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子どもの声は一律規制せず 改正条例施行へ
3月31日 17時16分

子どもの声は一律規制せず 改正条例施行へ
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子どもの声も騒音だとして保育所などに苦情が寄せられるケースが相次ぐなか、東京都は子どもの声については音の大きさで一律に規制しないとした改正条例を1日から施行します。都は「子どもの成長を地域で見守れるよう、話し合いによる解決を促したい」としています。
都内では、保育所などの空きを待ついわゆる待機児童の数が去年10月の時点で1万2447人に上り、自治体では保育所などを増やす取り組みを進めています。
一方で、保育所の近隣住民などから子どもの声も騒音だという苦情が平成20年度以降、都内の42の自治体に相次いで寄せられていて、中には、住民が保育所の運営会社に対し、都の従来の条例を根拠に騒音の差し止めを求める訴訟を起こすケースも出ています。
従来の条例は、日中は45デシベル以上の音が騒音に当たるとして一律に規制していましたが、1日から施行される改正条例は、小学校入学前の子どもの声については音の大きさで一律に規制せず、社会生活上、許容できる程度を超えた場合に勧告や命令を行うとしています。従来の条例と比べて基準はあいまいになりますが、都は条例を運用する自治体に対し周辺への影響を見極めて総合的に判断するとともに、保育所を設置する前から、近隣住民の理解が得られるよう話し合いを重ねてほしいとしています。
東京都環境局大気保全課の木村秀嘉課長は「同じ音でもコミュニケーションを深めることで苦情が軽減されたケースもあり、条例の改正をきっかけに子どもの成長を地域で見守れるよう、話し合いによる解決を促したい」と話しています。

訴訟へ発展するケースも

騒音を規制している東京都の条例を根拠に、保育園周辺の住民が子どもの声も騒音に当たるとして騒音の差し止めなどを求める訴訟を起こすケースもあります。
練馬区に平成19年に開設された認可保育園では、開設前から騒音に対する不安の声が住民から上がったため、周囲に防音壁を設置したり、子どもを園庭で遊ばせる時間を制限したりする対策を取りました。しかし、平成24年8月に「園児の声が、都の条例が定める住宅地での騒音基準の45デシベルを超えている」などとして、近隣の住民が保育所の運営会社などを相手に騒音の差し止めなどを求める訴訟を起こし、現在も係争中です。

開園を延期するケースも

東京・世田谷区では、1つの認可保育園の開園が、住民の反対などによって1年半余り延期になっています。この保育園は、世田谷区下馬の公務員宿舎の跡地に新たに施設を建設するもので、定員100人の規模で去年7月に開園する計画でした。しかし、地域の住民から、子どもの声や保護者の送り迎えで起きる混雑などに対する反対意見が相次ぎ、すでに2度にわたって開園が延期されています。現在は来年4月の開園を目指して住民と協議が続いており、建設工事はまだ始まっていません。
世田谷区によりますと、毎年、新たに開園する予定の保育園の1割から2割ほどが、地元の住民の反対によって開園を延期せざるをえない状態だということです。

厚労省「自治体が責任もって対応を」

厚生労働省によりますと、保育所の空きを待っている「待機児童」の人数は、去年10月の時点で全国でおよそ4万3000人で、このうち、東京都は全国で最も多い1万2447人に上っています。
1日にスタートする「子ども・子育て支援新制度」では、定員が19人以下の「小規模保育」や自宅で子どもを預かる「保育ママ」など多様な形態の事業を認めることで待機児童の解消を目指します。国は平成29年度末までの5年間に合わせておよそ40万人分の保育の受け皿を確保するとしていて、各地で保育所の整備が進んでいます。
こうしたなか、住民の反対で保育所の開設の延期が起きていることについて、厚生労働省は、自治体が責任を持って周囲の住民を説得したり保育所の運営者と協力したりして事業を進めてもらいたいと話しています。そのうえで、こうした事態がほかの地域で起きていないか状況を把握するとともに、自治体の相談に乗るなどして保育事業が適切に行われるよう支援していきたいとしています。

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