文学部に入り直したい理系の弟

私の弟は今大学3年生なのですが、急に他の大学に入り直すと言って先日のセンター試験を受けに行きました。
今は理系の学部ですが、文学部に行きたいそうです。
うちは昨年父が他界し、あと4年も弟に学生をさせるような金銭的余裕はありません。
だから諦めさせてほしい、ということを母に言われました。
どう言えば諦めると思いますか? 
(あい、女性、30歳)

僕は日本の大学のことはよく知らないのですが、アメリカの大学では、理系の学生が文系のクラスを選択していることがたくさんあります。わざわざ大学を受け直さなくても、クロスオーバーすることによって、今のまま自分のやりたい勉強はできると思うのですが、どうなのでしょう? それとも日本の大学ではそういうのはむずかしいことなのでしょうか?

それに文学を理解(研究)するために文学部に行っても、僕の予想では、まず間違いなくがっかりされるだけだと思いますよ。弟さんがどのような目的で、どのような大学の文学部に行きたいと思われているのか、その理由が今ひとつ不明確です。弟さんとそのへんのことをよく話し合われることが大事なのではないでしょうか。文学について話し合える友だちを求めておられるのか? 創作科みたいなところに入りたいと思われているのか? それとももっと違う理由があるのか?

わざわざ文学部に行かなくても、理系の勉強はそれなりに、文学の理解にずいぶん役立つはずです。理系の大学を出て小説家になった人も何人もいます。理系の魂を持って世界を観ることと、文学を理解することとは、けっして相反する作業ではありません。僕は個人的にそう考えておりますが。

村上春樹拝