名古屋大医学部に、オペラ歌手としても活躍する学生がいる。6年生の西影星二さん(23)。卒業試験や国家試験でますます忙しくなる中、「両立は諦めない」と舞台に立ち続けている。

 内科医の父と、声楽家の母の間に生まれた西影さん。クラシック音楽が身近にある環境で育った。高校時代に母から歌の指導を受けることはあったが、本格的にオペラの世界に入ったのは名大に入学してからだ。

 母の稽古場に顔を出したのがきっかけで、テノール歌手から個人レッスンを受けるように。舞台にも立つようになり、「オペラの世界にはまり込んでいった」。2月には、文化庁が若手育成事業として主催するコンサートのオーディションに合格。東京・初台の新国立劇場の舞台に立った。

 医師を目指すようになったのは高校生の頃。小さい頃は、忙しくて家族との時間も取れない父への反発があったが、中学3年の時に椎間板(ついかんばん)ヘルニアで3カ月入院したのを機に「人の役に立てる医師になりたい」と考えるようになったという。