参院予算委:「侵略定義、専門家に」首相、慎重に答弁
毎日新聞 2015年04月01日 21時26分(最終更新 04月01日 21時27分)
安倍晋三首相は1日、参院予算委員会の集中審議で「侵略」の定義について「歴史家や専門家に任せるべきだ」と述べた。2013年には「定義は定まっていない」との答弁が中国や韓国から批判された経緯がある。首相は「戦後70年談話」の発表を控え、慎重な発言に努めているようだ。
アジア諸国への植民地支配と侵略に反省とおわびを表明した1995年の「村山談話」について、政府は3月、次世代の党の和田政宗氏の質問主意書に「『植民地支配』と『侵略』の定義はさまざまな議論があり、答えることは困難」と答弁した。これを踏まえて和田氏は予算委で「定義が定まっていない表現を70年談話に使うべきではない」と指摘した。
しかし、首相は「歴史の問題に政治家は謙虚でなければならない」と述べたうえで、談話に関しては「世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、書き込む」と従来の見解を繰り返した。
首相は13年4月の参院予算委で「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国との関係で、どちら側から見るかで違う」と答弁し、中韓だけでなく米国メディアからも批判された。その後は同様の発言を極力避けている。
一方、首相は核軍縮・不拡散について「世界中の政治指導者が被爆の実相を自ら知り、悲惨さに直接触れることが、核兵器のない世界に向けた思いを促進する」と述べ、各国首脳の広島、長崎訪問を促した。民主党の森本真治氏への答弁。【福岡静哉】