欧州ワイン紀行〜銘醸ワインの産地を訪ねて・フランス編〜(最終回) 2015.03.30


(ナレーション)紀元前に誕生し世界最古の酒ともいわれるワイン神々をも魅了した芳じゅんなる美酒今もなお世界各国で愛されています中でもワイン大国と呼ばれるのがフランスです案内役は京都を拠点に活躍するソムリエ柳忠志さんおもてなし作家として執筆活動も続けています
(柳)これまで12回にわたってお送りしてきましたフランスワインの魅力を訪ねる旅このシリーズでは今ワイン通から熱い視線を集めるボージョレーアルザスそしてシャンパーニュとご紹介してきました今回は最終回ということで皆様からの反響の大きかった生産者や醸造所を振り返ってみたいと思います魅力あるワインの数々に酔いしれてみましょうではご覧くださいフランスの北東に位置しボルドーやブルゴーニュと並ぶワインの生産地として知られるアルザス地方この地方の中心都市がストラスブールです運河沿いに並ぶ民家など伝統的な古い街並が続く旧市街中でも目を引くのがノートルダム大聖堂です1874年まで世界一高い建物だったのだとかその大きさと豪華さで見る者を圧倒しますこの美しい旧市街は2000年以上の歴史や文化を伝える景観が認められ1988年ユネスコの世界文化遺産に登録されました伝統と近代的技術を共存させヨーロッパの十字路とも称されるストラスブールから南へ緑深いヴォージュ山脈のふもとを北から南へと170キロにわたって続くのがアルザス・ワイン街道です街道沿いに点在する村々では古くからワインが生産されていますそんな街の一つがリボーヴィレ木組みの家々が情緒をたたえるこの街は花の街としても知られ色とりどりの花が訪れる人の目を楽しませていますそんなリボーヴィレで4世紀に及ぶ歴史と伝統を守り続けてきたのがトリンバックですアルザスの名家としてアルザスワインの生産とその歴史に貢献してきました世界で最も高貴な白ぶどう品種ともいわれるリースリングを使い極上の白ワインを醸し続けアルザス有数のワインメーカーとして知られるトリンバック6年前に13代目を継いだのがAnneさんです
(Trimbachさん)AnneTrimbachと申しますここはフレデリック・エミールというワインを造るためのぶどう畑ですワイン生産量の50パーセントはリースリングで造っていて私たちはリースリングのスペシャリストだと思っていますリースリングがいい品種だと思う理由がいくつかあります1つ目はテロワールのよさをそのまま引き出すことができる品種だから2つ目はどんな料理にも合わせることができるからです日本食であれフランス料理であれイタリアンであれどんな国籍の料理でもマリアージュしますよね300万本ものストックがあるというカーヴに案内してくれました1894年から1954年のとても古いコレクションになりますアルザス地方は何度もドイツ領になったことがあり1945年までドイツ領でしたここにあるほとんどがドイツ語表記のラベルです歴史の生き証人として保存しています4世紀もの歴史ある醸造所を受け継いだことについてどのように思っているのでしょう?ここのボトルを見るたびに先祖が代々築いてきた歴史がすべてここに詰まっていると感じることができるのでとても誇りに思いますAnneさんにとってアルザスワインとはどのような存在でしょう?エレガンス私にとって白ワインとはトリンバックにとってもアルザスにとってもエレガンスでなければいけませんミシュランの星に輝く有名シェフたちも認めたトリンバックのワインアルザスを代表する銘酒です街道沿いに点在する村々の中でフランスの最も美しい村の一つに指定されたのがエギズハイムです今も数多くのワイナリーがありますがその中の一つドメーヌ・ジンクを訪ねましたオーナーは若手醸造家として期待されているPhilippeZinckさんです彼が紹介してくれるぶどうの品種はゲヴルツトラミネールリースリングピノ・グリと共にアルザスを代表するものとして知られています
(Zinckさん)ゲヴルツトラミネールはアルザスを象徴するぶどう品種の一つに挙げられますアルザスは乾燥していて夏はとても暑いんですがその気候と豊かな土壌が栽培に適しているんですよ上品な風味が特徴のいいワインができます豊かなアロマを引き出すために細心の注意を払っているといいます手で収穫したぶどうはこの搾り機に入れ果汁を搾ります私たちはぶどうを房ごと手で摘んでいますそれによってぶどうの実を1粒ごと取るよりも果汁がしたたり落ちることが少ないんですつまり搾り機に入れるまでぶどうのアロマ香りがフレッシュな状態でキープできるわけですドメーヌ・ジンク自慢のワインを紹介してくれましたうちで醸造したゲヴルツトラミネールの2012年ですゲヴルツトラミネール独特の藤色のバラの香りエキゾチックなフルーツの香りスパイスの香りいいワインですアルザス・ワイン街道の中心コルマールからすぐの所にあるカッツェンタル村ここに17世紀からぶどうを栽培1999年からワイナリーを始めたという醸造家がいますClmentKlurさんですKlurさんはワイナリーの創業と同時にビオロジック栽培を開始し2004年にビオディナミに転換したそうですビオディナミとは農薬や化学肥料を使わないだけでなく太陰暦に基づいた農業歴に従って種まきや収穫などを行う有機栽培の一種です
(Klurさん)ビオディナミの仕事は土壌をきちんと管理することが大変なんだぶどうを育てるために特別に作った有機肥料を与えている例えば去年収穫したぶどうの搾りかすとかねまた根元の雑草ですらコントロールする必要があるこの列は耕して畝にしているんですがご覧のように常に木の根元に雑草を生やしています余分な湿気を吸収させるために草を伸ばしっぱなしにしておくのさほかでは雑草のことを悪く言うけどここでは違うよはははっ!収穫したぶどうは醸造所に運ばれますすばやくプレス機に入れて果汁を搾ります宝石のように光り輝くぶどうこの輝きこそKlurさんが1年かけて丁寧に育ててきた証しなんですねKlurさんが造っているのはクレマン・ダルザスというスパークリングワインですシャンパーニュと同じ伝統的な製法で造られていて洗練された味わいなのにお手ごろな価格で手に入れることができるのも魅力です木の樽で1次発酵を終えたあと酵母と糖分を加えてボトルの中で2次発酵を行いますここはスパークリングワインを寝かせているカーヴボトルの中で2次発酵させている最中さボトルを少しずつ回していっておりを沈殿させていくのさKlurさんが手間ひまをかけて造るクレマン・ダルザスメディアや有名なソムリエたちからも高い評価を得ています乾杯!フランスの首都パリの東南に位置し美食の街リヨンの北部に広がるのがワインを特産物とするボージョレーですボージョレーという言葉はフランス語で美しい高台を意味するボージュに由来その名のとおり美しくなだらかな丘陵地帯が続いていますフランスのワイン生産地の中でボージョレー地区の名前を一躍有名にしたのがボージョレー・ヌーヴォーですよね実は地元の人に愛されてきた素朴な地酒ボージョレー・ヌーヴォーを世界へと広めた仕掛け人がいます名醸造家GeorgesDuboeufさんです
(Duboeufさん)ぶどうを傷つけないように手で摘むことが重要です機械は使いませんそしてそのぶどうを房ごとタンクに入れていきます醸造はマセラシオン・カルボニックという方法です硫黄などは入れませんそしてボージョレー・ヌーヴォーの特徴はその醸造を早く終えることどんなワインが欲しいかで違ってくるんですが発酵期間は2日だったり3日だったり4日だったり軽いのが欲しいかコクのあるのが欲しいかで変わりますDuboeufさんとボージョレー地区のおよそ400軒もの優秀な生産者との強い信頼関係から生まれるボージョレー・ヌーヴォーその魅力とは…非常にいい色ですきちんと構築されていますし酸味があり奥深く繊細ですグラスについている液体がヒューっとこうゆっくりと下りてくるのがわかりますか?ワインが泣いているように見えますそう涙の滴みたいにねボージョレー・ヌーヴォーでその存在を世界に知らしめたボージョレー地区しかしこの地区は昔からのワイン生産地でヌーヴォーのほかにもさまざまな種類のすばらしいワインがあるんですよボージョレーワイン委員会インターボージョレーの会長にお話を聞きました
(Parisさん)最近ではもともとあったボージョレー・ヴィラージュやクリュ・ボージョレーなどの人気も高まってきていますそれに伴い熱意ある若い醸造家が増えてきています私たちボージョレーワイン委員会も土壌やぶどうの品種の研究を進めてボージョレーを1級のワイン生産地にしたいと願っていますボージョレー地区の最も北に位置するサンタムール村ボージョレーワインの中でも一番格が上というクリュ・ボージョレーの産地として知られていますこの村でワインを造っているドメーヌ・ドゥ・ラ・カーブ・ラマルティーヌを訪ねましたまずサンタムールのワインの特徴を聞きました
(Spayさん)非常に軽く香りが豊かな飲みやすいワインですそして何より優しくまろやかそれがサンタムールで造られるワインの特徴です自慢のカーヴに案内していただきました生きているという感じですね若いフルーツの香りフランボワーズやチェリーといったところでしょうかボージョレーを代表するワインクリュがカーヴの中で静かに熟成のときを待っていますボージョレー地区を一躍有名にしたのはボージョレー・ヌーヴォーの存在です毎年11月の第3木曜日に解禁されますしかし実は収穫してすぐに瓶詰めをするのではなく翌年の2月から3月ごろまでタンクの中でゆっくりと味のバランスを整えて出荷される春ボージョレーの存在をご存じでしょうか?ヌーヴォーのフレッシュさとは一味違う味の深みを楽しめる春ボージョレー皆さんもぜひ一度お試しになられたらいかがでしょうか?フランスワインの魅力を訪ねる旅いかがでしたでしょうか?フランスをはじめ世界にはすばらしいワインがたくさんありますそしてワインは常に進化していますまた新しいワインとの出会いが始まることでしょうそれでは皆さんまた会う日までAurevoir!2015/03/30(月) 23:00〜23:25
サンテレビ1
欧州ワイン紀行〜銘醸ワインの産地を訪ねて・フランス編〜[字][終]

芳醇なる美酒で至極のひとときを…◇フランスが世界に誇る3つの地域から、とっておきのワインをご紹介

詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
柳忠志
番組内容
最終回は、反響の大きかった醸造所をダイジェストでお送りします。ドイツと国境を接するアルザス地方からは、伝統を誇る醸造所とこだわりのオーガニックワインの生産者を訪ね、アルザスが誇る白ワインとスパークリングワインをご紹介。そして、美食の街・リヨンの北に位置するボージョレー地方からは、ボージョレー・ヌーヴォーを世界に広めた仕掛け人を訪ね、その魅力に迫る。フランスが世界に誇るワインの魅力を、ご堪能下さい。

ジャンル :
バラエティ – 旅バラエティ
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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