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 イラクのアバディ首相は3月31日、中部ティクリートを政府軍が制圧したと発表した。昨年6月以来、過激派組織「イスラム国」(IS)に占拠されていた。イスラム教スンニ派が多数を占める地域で、政府軍が主要都市を奪還したのは初めて。スンニ派に根ざすISの攻略で成功例になると期待される一方、市民の犠牲が新たな宗派対立の火種になる恐れもある。

 アバディ氏は声明で「ティクリート作戦の成功を、他の地域でも繰り返す」と表明。ISの主要拠点である北部モスルなどの奪還に向けた足がかりとしたい考えだ。

 ティクリートはフセイン元大統領の出身地として知られ、モスルや石油施設が集まるバイジに直結する幹線道路沿いの要衝都市だ。スンニ派が多数を占め、スンニ派国家の建設をめざすISに共鳴する住民も少なくない。シーア派主導の政府が率いる作戦は「侵略」と映る恐れもあり、作戦は複雑な経過をたどった。