PR

焦点:袋小路の原発汚染水処理、トリチウム放出に地中保管の案も

2015年 04月 1日 19:06 JST
 
  • Mixiチェック

[東京/いわき市(福島県) 1日 ロイター] - 東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原発の汚染水に含まれる放射性のトリチウム処理が、こう着状態に陥っている。海洋への放出を探る政府内の議論に対し、風評被害を懸念する地元漁業者は強く反発。調整に当たる経済産業省は、地中保管など代替策の検討に動き出した。

原子炉内で溶けて固まった核燃料(デブリ)の取り出しにめどがつかない中、汚染水問題が収束する可能性は見えず、トリチウムについても袋小路に入った処理論議に危機感が高まっている。

<規制委員長は海洋放出を主張>

いまだに大量のデブリが残る福島第1では、山側から地下水が建屋に流れ込み、汚染水の量が増え続けている。汚染水はセシウムを取り除いた後にストロンチウムなどが多核種除去設備(ALPS)に通して処理されるが、トリチウム(三重水素)だけは取り除くことができない。

トリチウムが含まれる汚染水は低濃度であるため、敷地内のタンク群(3月末時点で総容量80万トン)に貯蔵しているが、ALPSで処理した後に出るトリチウム水は当面は60万トンに上る見通しだ。

この処理方法について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、1リットル当たり6万ベクレルという排出基準値を守った上で、タンクに溜まったトリチウム水は薄めて海に出すべきだと主張する。田中委員長は3月25日の記者会見で、貯蔵策だけで福島第1原発の汚染水に対応できるかどうかについては、「絶対に不可能だ」と指摘、海洋放出は避けられないと強調する。

<海洋放出、すでに前例も>

トリチウムは最も毒性の弱い放射性物質の一つと考えられており、科学者の間では、水で薄めて一定の濃度以下で海に流しても魚や人体に影響は及ばないという一致した知見がある。 規制側が海洋放出を主張するのは、それが理由だ。   続く...


 
写真

袋小路の原発汚染水処理

福島第1原発の汚染水に含まれる放射性のトリチウム処理が、こう着状態に陥っている。経産省は、地中保管など代替策の検討に動き出した。  記事の全文 

 

注目の商品

 4月1日、東京電力・福島第1原発の汚染水に含まれる放射性のトリチウム処理が、こう着状態に陥っている。同原発、昨年11月、代表撮影(2015年 ロイター)

外国為替フォーラム

写真
「故意の墜落」再発防ぐ法

独機墜落事故を受け、パイロットなど乗客の安全を担う人たちに対する心理テスト強化を求める声は、間違いなく高まるだろう。ただ、精神疾患への偏見を強め、仕事を失うことを恐れて自殺願望を隠すようなことがあってはならない。
  記事の全文 | 特集ページ 

写真
副操縦士、会社に病気隠す

独機墜落事故で、故意に機体を降下させたとみられている副操縦士が会社に対して病気を隠していたことを示す証拠が見つかったと、ドイツ検察当局が発表。
  記事の全文 | スライドショー 

ロイターの公式アカウントはこちら!