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2015年04月01日

加法の順序は,ネットde真実? (2015.04)

より,

にリンクされていて,ざっと本文を読みました.

「5+7のみが正解が算数教育の常識」を撤回した上で,算数教育「学」がつまらないという主張は維持されています.

加法に関する「算数教育主流派の考え」を,丸囲み数字で4項目,整理されていますが,そのうち「③追加には式の順序が有り、はじめの数+追加された数でないと誤りである(単項演算であるから)。」については,説得力のあるブログ主さん独自の事例をお持ちでないようなので無視するとして,残りの3項目は,米国でも

を見る限り同様と見なせます.

国内・国外を問わず,学習を通じて子どもたちはどう考えているかについて,事例が不在なのが,気になってきます.検索すると…「子どものとらえ方」について,当ブログの上記記事の,ほんの少し前に,文章を目にしていました.

第1学年で「たし算」を学習する場面で,例えば,「赤い車3台と白い車2台があります。車は全部で何台あるでしょう?」(問題①)という場面において,この事象を「3+2」と表すことを指導する。

(略)

また,同じ1年生のたし算でも,例えば「駐車場に赤い車が3台停まっていました。後から白い車が2台やってきました。駐車場の車は何台になりましたか?」(問題②)という事象も扱う。ここでも同様に文字を書き写させ,絵に描かせてみたりブロック操作をさせてみたりすると,子どもはやはり手間どる。一方,「式」に表す場合は,やはり単純に「3+2」と表すことができる。

(略)

ところが,これら2つの問題場面を「2+3」という「式」で表現したらどうなるだろう。和を求めるという点では「3+2」であろうが「2+3」であろうが数学的にはどちらの式も間違いではない。しかし,1年生の子どものとらえ方は違う。

問題①は「3+2」でも「2+3」でもよいが,問題②の場合は,「3+2」でなければだめだという。

つまり,「合併」の事象である問題①は被加数,加数の順序は関係ないと判断し,「増加」の事象である問題②は被加数,加数の順序に意味があると考えるのが子どもなのである。時系列という点から考えると,問題②のほうは確かに被加数,加数の順番に重要な意味合いが込められることになる。

このように同じ「3+2」という「式」で表現されるにもかかわらず,その「式」の意味が異なるということを子ども自身が実感的に体験することは,言語としての「式」を理解する上で重要な体験だと考えられる。つまり,「3」と「2」という数字を記号「+」でつないで併記したものが「式」であるという認識ではなく,「式」は「話」を表しているという見方であり,1年生の子どもの発達段階としてはとても自然で理解しやすいわけである。

(山本良和:式の「よさ」を味わう授業,『算数授業研究 VOL.82』pp.2-3.転載元:被加数・加数の順序.転載にあたり番号を丸囲みに変更した)

読んで,ケチをつけるのは簡単で,そういった理解に至るような教え方が良くないと言えばいいのです.言えば賛同するコメントも得られやすいですし,Twitterなどで拡散してもらえる可能性があります.

あとは,そういった承認欲求のために書くのか,それとも,不完全でも知り得た情報を通じて現状を認識しようと努力し,これからのためにどのような情報をいま,残せるのかを,各自が選べばよいといったところでしょうかね.


国外の状況について追加:たし算の順序論争

(最終更新:2015-04-01 昼.記事のタイトルを「ケチをつけるのは簡単」から変更しました)

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