一方、中国を訪問しているルー米財務長官は30日、北京で李克強首相らと会談。AIIB担当の楼継偉財政相が同席しており、意見を交わしたとみられる。AP通信によると、ルー氏は融資判断などで高い基準を確保するため、AIIBは既存の国際機関と連携すべきだと指摘した。
米国は中国の影響力拡大を警戒してAIIBに懸念を示しており、設立にあたってはアジア開発銀行(ADB)や世界銀行をはじめとした国際金融機関と連携するようクギを刺したとみられる。 ルー氏は17日、米下院金融委員会の公聴会でAIIBについて「米国が主導する多国間制度に挑んでいる」と警戒感を示していた。
AIIBへの参加国は40カ国を超えるとみられ、形式上は日米が主導し、67カ国・地域が加盟するADBに迫る陣容のようにもみえるが、中身は似て非なるものだ。
AIIBは中国が資本の40〜50%を出資し、本部が北京、中国人がトップを務めるとみられる。ADBは日本と米国の出資が10%台、総裁は日本人だが本部はフィリピンに置かれている。
そして、最大の問題は「融資案件を理事会で決定するという国際標準の仕組みがないこと。通常の国際金融機関ではありえない」と指摘するのは、嘉悦大教授の高橋洋一氏。
「中国のトップが、ある国へのインフラ投資を政治判断したら、AIIBはプロジェクトの採算性など度外視して融資することになりかねない。焦って参加したら、不良債権を押しつけられるだけになる恐れもある。また、日本にとって不都合な融資が行われることもありうる。AIIBが北朝鮮に融資すると決めた場合、どうするのか」