AIIB:実利狙う韓国、出資率は5%割れ

 韓国金融研究院のチ・マンス研究委員は「AIIBがインフラ投資を目的として明確に示したことが参加国拡大に成功した要因の一つだ」と指摘した。日本主導のアジア開発銀行(ADB)などは貧困撲滅、開発途上国の教育・文化事業支援などのプロジェクトに力を入れているのに対し、AIIBは「カネになる」事業に投資すると公言したことが奏功したとの見方だ。

 昨年末に中国国家発展改革委員会が公表した統計によると、中国は西部大開発事業に2000年から15年で4兆8390億元(約94兆円)を投じた。自国のインフラを欧州や他のアジア地域と連結させることが中国の基本構想だ。韓国政府は、今後アジア地域のインフラ事業が中国主導で進み、その過程でAIIBの役割が強まると判断している。

■参加国増加で韓国の出資割合縮小

 AIIB参加国は、アジア域外の国々に出資割合をどれだけ振り分けるかを6月までに協議する。全体の25%を割り当てる案が有力だが、ドイツ、フランス、英国など域外国は大きな経済力を持つため、最終的に域外国に計30%が割り当てられる可能性もある。2013年の国内総生産(GDP)で単純に計算すると、韓国の出資割合は4.5-4.9%にとどまる。

 韓国政府関係者は「参加国数が増え、韓国が5%の出資を確保するのが難しくなった。日本が後から参加すれば、韓国の出資割合はさらに縮小する可能性がある」と述べた。韓国は4月末に予定されるAIIB第4回会合に出席し、AIIB創設協定の内容を話し合う。韓国政府関係者は「最大限の出資割合を確保し、AIIB常任理事12人に韓国の代表を送ることが目標だ」と語った。

 専門家は協議プロセスで実利の獲得を目指すべきだと指摘する。中国経済金融研究所の全炳瑞(チョン・ビョンソ)所長は「AIIBへの出資率よりも、AIIBが発注するプロジェクトで韓国企業が権益を獲得できるようにすることが重要であり、韓国西海岸と中国を結ぶトンネルをAIIBのプロジェクトに含める方向で努力すべきだ」と話した。

北京=アン・ヨンヒョン特派員
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