(木村)おかしくないですか?就職活動って。
僕はおかしいと思ってて。
なんか別になんであのタイミングでやんなきゃいけないってすごい思ったんですよ。
だってそんなの何をやりたいかなんて絶対分かんないしみんな。
お〜。
語りますね〜。
今回のUー29は就職活動に疑問を感じて自分たちで仕事を作る事にした23歳の3人組です。
3人が始めたのは「ゲストハウス」と呼ばれる小さな宿。
去年の11月にオープンしたばかりです。
代表は河嶋峻。
年上とも堂々と渡り合うチームのフォワードってところですかね。
経理担当は柴田涼平。
几帳面な性格で守備を固めます。
広報担当は木村高志。
予約の管理から宣伝までをこなすマルチプレーヤー。
手探りで働き始めて3か月になります。
こんにちは。
(河嶋)こんにちは。
(英語)
(河嶋)仙台。
お〜!仙台。
宿は1泊3,000円でお客さんの9割は外国人です。
定員は18人。
オープンから3か月で世界20か国1,000人以上が訪れました。
お〜。
なかなかの人気ですね〜。
(英語)
(英語)観光だけじゃなくゲストハウスにいる時間も楽しんでほしい。
そんな思いから受付はカラフルでワクワクする内装にしました。
部屋はというと…おお〜。
こっちはシックで落ち着ける感じ。
相部屋だから泊まった人同士も仲良くなれますね。
3人のこだわりが詰まったこのゲストハウスにはある秘密があります。
は〜!ここはもともと古いアパート。
それを自分たちの手でリフォームしたんです。
見える白全部ですね。
改装資金は少ない。
だから宿を作る過程まで楽しもう。
改装をイベントにする事で地元の若者も巻き込みました。
完成まで5か月。
関わってくれた人は200人以上にものぼりました。
開業した今でもその時に手伝ってくれた地元の若者が仕事帰りに立ち寄ります。
(取材者)地元の…?地元のお兄さんです。
こんにちは。
乾杯!
(一同)乾杯!んん〜。
にぎやかですね〜。
地元の人も一緒に夕ごはん。
外国のお客さんからも大好評です。
3人がやりたいと思い描いていた事がそのまま実現した宿です。
(柴田)もともと旅人だけの宿にはしたくないなと思ってたんですよ。
てのは僕自身が旅人なんですけど何が楽しかったかっていうとそこに住む人との交流がすごく記憶に残ってて。
そういうものを生み出したいねっていう話をしてたんですね。
東京の大学を卒業後去年の4月にゲストハウスが少ない札幌に移住しました。
(河嶋)こんばんは〜。
その頃からお世話になっているのが1階にあるスナックのママさん。
作ったけどさこれさニシン漬け。
今日出したんだ。
ご飯炊いた?ご飯まだ…。
改装中から彼らの食生活を気にかけてくれています。
はい。
すみませんいつも。
いえいえいえ…。
お母さんたちがかわいそう。
見せたくないあの姿!かわいい子だったのにだんだんだんだんだんだんしぼんでね痩せてきたの。
「あら食べてるの?」って言ったらね「いやまだ今日は食べてません」とか。
そしたら心配でしょう。
食べて。
は〜い。
ありがとうございま〜す。
(ママ)は〜い。
社会人経験ゼロの男子3人。
いろんな人の力を借りてゲストハウスのオープンまでたどりつきました。
3人のチームは代表の河嶋さんが大学の同級生の木村さんそして高校の同級生の柴田さんに声をかけた事から始まりました。
大学3年の冬3人が決めたのは「就職活動を辞める」という事だけ。
やりたい事は分からない。
じゃあ…地域おこしIT教育思いついたアイデアは100以上。
それを手当たり次第企画にしてみました。
でも自分たちらしいオリジナルな企画が見つかりません。
「うわ〜絶対いけるこれ」って思っていざやろうとした時にこういうのあるよっていうのを知って「あっこういうサービスあるんだ」って知って全部もう考えたのが全部駄目になったっていう。
「どうしよう」と悩んでいた時たまたま見つけたのがゲストハウス。
実は今個性あふれるものが全国に生まれています。
オリジナルのものは絶対作らなきゃやる意味ないじゃないですか僕らが。
ゲストハウスっていっぱいあってもやっぱ場所によっても違うし売り出し方とか特徴とか。
自由そこがすごい。
いやだって自分たちの思った事がそこに表れるじゃないですか。
宿に。
それって面白くないですか?自分にしかできないものを作るワクワク感。
そんな気持ちから飛び込んだゲストハウスの世界。
でも開業してみると仕事のほとんどは掃除と接客。
お〜。
いつも仕事しながら音楽を聴いてるんだね。
洋楽聴きますね結構僕らは。
最近はもう…ゆったりやりたい。
毎日が地道な仕事の繰り返し。
やればやるほど河嶋さんは仕事のやりがいが見えなくなっていました。
なんか…こう……を見つけたい。
河嶋さんはゲストハウスの外に新しいやりがいを探そうとしていました。
あっこんにちは〜。
失礼しま〜す。
この日参加したのは商店街の会合。
ここでは若者と商店街をつなぐ街づくりの企画を提案。
(河嶋)失礼します。
また別の日は旅行会社へ。
ここでは北海道各地を訪ねる旅の企画を売り込み。
そしてこの日は…。
あっすみません今日は…ハハッ!ごめん。
いや〜気持ちは分かるけどちょっと焦り過ぎじゃないのかな?自分にしかできない仕事ってどうやったら見つけられるんだろうね。
こちらが河嶋さんの一週間。
休みは週に1日です。
宿の仕事は2か月前からシフト制に。
効率が良くなった分3人一緒にいる時間は減りました。
(英語)Keepluggagehere?
(英語)「荷物を置かせてほしい」というお客さんの要望はすぐにLINEで他の2人に知らせます。
オープンまでは毎日のように顔を突き合わせて話し合っていた3人。
会う時間が減った今はネットでやり取りする内容が増えました。
(木村)えっと予約確認とえっと…あの…運営。
あとタスクの報告ってまあ朝1回と夕方1回ずつ。
いっぱいあるんですよ。
マニュアル改善っていうのもあって。
あとまあその業務以外の面白い発見とかを共有する小ネタっていうグループがある。
は〜。
3人だけのやり取りなのにこんなに細かく分けてるんですね。
お互い合意したうえで物事を進めていかないとすごいバラバラになっちゃうなっていうのは3人とも思ってて。
僕が気付いたのが意外と外国人のゲストが多いのに何で日本語の雑誌を置いてあるのみたいのはすごい思って。
そういうのをここで他の2人に「いらないから捨てよう」みたいのを共有して。
いやいやいやいや!残しているんですよここに。
ハハハ。
残してるんです。
はい。
いやいやいやいや。
忘れちゃうじゃないですか。
何言ったかっていうのを。
はい。
この日は3人そろって3週間ぶりの会議です。
まずは現状の売り上げから伝えていくと…。
会議の中心は売り上げや予約状況などの情報の共有。
業務連絡に追われて気付けば仕事に対するお互いの思いや目標は話し合えていませんでした。
じゃ目指すとこはだからどの辺なの?商店街この辺を元気にしたいのか。
結構今役割を分担してるのはいいんだけどあまりにそれを追い過ぎちゃって相談しづらいみたいな。
まあ3人でそろってってのはまず無理じゃん今。
だからその時間なんだよね課題はかなり。
じゃあ終わります。
お疲れさまでした。
時間切れで会議は終了。
本当に大事な事話し合えてるんですかねえ。
こちらが3人の収入です。
収益の半分は宿の将来のために積み立て。
そのため給料は1人10万円。
こちらが河嶋さんのお金の使いみち。
ほ〜!銭湯に5千円さすが銭湯好き。
あれ?家賃がないようですけど…。
深夜0時。
仕事が終わった河嶋さんが帰る先は…。
(早回しする音)ん?ここゲストハウスの1階ですよね。
こちらのシャッターの奥?
(取材者)ここが家ですか?
(河嶋)家です。
家というか寝る場所です。
基本的には寝る直前まで上にいるんで本当に寝るだけです。
(取材者)ほぼ倉庫というか。
廃虚です。
ハハッ。
資金が足りなくて改装が後回しになっている1階が河嶋さんの住みかです。
この布団は資金を集めようと引っ越しのアルバイトをした時にもらったもの。
夜はマイナス10度にもなる札幌の冬。
暖をとるのは薪ストーブです。
これももらい物。
(着火する音)
(河嶋)薪ストーブをつけるまでに30分ぐらいかかるんで。
寝たいと思っても30分は我慢しないと寝れません。
ここで座ってぼ〜っとしながら携帯いじったり本読んだり。
で200度ぐらいまでいって閉めて布団で寝るって感じですね。
私物はいつも持ち歩いているこちらのリュック1つ。
(河嶋)これとかすごいっすよ。
これ香水なんですけどこれ中学3年生の時に買ったやつですからね。
全然使ってないっていう。
なのでパソコンとあと必要な資料と暇な時読む本とあとコンタクト歯ブラシ眼鏡ケース以上終わりです。
ハハハ!この生き方を選んだ時河嶋さんにも迷いはありました。
「まず企業に入って3年は働いた方がいい」と。
「そっからでも遅くないんじゃないか」っていうふうには言われましたね。
「いやそうなのかな」とか「考えても分かんないな」とか思いながら違う人に話を聞きに行ったら「いややりたいんだったらやった方がいい」と。
でまた違う人に聞いたら全然違うような答えが返ってきたり。
なので何が正しいとか間違いとかって僕なりのいろんな人からのアドバイスもらった答えなんですけど多分問いに対しての答えって1つじゃないんだなというか。
ある人はこれが正解だと思ってるしある人はこれが正解だと思ってる。
で…じゃあ自分で決めなきゃ駄目なんだと思ったんですよね。
それが結果間違いであっても別に自分で決めたら誰のせいにもしないし。
…って考えた時にやっぱやりたかったんですよね自分で何か。
自分で決めた道だから次の一歩も自分で見つけないと。
急いでいるのにはそんな焦りもあるのかな。
(河嶋)おはようございます。
すみませんお忙しいところ。
この日訪ねたのは石田香織さん。
オーガニックにこだわった居酒屋を5年続けています。
石田さんもまた22歳の時河嶋さんと同じように起業しました。
自分にしかできない仕事をしたい河嶋さんの悩み石田さんになら分かるかもしれませんね。
香織さんの時はどんな感じだったんですか?オープンして。
(石田)始めた時なんかはなんかもう「超自己満じゃん」みたいなふうにすごい思われてたし。
だけどそれでも続けてる理由ってやっぱり自分たちが何を伝えたいかとか何を提供したいかっていうのがしっかり持ってるから続けるっていうふうに決めてる。
自分の中で譲れないもの。
それを見つける事ができれば次の一歩も見えるはず。
石田さんが伝えたかった事です。
(石田)だから別に何が正解というのは一つもない。
みんながそれぞれ「これ超楽しいんだよね」っていう事をやってれば多分大丈夫。
ハハハハハ!先を急ぐあまり一番大事な事を忘れていたね。
翌日河嶋さんは再びミーティングを開きました。
3人がね何に面白さとかどういう事やっていきたいかっていうのとか多分振り返る時間って必要だなと思ってて。
俺自身全然振り返れてないっていうかもう次次次みたいな。
(木村)面白いと思う時はやっぱ何かを作ってる時なんだよ。
それは間違いないそれは。
うんうん。
だからやっぱ最近モチベーションの置きどころがふわっとしちゃってるみたいな。
ゲストハウス完成までに感じた面白さやワクワク感どうしたらまた見つけられるんだろう。
例えば3人の中でまた一つ何かができたらそれに向かってく時間とか3人の中の一つのものを決める時間とかがもっと増えたらいいなと。
(木村)やっぱあれじゃないだから…継続したらどうなるのかってさ少しでも分かったらいいんじゃない?見えた方が。
(河嶋)継続したら。
結果どうなりますみたいな。
(河嶋)あ〜ここ?ここっていうかまあ先。
1個先の展開がちょっとでも見えてればいいんじゃない。
結論はすぐに出ませんでした。
夜。
3人はこれまでゲストハウスに関わった人たちにSNSで質問を投げる事にしました。
まずそこから考えようじゃあ。
今何か月?3か月半だね。
今までこれだけ泊まってきたけど果たして僕らは十分に対応できたのかと。
それは普通に思うわけじゃん。
うん。
まあそれは思うね。
自分たちらしく仕事を続けるためにはまずは初心にかえろう。
考えた末に見えてきた一つの突破口でした。
(木村)やっぱあれじゃないですか。
大事にしている事はみんなで作ったゲストハウスをみんなで良くしていきたいみたいな。
(河嶋)ああ!だからみんなの意見をここで聞くみたいなのはありだよね。
まあそれは普通にやりたかった事じゃん。
う〜ん仕事を始めて3か月。
まだ焦らなくていいよね。
働く意味もやりがいもこれから3人で時間をかけて見つけていけばいいんじゃないのかな。
そんな皆さんに最後に質問です。
それは今は分からないです。
えっとそれは分からないんで探しますちょっとこのあと。
見えないんですよねなんか10年後って。
今22なので32歳になった時何してるのかなっていわれたら何してるんですかね?これは難しい質問ですよね。
いやだからなんか分かんないからいいんじゃないって思いますけどね。
ぽしゃるかもしれないし挫折もするかもしんないですけどでもいい可能性だっていっぱいあるので「そこに期待」みたいな。
「自分に期待」みたいな感じです。
儀式です。
(2人)スローモーション。
木村さん。
今月もお疲れさまでした。
ありがとうございます。
河嶋さん。
今月もお疲れさまでした。
(柴田)銀行振り込みが大変手数料がかかるっていうところから始まった手渡しが温かみがあるっていう結論に至りました。
ハハハハ!なくさないようにしないと。
今月も生き残った。
(3人)ハハハハハ!10万円です。
メッセージ入り。
「お疲れ!」って。
「温泉年間パス買って」っていう。
(木村)「プライベート楽しんで!」。
(柴田)アハハハハ!要約ひどくない?書いてますよ。
「頑張った!」。
ハハハ!「頑張った」。
いくよ。
はいチーズ。
(シャッター音)OK。
(英語)バイバイ!バイバ〜イ!2015/03/30(月) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「ゲストハウス経営」[字]
今回の主人公は大学卒業後すぐにゲストハウスとよばれる小さな宿を開業した23歳の男子3人組。仕事を教えてくれる先輩も上司もいない中、宿の経営に奮闘する3人を追う。
詳細情報
番組内容
大学卒業後、ゲストハウスとよばれる小さな宿を札幌に開業した河嶋峻さん(23)が今回の主人公。“自分たちにしかできない仕事がしたい”と就職活動をやめ、同級生3人で札幌に移住した。外国人旅行客増加の波に乗り、宿は連日大盛況。しかし、掃除や接客というルーチンワークの毎日に、次第に迷いが生まれてきた。先輩も上司もいないなか、やりがいや仕事の意味も自分たちでつかむしかない。同級生3人組の挑戦を追う。
出演者
【語り】松坂桃李
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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