平成26年4月より腹腔鏡センターが西宮渡辺病院内に新しく設置されました。
腹腔鏡センターでは、主にお腹の病気を対象に診療を行っております。ソ径ヘルニア(脱腸)、胆石症、虫垂炎などの良性疾患から、胃癌・大腸癌を中心とした悪性腫瘍まで幅広く行っています。
ひと昔前は、お腹に大きな切開をおき、手術翌日はほとんど寝たきりで過ごすことが多く、また傷の痛みもしばらく続くため、「一か月間入院していた」ということも珍しくありませんでした。しかし、近年、お腹に小さな穴をあけて行う「腹腔鏡手術」が増えてきました。手術によっては、当日より食事が摂取でき、傷の痛みは開腹手術の10分の1と言っても過言ではありません。
さらに、腹腔鏡手術は傷の痛みだけではなく、美容面でも優れ、患者さんにとって負担の少ない手術といえます。
当院では腹腔鏡手術を積極的に取り入れ、患者さんの早期の社会復帰を目指しております。
さらに、早期の胃癌・大腸癌に関しては内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)を用いて、体にメスを入れることなく治療を行うことも可能です。手術や治療の選択は患者さんが行うものであり、われわれ医師が決定するものではありません。治療法に対する心配やご要望がありましたら、お気軽にご相談ください。
患者さんがきちんと納得できるまで、十分にご説明いたします。
急性虫垂炎、ソ径ヘルニア、胆石症、臍炎(尿膜管遺残)、腸閉塞 等
胃癌、大腸癌、消化管GIST(間葉系腫瘍) 等
1987年フランスのMouretが腹腔鏡下胆嚢摘出術を報告したのが正式な腹腔鏡手術の始まりといわれています。
その後、1990年に日本に導入されて以来、爆発的に全国に広がっていきました。
腹腔鏡手術というと、全く違った手術のように感じるかもしれません。
しかし、行う手術は従来の手術と変わらないのです。ただアプローチが違うだけなのです。
ある目的地に向かうのに、歩いていくのか、車でいくのか、新幹線で行くのか、飛行機で行くのか、その時々でどれが最も快適で安全か。
いつも飛行機がベストという訳ではありませんし、まずは目的地がどこなのかを十分に認識していないとたどり着けません。
病気を治すための手術という目的地を十分に理解したうえで、腹腔鏡手術という乗り物の操縦を行う必要があるわけで、目的地は知っていても操縦法を知らなかったり、操縦法を知っていても目的地を知らなかったりでは腹腔鏡手術は行えないのです。
腹腔鏡手術が日本に本格的に導入され、まだ25年ほどです。
その間にも腹腔鏡手術は大きく変化してきました。
当初は良性疾患、早期がんにしか行われなかった手術が、進行がんやもっと複雑な手術にも行われるようになってきました。それに伴ってさまざまな器具が開発され、手術をより安全に確実に行えるようになってきています。
常にこれらの情報、技術を取り入れる努力と勉強をすることが、腹腔鏡手術を行う医師の義務であると考えています。もちろん、当院でもさまざまな疾患に対して腹腔鏡下手術を施行するだけでなく、常に新しい技術と知見を取り入れるように努力しています。
腹腔鏡手術の最大のメリットは『体にやさしい手術である』ことといわれています。
女性でなくとも手術のきずは気になります。その点、腹腔鏡手術は美観に優れた手術といえます。きずが小さいことは美観だけでなく、痛みを少なくすることが出来ます。これは、術後に起こるさまざまな合併症を減らすことにもつながる重要な点です。
〜術後肺炎が少ない〜
痛みが少ないと、早い時期から体を動かすことができます。これを早期離床といいます。 術後の肺活量が減れば、肺炎のリスクが上がります。そのため、腹腔鏡手術では術後の肺炎が少なくなると言われています。
〜社会復帰が早い〜
早期離床により入院期間も短く、社会復帰も早いといわれています。当院で手術した患者様もその回復の早さに驚かれています。
きずが少なく、常に湿った環境の中での手術であり、さらには早期離床による腸管運動の回復により癒着が少ない手術が可能です。
癒着が少ないということは腸閉塞の可能性が少ないといわれています。
術後早期から腸が動いているので、無理なく食事を取ることが出来ます。
早期より食事を取れるということは、栄養状態の回復の面でも重要なことです。
動物を使った実験でも、腹腔鏡手術は早期に腸管運動が再開し、腸そのものの浮腫みも発生しにくいため運動、吸収の面でも優れていることが証明されています。
腹腔鏡手術は常に進化しています。
最近ではさらに低侵襲な手術を求めて単孔式腹腔鏡下手術に取り組んでいます。
これは字のごとく、一つの穴からこれまでの腹腔鏡下手術を行う方法で、多くはお臍を切開して、ここに特殊な器具を装着して(図1)刺さっている筒に手術器具を挿入して手術を行います。(図2)
状況に応じて、別に補助用に1〜5mmの手術器具を挿入するための傷を1個追加する場合もあります。
手術後の傷はお臍の中にほぼ隠れてしまうので、パッと見はきずがないように見えます。
現在までの報告では通常の腹腔鏡手術に比べて、きずが目立たなく術後の痛みも少ないが、術後の回復具合にはあまり変わりがないといわれています。
手術手技は通常の腹腔鏡手術よりもさらに難易度が高くなることが多く、どの病院でも、どの医師でもできる、という手術ではありません。
当院でも手術前に十分検討した上で、条件が合えば単孔式腹腔鏡下手術を行っています。この他の手術でも単孔式手術が可能な場合がありますので、手術を受ける際には一度ご相談ください。
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