「
夏の朝のような 夕方のような味
朝と夕方のひとときは
一瞬
同じ色彩 同じような香りがする
想い出の一瞬のように
淡く儚いようで
記憶にじんわり染み込んでくるような味 」
上は
私の妻がこの酒を飲んだ時
はじめて書いたティスティングポエムです
ポートアスケイグ19年カスクストレングス
私にとってアイラモルトの復活を
印象づけたモルトウイスキーでもあります
いくら古酒の方が良い酒がある割合が多いからと言って
バックバーに並べるお酒を古酒だけに限定はしません
余韻のある味
味のする酒
記憶に残る味なら
近年出た酒でも大喜びで 並べていくつもりです
このお酒は
ほんのちょっと前までなら
マニアックなモルトを専門に扱ってる酒屋には置いてありました
なので今もこの酒を
ストックしてるバーは多いとおもいます
おそらくシングル 1500円とか2000円とかで
量り売りしてるかもしれません
当店での量り売り予定価格は3500円
ひょっとすると4000円以上になるかもしれません
それもすぐに出すつもりはあまり無く
在庫が少なくなってきたらもっと高値をつけるかもしれません
私は
量り売りの値段を
仕入れ価格ではなく
主に味で値段を決めてます
このウイスキーは
私にとっては
1杯4000円の価値ある酒
アイラモルトとは
何なのかを
想いださせてくれたアイラモルトでした
最もこの酒に味のイメージが似ているのは
バブル時代末期に
特級表示がかかっていた頃の
ラフロイグ10年物でしょう
当時のお客さま方は
ラフロイグを注文する時
「 正露丸の 正露丸の味の酒! 」
と言っていたことを
なつかしく想いおこされます
他に
イメージが似てる酒をあげるならば
バブルがはじけた直後
当時西麻布にあった会員制クラブ ボウモアクラブの親会社が
スコットランドから樽で仕入れてきたモルトを
当時まだカスクストレングスモルトが珍しかった頃
樽から出したばかりの原酒を500mlのテイスティングボトルに小分けにしてつめ
あちこちのバーを練り歩き販売していました
500mlティスティングボトル
ボウモア
カオルアイラ
ポートエレン18年
今はもう見ることが無くなった数々の姿
その味の記憶も彷彿とさせてくれます
開栓した時に
これほど
正露丸臭風味あふれるアイラモルトを飲んだのは
ひさしぶりでした
浜に打ち上げた海藻が腐りはじめた香りが
ぷわんと口中に立ち込め
そしてグラスにポートアスケイグを薄く注ぎ
しばらく置いて
一瞬すぐに味抜けしたかと想いきや
その後
さらに置くと
樽香 浅いタンニン
ピート香が余韻としてじんわりと舌の両端から響いてきました
私はティスティングする時
最初に封明けた直後の味
そしてグラスに注いでから数十分した時の味
グラスに薄くなった状態で1時間以上置いてから飲んだ味
数時間置いた味と
いくつかの時間に分けてティスティングします
何故そうするかと言えば
瓶の中でそのお酒がどんな状態に変化していくかを確かめる為です
よくウイスキーは瓶熟成する
封を開けてから瓶熟成して練れてこなれてくる
味が変化するという人もいますが
あれは正確に言えば
瓶熟成ではありません
アルコール分の揮発による味の変化です
時の経過と共に変化があらわれるワインと違い
ウイスキーや蒸留酒は
基本的に
密封された状態では
当時作られた状態の味
昔のテイストを保つ性質であり
でもそんな蒸留酒が
味の変化が起こる時が
アルコール分の揮発による味の変化なのです
ウイスキーは密封された状態から開栓されると
少しづつ少しづつですが
中の液体のアルコール分が揮発していきます
そのアルコール分の揮発により
そのお酒が持っていた素材 樽質の味の要素がぐんと出ることもあったり
もしくはアルコールと共に味の気も抜けていったりすることもある
アルコール分の揮発による味の変化
これが蒸留酒の瓶内での味の変化の正体です
店で
量り売りをしているうちに
ボトル半分以下の量になると
このアルコールの揮発が開栓より
想いもよらぬ味の変化を多くもたらすため
その味の状態変化をチェックして
お客様にその時の酒の状態を
お伝えするためにも
私は開栓時
開けたての味
グラスにしばらく置いておいた時の味
グラスに長時間置いておいた時の味と
時間を分けてティスティングします
昔の自然の味が今より濃密で
その素材で作られた酒の中には
ある程度揮発すると
中で持っていた素材感が膨らんで
余韻や
旨みがあらわれたりします
よくストレートのお酒に水を足して
味がぶんと湧いてきた と楽しまれてる方もいるのですが
水を足して薄めなくても 腰のある酒ならば
時を置き 多少アルコールが揮発すれば 薄めなくても より濃く味の要素がぐわんと出たりします
昔の酒であるほど
その味の要素が高い比率で
強くあらわれるような気がします
でも
最近の効率的なアルコールの作り方では
開けたてで飲んでも
いくら置いても
素材の味の要素がめっきりあらわれず
ペラペラの希薄化されているような印象です
そんな感じで
前置きが長々となったのですが
このポートアスケイグ19年カスクは
現時点のアイラモルトでは
私の個人的な主観では買いです
おそらくどこかのマニアックな品ぞろえの酒屋で在庫があった場合
ひょっとしたらお見かけしたら
10000円位で買えるかもしれません
もし私が見つけたら買います
実は
本当はもっと買い置きしたかったのですが
輸入元に問い合わせても
少数しか在庫しかないということで
とりあえず
あちこちの酒屋に連絡して
1ケース程度は用意できたのですが
それぐらい私にとって
古き良きアイラを想いださせてくれた
なつかしきアイラモルトでした
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