トップページ社会ニュース一覧職員アンケート 大阪市に賠償命じる
ニュース詳細

職員アンケート 大阪市に賠償命じる
3月30日 19時34分

大阪市が職員の組合活動や政治活動について行ったアンケート調査について、職員らが憲法違反だと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は「質問の一部は、憲法で保障された労働基本権やプライバシー権の侵害にあたる」と指摘し、大阪市におよそ35万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
大阪市は、平成24年に弁護士などの調査チームが実施する形で、市の職員およそ3万人を対象に、労働組合の活動への参加や特定の政治家を応援する活動経験について記名式のアンケート調査を行い、橋下市長は職務命令としたうえで、回答しない職員は処分の対象になり得ると通知しました。
これについて、大阪市の職員ら59人が憲法違反だとして、およそ1900万円の賠償を求めていました。
30日の判決で、大阪地方裁判所の中垣内健治裁判長は「労働組合の活動への参加についての質問などは、職員に動揺を与え、労働組合を弱体化させるもので、憲法で保障された労働基本権の侵害にあたる。また、特定の政治家を応援する活動経験についての質問などはプライバシー権の侵害にあたる」と判断しました。
そのうえで、「橋下市長はアンケートの内容を確認すらせずに職務命令を出し、回答を義務づけて職員の憲法上の権利を侵害した」と指摘し、大阪市におよそ35万円の賠償を命じました。
大阪市のアンケート調査を巡っては、労働組合などが訴えた裁判でも、ことし1月、大阪地裁が質問の一部を憲法違反と判断して賠償を命じる判決を言い渡し、大阪市が控訴しています。

原告側「一部でも主張認められ大きな成果」

判決について原告の永谷孝代さん(59)は「市の職員が市を相手に裁判を起こすのはただならぬ決意が必要でした。アンケートを提出しないと処分されるのではないかと毎日心配しながら過ごしましたが、市長だからといって何でも許される訳ではなく、違法だとする判決が出てよかったと思います」と話しています。
また、弁護団の西晃事務局長は「一部でも主張が認められ、大きな成果で、評価したい。市長は、民意で選ばれたからといって何をしても許される訳でなく、憲法の範囲で権限を行使するのが当たり前だ。市長はその自覚が足りず、こうした概念を忘れないで欲しい」と話しています。

大阪市「主張認められず遺憾」

判決について、大阪市人事課の高井俊一制度担当課長は「主張が認められず遺憾です。今後については、判決の詳細を精査したうえで対応を検討します」としています。

関連ニュース

k10010032781000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ