村上春樹がなんでも答えます!
期間限定サイト「村上さんのところ」は、毎回楽しみにしているサイトのひとつ。
わたし自身、同氏の「風の歌を聴け」を読んでからファンになり、村上さんの小説が発売されるたびに、心をワクワクさせながら読ませていただいている。
特に「ノルウェーの森」に心打たれた。あの作品はわたしのなかで生涯忘れられない名作のひとつになった。
さて、今回は村上さんのコーナー「村上さんのところ」で、とても気になったエントリーがあったので、記事にしてみた。
どうやら質問者は17歳の高校生。将来、専業の小説家を目指しているようで、その職業選択について、村上さんにアドバイスを求めている内容だ。
◇ 小説家を目指したい・・・
以下は「村上さんのところ」からの引用を交えながら、わたしの感想もポストしていく。
▼ 村上さんへの質問内容
村上さんこんにちは。
村上さんやカズオ・イシグロ、ポール・オースターが好きな十七歳です。高校生になってから将来の職業について考える機会が増え、いろいろと考えてみるのですが、やっぱり小説を書くことが仕事だったら楽しいだろうなーと考えてしまいます。専業の小説家は本当に限られた人だけがなれるものだと分かっているというか知っているつもりです。また個人的には小説家はなるか、ならないかではなく、なれるか、なれないか(またはなってしまうか、そうでないか)というようなものだと思っています。でもやはり小説家になれたらいいなーと考えてしまいます。今までに書いてみた小説というか文章はせいぜい原稿用紙十枚程度ですが、大学生になったらもっと長いものも書いてみたいと思います。
村上さん、職業選択について何かアドバイスをお願いします。
(つばくらめん、男性、17歳、高校生)引用元 : 村上さんのところ
この質問に、村上さんが丁寧に答えてくれた。
▼ 村上さんの答え
自己表現をするにあたっての僕のアドバイスは、レイモンド・カーヴァーが大学の創作講座で生徒たちにしたアドバイスとまったく同じものです。
「書き直せ」、これがすべてです。いろんなものを書き散らすのではなく、ひとつのことを何度でも何度でも、いやになるくらい書き直す。これが大事です。
その作業に耐えられない人は、まず作家にはなれません。それから指導してくれる人、忠告を与えてくれる人が必要です。何度も書き直し、何度も忠告を受ける(あるいは批判される)、そうやって人は文章の書き方を学んでいきます。
たしかに職業的小説家になるのは簡単ではありません。しかしたとえ小説家にはなれなくても、人が生きていく上で、文章技術を身につけるというのはとても大切なことだと僕は思います。何かと役に立つものですよ。
引用元 : 村上さんのところ
村上さんの仰られていることは、一度でも商業作家として出版経験のある者ならば「うん、その通りだね」と納得できる内容だ。
それに、たとえ専業小説家(専業作家)になれなくても、文章術をマスターしていれば、ビジネスメール、社内報、報告書など・・・、今後はいろんな場面で役に立つだろう。
ブログを書くことにも役に立つスキルなので、文章技術を身につけておけば、それだけで世界が変わることだってある。
◇ 編集者に何度も間違いなどを指摘されて、鍛えられていく
わたしの知る限り、一般文芸でもライトノベルでも、現在商業作家として活躍している方たちのほとんどが、編集者に間違いや内容変更を指摘され、何度も書き直しをさせられている。
書き上げた原稿が1発でOK! なんてことはまずありえない!
村上さんが仰られていた、「指導してくれる人、忠告を与えてくれる人が必要です。何度も書き直し、何度も忠告を受ける(あるいは批判される)、そうやって人は文章の書き方を学んでいきます」にもあるように、自分では気づけないことでも、他の人の目が入ることにより、鍛えられ、磨かれ、次第に書く技術は上がっていく。
ライター業にしても作家仕事にしても、幸い、わたしには間違いを指摘してくれる編集者がいる。だがわたしの文章が下手くそなため、いつもご迷惑をかけている。時には厳しいことも指摘されるが、それを真摯に受け止めることで、どうにかこれまで6年間、作家としてやってこれた。
書く技術が身につけば、ブログなどを通じてたくさんの人を魅了することも可能だ。
それだけで自分のなかの世界が変わる。日々の日常が楽しくなる。
商業作家ともなれば何度も書き直す、させられることもあるけれど、それがやがて自分の血となり肉となる。
やはり村上さんのいう、「書き直せ」、これがすべてです。は正しい答えだ。
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