家した者は分け隔てなく仲間として友好を築けという事。
組織が衰亡しないための条件。
サンガというのは組織ですから人が集まってるわけです。
その集まりが時代と共にブッダが亡くなってしまえばリーダーがいなくなりますから放っておけばそのまま消えていく運命にある。
それを何とか維持するための基本理念がここに出てくるわけですね。
「会議を開く」というのはもう全員が集まって民主的に決めるという会議です。
2番もそうですね。
3番「法律を守る」ですからこの3つを合わせますと決められた法律に従って法治主義でその組織を維持していけという事です。
ここでは法律というふうにまあ漠然と言ってますが実際にその法律をブッダは決めました。
それがこれです。
基本的には227のやってはいけない事というのがあってその他に細かい規則もあって全部足すと千数百あると思います。
一番重いので代表的なのは「人を殺してはいけない」。
犯した人にはサンガが主権者となって罰を与える権利があるんです。
一番細かいのは行儀作法まで全部書いてあります。
御飯食べる時にクチャクチャ音を立てるなとか。
そういうものは一番軽い罪なので罰は…でもそれも具体的に書いてあるんですよね。
全部書いてありますよ。
さっきの「ヴァッジ族を攻めようと思ったけどどうだ」。
でもこれみんな守ってるからそれは無理だっていうぐらいすごく大事な事と。
誰か主権者が全体を統治してるのならばその人がどうかなれば組織は弱体化しますが…この「律」ともう一つ「戒」というものもあるんだそうですね。
律と戒。
こちらに先生まとめて下さいました。
律というこれはサンガという組織を維持していくために決められた規則です。
しかしその一方で修行してる一人一人が悟りに近づいていくための心構えも別個に必要ですよね。
それは個人の心構えこれを戒というんです。
この戒を破ると災いが起こるんです。
つまり戒を守らずに言ってみれば自由奔放好き放題暮らしているような人間にはこういう事が起こるという事で。
それからここら辺はインド独特でしょうが「精神が錯乱して死ぬ」とかね。
全体に対しての罰はちゃんと罰として受ける。
その例えば懲役何年とかちゃんと受ける事とまた別に自分の中でこの行いをどう悔いていくべきかという事をちゃんと別立てであってとても人間らしくというか間違いをなるべく犯さないで生きられるような気はします。
例えば電車の中でね困ってる人に席を譲らないからといって法律違反にはなりません。
しかしながらそれは譲る譲らないによって自分がどうなるかという事が変わってきます。
これは戒の立場ですね。
この二重構造でこの組織全体がうまく回っていくわけです。
でもこれ今のこの現代の社会の組織を守っていくという事にもかなり通じるところがありますね。
そうなんです。
宗教を離れたところに生きがいを追求する組織としてのサンガはいっぱいこの世にあるわけですね。
そのサンガを正しくそして一番大事なのは長く末永く維持していくためにはどうしたらよいかというところにこういういろんな知恵が利用できるという事なんですね。
いろんなサイズの戒と律があってこの2本立ての価値観をちゃんと自分が運用して生きてくというのはすごい興味があります。
さて次回から更に「涅槃経」でのブッダの教えについて深く読み解いていきたいと思います。
先生どうもありがとうございました。
2015/04/01(水) 22:00〜22:25
NHKEテレ1大阪
100分de名著 ブッダ 最期のことば[新]全4回(1)涅槃(ねはん)への旅立ち[解][字]

自身の死期が近いことを悟ったブッダは故郷を目指して最後の旅に旅立つことを決意する。旅の途上で説かれた教えには意外にも組織永続のための秘けつが込められていた。

詳細情報
番組内容
80歳を迎えたブッダは霊鷲山に滞在していた。身体の衰えがひどく自身の死期が近いことをさとったブッダは故郷を目指して最後の旅に旅立つことを決意する。旅の途上で説かれた教えには、自分の死後仏教や教団が永く維持・存続するための秘けつが込められている。第1回は「涅槃経」の全体像を概観し、ブッダが「自己鍛錬システム」として説いてきた仏教の本質と、それをいかにして長く存続させるかというブッダの知恵を読み解く。
出演者
【講師】花園大学教授…佐々木閑,【司会】伊集院光,武内陶子,【朗読】大杉漣,音尾琢真,【語り】小野卓司

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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