(男)うっ!
(女)やめて!
(男)この野郎〜!
(男)うぅっ…。
(男)来いよおら!
(男)てめえ…。
(男)ぶっ殺してやる!!
(男)この野郎!
(男)うぅっ…。
(男)何やってんだよ。
(男)こらぁ!!
(男)うぅっ…!
(ナイフを突き刺す音)
(男の悲鳴)
(男)うぅっ…。
(女の悲鳴)
(男)うっ…うぅっ…。
(男)逃げるぞ!いくぞ!!
(女)あっ…。
〜〜
(久保隆)
古都鎌倉の山あいにひっそりと佇む男と女の宿「くわの」。
「くわの」の売りといったらやはりこの美人女将桑野厚子。
女将さんの笑顔と人柄に惚れ込んでこの宿を訪れるお客様も少なくありません。
あっご紹介が遅れました…私は番頭の久保隆。
この宿にとっても女将さんにとってもなくてはならない存在と自負しています
(翔太)ねぇおじちゃん。
おぉ翔太おかえり。
お母さん見てぼ〜っとしているとまたみんなに叱られるよ。
(足音)
(勝江)どう?
(敏子)今のところは…。
(千秋)今日は特別に暗かったです。
あぁ…。
どうしたんですか?
(敏子)自殺…。
自殺!?し〜っ!
(珠子)「萩の間」のお客様。
萩の間?
(千秋)お一人で1週間前から泊まっているお客様です。
あぁ…。
でもどうして萩の間のお客様が自殺なんか…?あんたねぇ見習いとはいえ番頭なんだから少しはお客さんのことチェックしなさいよ。
いつも暗い顔してたまにしか部屋を出てこないし食事もほとんど手をつけてないでしょ?
(敏子)カミソリなんか置いてないでしょうね?いやまさか自殺なんて…。
カミソリ?いや…ちゃんと掃除はしてますけどね。
ちょっと…。
〜
(桑野厚子)ちょっと!あっ!!女将さん。
もう何してんのよ!!誤解しないでくださいよ。
あっ…いやのぞきとかそういうんじゃないんですよ。
それに僕はピチピチよりしっとり派ですから…。
聞いてないしどっちでもいいわ。
すみません…。
あのですね勝江さんたちが萩の間のお客様が自殺するかもしれないなんて言うんでつい…。
萩の間のお客様?でも気にしないでくださいいつもの根拠のないデマですよ。
あっそろそろ同窓会のお客様到着です!いきましょう。
えぇ。
誤解しないでくださいね。
〜女将さんどうしたんですか?ぼ〜っとしちゃって。
あっ…もしかしてさっきお風呂に入った萩の間のお客様のことですか?うん。
実はね私もちょっと気になってたの。
まぁ確かに女性一人で1週間も滞在してるというのは不自然ですけどね…。
(敏子)大学のゼミの1泊の同窓会ですって。
男女3人ずつ!男女3人ずつこういう宿を使うってことは何か下心があるんだよ男も女も。
34〜35歳っていうと青春時代の甘酸っぱい思い出がいつドロドロ不倫に発酵してもおかしくない歳よね。
不倫同窓会か…嫌だ嫌だ。
でも今日のお客様は弁護士さんとかそういうお堅い仕事の人たちですよ。
お堅い仕事の人間だって羽目外すことあるのよ!!ねぇ!いらっしゃいました!!
(仲居たち)いらっしゃいませ!お待ちしておりました!!
(2人)いらっしゃいませ。
あの二人…。
どうしたんですか?お客様いらっしゃるのに立ち話は失礼ですよ。
文句だけ一人前なんだから。
ホント。
〜
(珠子)お部屋はこちらと…こちらでございます。
3名様ずつでよろしいですね?
(2人)はい。
あの二人昔は恋人どうしだったってことですか?そうだったんじゃないの?よく一緒にここに来てたわよ。
いつくらいの話?7〜8年くらい前だったかな…。
(千秋)でもあの二人名字が違うし男の人は左手の薬指に指輪してましたよ。
結ばれなかったってことなんじゃない?でも幹事を一緒にしてることや熱い思い出の場所を同窓会の会場にしてるところをみると今でもデキてんじゃないの?不倫よ不倫!間違いないから!!みんな何してんの?夕食の準備の時間よ。
ねっ女将さん気づきました?あの同窓会幹事の二人7〜8年くらい前よくここにいらしてましたよね?勝江さん…!
(勝江)何してんのよ!?仕事よ仕事!〜
(敏子)失礼しま〜す!
(田口)ここ置いといて。
はい。
すみませんお待たせしました。
〜
(北畑)田口お前いつまで独身でいるんだよ。
相手いないのか?そういうわけじゃないんだけどさ。
(奈緒)相手いないわけないでしょ。
田口君はIT長者よ。
独身生活謳歌してるのよね?そっか…俺も田口みたいに司法試験落ちてりゃよかったな。
(志保子)イソ弁の身じゃ大変だもんね。
(奈緒)ねぇ!志保子の旦那さんの事務所で雇ってもらえばいいじゃない!うちの人は優秀な人材しか雇わないの。
きついな…それ。
ねぇ由紀は…結婚しないの?
(由紀)えっ?
(志保子)奈緒!
(奈緒)いつまでも引きずっててもしようがないんだし杉浦君は幸せな家庭築いてるのも事実なんだし…。
よしなよ!いいの。
あたし別に引きずってないから。
結婚しないのは田口君と同じでえり好みしてるだけ。
杉浦君はみんなと同じ大事な友達だよ。
いやそうだよな!由紀ちゃんみたいな美人周りの男ほっとくはずないよな。
そりゃそうだよな。
(笑い声)お疲れさまです。
不倫同窓会どう?いや別に…。
ただのエリートの出世自慢って感じですよ馬鹿みたい。
お酒飲んでこれからお楽しみってとこかしら?フフフ…。
珠子さんしゃべってないで…。
わかってるわよ!〜
(咳込み)ねぇちょっと…大丈夫?
(咳込み)
(由紀)田口君!誰か!誰か来てください!!
(千秋)あっ女将さん!救急車!!救急車呼んで!
(勝江)あっ女将さん!何だよ?これおい…。
大丈夫ですか?
(勝江)何か飲み物ない?あっちょっと待って!!食べ物飲み物触らないで!絶対に!!どうして?これ毒殺ですよ毒殺。
はぁ!?
(珠子)毒殺!?毒殺ってまだ死んでないんだから縁起でもないこと言うんじゃないよ!!この症状は筋弛緩剤のサクシニールコリンを誤って摂取したときと同じものなんですよ。
うるさいな!何訳わからないこと言ってるの!?だからこれ誰かが毒物…食べ物飲み物に入れたんですよ。
えっ?殺す目的で…。
杉浦さん!杉浦さん!!〜
(サイレン)
(カメラのシャッター音)
(刑事)今日に限って特別なお料理を出されたとか?ううんいつもと同じお料理ですけどねぇ。
ご苦労さまです。
〜
(番場)女将さん。
お銚子の中から筋弛緩剤の成分が検出されました。
えっ?やっぱりそうだ!!サクシニールコリンだったんだ!よし!!当たった!当たったってお前何はしゃいでんだよ!!えっ?幸いにして病院に運ばれた5人全員摂取した量が少なかったおかげで命に別状がなかったけど…これは明らかに殺人未遂事件なんだぞ!すみません。
でもいったいそんなもの誰が…。
そうなんですよ…。
誰が飲むかもしれないお銚子の中に毒が入っていたということはこれはひょっとして無差別殺人ということも考えられますね。
無差別殺人!?女将さん?誰がやったにせよ「くわの」がお客様にお出ししたお酒の中に毒が入ってたっていうのは事実なの!あたしたち…取り返しのつかないことしちゃったのよ。
このたびはホントに申し訳ございませんでした。
どういうことですか?どうしてお酒に毒が入ってるんですか!?まだ旅館が誤って混入したとも言い切れないんですよ。
どういうことですか?同窓会に参加していた誰か…。
あるいは全員に対する恨みをもった第三者が混入した可能性もありますしね。
何か心当たりはありませんか?ありません。
(足音)
(るり子)由紀さん…。
(由紀)るり子さん。
主人は?主人の容体は?今治療中ですけど命に別状はないそうです。
あの…北鎌倉署の番場と申しますが失礼ですが…。
杉浦治の家内です。
(番場)あぁ弁護士の杉浦さんの…。
実は酒の中に毒物が混入されてまして…。
誰かに毒を飲まされたっていうこと?何か心当たりはありませんか?あなたじゃないでしょうね?違います!なんで私が…。
どうしてあなただけがピンピンしてるのよ。
一緒にいたんでしょ?おかしいじゃない!!
(番場)あの…浅尾さんはお酒が飲めないそうで飲んでないんですよ。
あの…もし勘違いしてたら申し訳ありません。
あなた先ほどくわのにいらっしゃいませんでしたか?どういうこと?隆さん。
厨房の裏で見かけたんですよよく似た方…。
そうなんですか?奥さん。
私は確かにくわのへ行きましたよ。
(番場)何のために?主人のことが心配だったんです。
この人は主人に捨てられたこと恨んでいます。
だから何かしでかすんじゃないか心配で見にいったんです。
私の悪い予感的中したんですね。
あたし何もしてません。
あなたの言うことなんて信じられるものですか!あのそれを言うならあなたも厨房に入れたんじゃないですか?何よそれ!あたしが毒を入れたとでもいうの!?冗談じゃないわ!あなたたち旅館の不始末をあたしになすりつけるつもり?毒入りのお酒を飲ませたのはあなたたちでしょ!!ですからそれ今みんなで解明しようとしてるんじゃ…。
隆さん!…すみません失礼なこと申し上げて。
刑事さん…。
私には毒をもる理由なんてありませんから。
はい。
〜ご苦労さまでした。
ありがとうございました。
女将さんはあたしと杉浦君のこと覚えてらっしゃいますよね?はい。
どういうことですか?ずっと昔私は杉浦君と何度かこのくわのに訪れていました。
(由紀)彼と交際していたんです。
(由紀)でもそのあと別れてしまって…。
彼が結婚相手に選んだのは先輩弁護士のお嬢さんのるり子さんでした。
るり子さんは私が杉浦君を捨てられた腹いせに殺そうとしたとでも思ったんでしょうね。
(由紀)もちろん私は何もしてませんし私は杉浦君もるり子さんも恨んだりはしていません。
お互い納得して別れたんですから…。
今では杉浦君はいいお友達です。
あの奥さんのほうが根にもってるって感じだよな。
ちょっと…!ちょっと待ってくださいよ!ねぇ!!どうして逃げんですか?おかしいでしょう?何探ってんですか?彼女は関係ありません。
えっ?彼女は関係ないんです。
巴さん…。
心配かけてごめんなさい。
巴さんって佐藤ひろみさんじゃ?偽名を使わせていたのも私なんです。
すみません。
えっ?よかったら事情を聞かせてもらえませんか?
(巴)見てください。
夫にやられたんです。
〜巴さんは東京で結婚生活を送っていました。
でもひどい暴力亭主で毎日のように暴力を受けていたんです。
〜仕事見つけに行かないの?
(慎一)黙れ気が散る。
もうお金ないの。
あなたが働かないならあたしが働く。
(慎一)なに!?
(慎一)もう一度言ってみろ!私が働く…。
(慎一)ほぅ…。
(慎一)そんなに外に出て男作りたいのか?あぁ?俺じゃ満足できないのか!そんなこと言ってないじゃない!口答えしてんじゃねえよ!このくそアマ!いいか!聞け!お前はな…俺の言うことだけ聞いてればいいんだよ!
(たたく音)きゃぁっ!きゃ〜っ!!
(巴)嫉妬心と独占欲が異常に強い男でした。
あのまま一緒に暮らしていればいずれ殺されると思って着の身着のままで友人を頼って鎌倉へ逃げてきたんです。
でもそこにまで…。
〜
(由紀)途方に暮れた巴さんは私が勤める生活センターに駆け込んできたんです。
巴:あの男に捕まったらいつかきっと殺されます。
助けてください…。
大丈夫ですよ
(由紀)同じ女性として巴さんのことを放っておくことができなかった。
しばらく身を隠すのにこの「くわの」を薦めました。
ここなら女性が1人で泊まっているとは思わないだろうから絶好の隠れ場所になると思ったんです。
それに女将さんがとても頼りになる方だということも知っていたので…。
えぇ。
そういう事情なら最初からお話していただければ…。
申し訳ありません。
万が一こちらの関係者の方から巴さんのことが外に洩れるのが怖くて…。
今回同窓会の場にこちらを選んだのは私です。
この同窓会の場で弁護士の杉浦君や北畑君に巴さんのことを相談してうまく話が進めばその場で紹介しようと思っていたんです。
あぁそれで巴さん皆さんのことを不安そうに見ていたんですね。
はい…。
女将さん…。
こんなときに大変申し訳ないんですが巴さんのことをもうしばらく匿ってもらえないでしょうか?私が彼女の夫と離婚交渉を進めますから…。
わかりました。
巴さんこの1週間ずっと不安な気持ちで過ごされたんですね。
気づかないでごめんなさい。
いいえ…。
でもこれからは巴さんがこの「くわの」にいらっしゃるかぎり私が女将として責任をもってお守りします。
ありがとうございます。
(山越)被害に遭った5人は今朝方全員退院しました。
(六波羅)何か心当たりはないか一人ひとり話を聞いてみます。
(番場)弁護士にIT長者に評論家か…。
手ごわそうな奴ばっかりだな…。
〜
(翔太)おじちゃん何見てるの?おぅ翔太…俺はな推理作家のプライドにかけてこの事件の謎を解こうと思ってるんだ。
推理作家志望でしょ?ハハハ…なんだお前…知らなくてもいい難しい言葉知ってるんだな…。
でどうなの?わかったの?おぅ…まぁ聞いてくれよ。
毒物はな…この何本かのお銚子のなかの1本だけに入ってたんだ。
俺はこのとっくりきれいに洗って酒を入れて燗をした。
でな…!敏子さんが厨房から客室までこうやって運んだんだよ。
てことはその間に何者かが何らかの手段を使って毒物を入れたってことだろ…そこで俺は考えたんだよ。
これだよ!
(翔太)どれ?犯人は屋根裏から毒物を垂らしたんだよ。
〜どうだ?あ〜ちょっとお前には難しすぎるかな?
こんなふうに私の推理は冴え渡っていたのですが警察の捜査に進展はなく…
なんの収穫も得られぬまま1週間が過ぎたのでした。
そしてまた新たな事件が静かに忍び寄っていたのです
暴力亭主が明日ここに来るってことですか?はい…やっと離婚に応じてくれたんですが最後もう一度だけ巴さんに会いたいというのでその要求だけはのみました。
そうですか…。
どうしても会わなければいけませんか?怖いんです…。
あの人がすんなり離婚してくれるとは思えないんです…また暴力をふるってくるような気がして…。
巴さん…心配なのはわかるけど逃げ続けるわけにいかないのよ。
ここでけじめをつけるしかないの。
ご主人は私が時間をかけて説得しました。
それにあなたのことは私が必ず守るから…。
我々も力になります。
ねっ女将さん。
えぇ…。
〜お疲れさまです…お茶いれますね。
女将さん…明日の暴力亭主のこと心配してるんですか?うん…いつもなら任せてって言えるんだけど例の毒入りのお酒の事件も解決されていない状況じゃそうも言えないし…。
すみません…俺が事件を解決できないばかりに…。
ううんそれはいいの。
全然期待していないから…。
えっ?えっ?あ…ごめんごめん。
ハハハ…いえいいんですよ!でも暴力亭主は任せてください。
俺は女将さんをちゃんと守りますから。
私のことは守ってくれなくていいのよ。
あ…そうか…。
何も起こらなければいいんだけど…。
…えぇ。
(慎一)どうも!お〜こんな所に匿ってやがったか…。
約束はきちんと守ってくださいね。
わかってるよ。
(敏子)来た!暴力亭主。
(勝江)へぇ〜見るからに悪そうな男。
ほら出番よ!
(千秋)隆さん頑張って!
(慎一)おぅ!…いらいらっしゃいませ。
巴はどこだ?ええと…。
お待ちしておりました。
・失礼します。
(ノック)
(慎一)よぅ…。
今お茶いれますね。
いらねえよ!お前ら出てってくれよ。
いやそういうわけには…。
なに?そういうわけにはいき…。
赤の他人がごちゃごちゃ言って…。
やめてください!大丈夫ですから。
でもあの…。
これは私の仕事です。
わかりました。
だってよ。
大丈夫ですかね?えぇ…。
(悲鳴)女将さん!〜どうしました?わぁっ!!あっ!…隆さん救急車!はい!お客様!!きゃぁっ!大丈夫…大丈夫よ。
お客様!お客…。
〜
(サイレン)〜
(カメラのシャッター音)
(山越)頭を強打されていますね。
(番場)うん。
(泣き声)巴さんは悪くありません。
あぁしなければ彼女も私も殺されてました。
そのときの状況を詳しく話してもらえませんか?はいあの人…高島さんは紳士的に話をするという私との約束を破ったんです。
巴もう一度考え直してくれないか?なぁ俺はお前がいないと生きていけないんだ。
高島さんあなたは離婚に応じると言ったじゃないですか。
うるせえなぁそうでも言わなきゃこうして会えなかったろ。
巴…。
高島さん!俺はお前のこと逃がさないからな。
離して!やめてください!うるせえな!高島さんやめてください!やめて!離して!
(慎一)お前からだお前がまず死ね!
(叫び声)
(由紀)巴さんは私を助けてくれたんです。
これは正当防衛ですよね?刑事さん。
それは今私がここで口にすべきことじゃありませんから…。
(番場)今の話に間違いありませんか?はい…。
あっ…!
(由紀)巴さん!
(番場)大丈夫か?しっかりしてください。
(サイレン)とにかくお前は病院へ行って彼女を見張ってろ。
はい。
番場さんちょっといいですか?ん?なんだよ?女将さん…。
これ見てください。
高島さんが亡くなる前に書き残したんです。
(番場)高島が?えぇ。
これってダイニングメッセージじゃないですか?ダイニングメッセージって…お前台所のメッセージか?それを言うならダイイングメッセージだろ。
いや…とにかくねこれ犯人の手がかりを残したんですよ。
犯人の手がかりって殴ったのは奥さんってわかってるじゃないか。
あっそうか…いやでもねこれ何かの意味があるんですよ。
番場さん8っていう数字何か心当たりありませんか?8…?いやわかんねえなぁ。
しっかり考えてくださいよ!ん〜…なんだよ!素人が何偉そうなこと言ってんだよ〜。
すみません。
(番場)あぁ数字の8に見えなくもないが…。
たまたまそう見えるっていうだけだなぁ…。
いや一応これ写真を撮らしてください。
はい。
8ねぇ〜。
いつまで触ってるんですか。
離してください。
なんだよ…。
ご迷惑おかけしてしまってホントに申し訳ありませんでした。
いいえ私こそ巴さんを守るなんて言っておきながらごめんなさい。
まさかこんなことになるなんて。
あのちょっといいですか?8という数字に何か心当たりありませんか?8?えぇ。
亡くなった高島さんが女将さんの手に書き残したんです。
心当たりはありませんけど…。
そうですかやっぱりなんでもないのかな…。
いや待てよ…。
いいよお前は何にも考えなくて。
ややこしくなるばっかりだよ〜まったく…。
8…。
(番場)8ねぇ…。
〜これマジでやばいわよ。
肌の衰えですか?どこが衰えてんのよ。
ピチピチしてるでしょ〜!は?ピチピチっていうのはこういう肌を言うんですよ〜。
わっ!いい気になってられるのも今のうちだけよ!あんたもねいずれあぁなんのよ。
言った!?誰のこと?ヘヘッごめんなさ〜い。
ちょっと!やばいのはそのことじゃないのよ。
この「くわの」よ「くわの」!
(珠子)毒殺未遂事件がまだ解決してないのに今度は夫殺しよ!そんな旅館に誰が泊まる?でも今度のは正当防衛ですよね?まぁそういうことになると思うけど問題はそういうことじゃないんだよ。
くわの始まって以来の大ピンチか〜。
こりゃやっぱ新しい職探すしかないかなぁ。
あ〜…。
わぁすごいぞ翔太完璧じゃないか。
しっかり勉強して偉くなってずっとずっとお母さんを支えないといけないからね。
え?お母さん今日も元気ないんだ。
そうか…。
無理もないよな…。
でもさ翔太。
お前がお母さん支えてあげられるようになるにはあと10年先だと思うんだよ。
それまで心配だよなぁ。
おじちゃんがいる。
え…。
俺か?って思ったんだけどおじちゃんちょっと頼りにならないから。
そうか?毒天井から落としたんじゃないと思うよ?えぇ私にも責任がありますんでできるだけのことはさせてください。
えぇでは明日。
よろしくお願いします。
失礼いたします。
どうしたんですか?え…あぁ。
由紀さんに電話をしたの。
巴さんの弁護知り合いの人に頼んでもらおうと思って。
そしたら由紀さん杉浦さんに頼むつもりだったらしいの。
だから明日私も由紀さんと一緒に杉浦さんに会ってお願いすることになったわ。
そうですか。
うん。
できるだけ巴さんの力になってあげたいの。
こんなことになったのは私にも責任があるし。
いえそれを言うなら俺にだって…。
でも大丈夫ですよ。
間違いなく巴さん正当防衛になります。
悪いのはあの男ですから。
誰が見ても明らかです。
そうよね?えぇ。
でもねぇ…。
もしかして8の文字が気になってるんですか?ほら番場さん言ってたじゃないですか。
たまたまそういうふうに見えるだけかもしれないって。
俺もダイイングメッセージなんて軽々しく口にしちゃいましたけど奴がメッセージなんか残す必要なんてありませんからね。
うん…そうよね?女将さん。
俺なんの力にもなれなくてすみません。
え?いつも頼りなくてすみません。
どうしたの?いえ…俺っていつまで経ってもこんな感じでなんか情けなくて…。
そんなことないわよ。
隆さんが側にいてくれるだけでちょっとほっとするの私。
癒やし系なのかな?そうですか?う…うんだから元気出して頑張って。
…はい!あの元気出して頑張ります!じゃあお休みなさい。
お休みなさい。
ははは…!
(六波羅)ナイフには高島慎一の指紋と浅尾由紀の指紋がついてました。
浅尾由紀の指紋はナイフを奪い取ろうともみ合ったときについたものと思われます。
(六波羅)灰皿には高島巴の指紋とともに浅尾由紀の指紋もついてました。
これは犯行後についたものと思われます。
大丈夫大丈夫よ…鑑識の結果は浅尾由紀の証言どおりってことだな。
はい。
殺された高島慎一ですが近所の住人の話だとまぁどうしようもない奴だったみたいですね。
(山越)定職に就かずぶらぶらしてる上に奥さんには暴力ばかり。
それにすぐかっとなって切れやすい奴だったようです。
それも浅尾由紀の証言どおりってことか。
はい…高島巴まだかなり動揺してるみたいでしばらくは入院の必要があるみたいですね。
〜わかりましたその女性の弁護は僕が責任を持って引き受ける。
ありがとう。
ありがとうございます。
(彩乃)ねぇねぇ…。
これ出してもいいかな?ちょっと待って。
なんですか?これ。
新作よ新作。
違う中身ですよ。
中身?桜餅に生クリームと桜エキスを混ぜた特製クリームをかけてその上に甘納豆とサクラエビを散らしたのよ。
ポイントは梅干しね。
あぁ気持ち悪いなぁ。
彩乃さんそんなことしてないで真面目に働いてくださいよ。
笑いとりたいんですか?笑いって何よ笑いって…。
あんたに言われたくないわよ。
それよりあんたこそこんなとこで仕事さぼって何やってんのよ?女将さんのボディーガードですよ。
ボディーガード?女将さんに言われたんですよ。
いつも側にいてほしいって。
ふふふ…。
厚子さんついに血迷ったのね…。
でもこんな大ごとになる前にもっと早く相談してほしかったな。
ごめんなさい。
由紀さんはあの同窓会のときに杉浦さんに相談するつもりだったんです。
それがあんなことになってしまって。
そうだったのか。
ごめん…。
(山越)バンバさん!バンバじゃないよ番場ね。
あっすみません。
例の毒殺未遂事件なんですけど同窓会の出席者のなかに怪しい人間がいたんですよ。
なに!?誰だ?はい…。
この田口武弘です。
(杉浦)ところで同窓会のときのこと何かわかりました?いいえ警察は捜査を進めてくれているようなんですけどまだなんにも。
(杉浦)そうですか…。
(田口)おい!!杉浦〜!!おらぁ〜っ!
(田口の叫び声)
(由紀)田口君!大丈夫か?杉浦君…。
田口どうして…。
どうしてだ?教えてやるよ。
俺はな昔からお前のことが嫌いだったんだよ!3か月前俺の会社が傾いたときお前ら俺に何かしてくれたか?俺助けを求めたよな?なんだよ田口暗いなぁ。
お前のとこ相変わらず景気いいんだろ?そんなことないよ助けてほしいくらいだよ。
冗談よせよ。
助けてほしいのはこっちだよ。
ホントに大変なんだよ。
あのさお前らさ…。
なんだよ。
(笑い声)わかったわかった!どうしたの?あれ冗談じゃなかったのか?だってお前…あのあと景気のいい話してたじゃないか。
お前らにみっともないとこ見せられるかよ。
(田口)みっともないとこ見せたらまた笑われるもんな!お前ら俺だけ司法試験に落っこちたとき思いっきり嘲笑ってくれたもんな!だからそうするしかなかったんだよ!おかげでヤクザ絡みの闇金からも金借りちまった…。
もうどうにもならなくなってたんだよ!あなたなのねお酒に毒を混ぜたの。
あぁそうだよ。
(田口)あの薬は闇金のヤクザからもらったんだよ。
「これ飲んで死んで保険金で金返せ」って。
借金返せなかったら死ぬしかなかったんだよ!逃げたってどうせ殺される。
どの道死ぬしかなかったんだよ!だったらよ俺をここまで追い込んだお前らをせめて巻き添えにしてやろうと思ったんだよ!だけどよ…量を間違えちまったんだよ。
ハハハハッ笑えよ…え?おかしいだろ?こんな俺をまた嘲笑えよ!田口!落ち着けよ。
(田口)杉浦俺がお前のことをいちばん許せなかったのはなぁ由紀ちゃんのことだ。
俺は学生時代からずっと由紀ちゃんのことが好きだった。
だけどお前の彼女だから我慢してた。
だけどお前8年前に由紀ちゃんのこと捨てただろ!そのくせまた手出してるだろ!これ以上由紀ちゃんのことをもてあそぶのはやめろ〜!お前殺して俺も死ぬ!やめなさいよ!そんなことしてどうなるの?由紀ちゃんが幸せになる。
もうやめて!そんなことしても私は幸せになんかならない。
由紀ちゃん…。
(叫び声)何してんだこの野郎〜!やるときゃやるじゃん!ボディーガード。
杉浦君…。
大丈夫…。
うぅ…チキショ〜…。
まぁ杉浦さんの傷も浅かったし何より女将さんに怪我がなくてよかった。
何言ってんですか危機一髪だったんですから。
わかってるよ。
警察だってなちゃんとあの田口に目をつけていたところだったんだ。
遅すぎますよ借金まみれだったんでしょ?もっと早く目つけてくださいよ。
それがな…あいつ借金で火だるまのくせにあっちこっちから更に借金して景気いいように見せかけてたんだよ。
(六波羅)番場さん杉浦氏と話できるそうです。
そうか…で奥さんとは連絡ついたのか?それが一昨日から熱海の別荘に行ってるそうなんですが連絡つかないんですよ。
ふ〜ん。
旦那が大変なときにどこで何やってんだかなぁ。
…それじゃ。
これで毒殺未遂事件解決ですね。
しかしなぁ毒物飲んだ奴のなかに犯人がいたとは気づかなかったな…。
ちょっと気になることがあるの。
なんですか?田口さんの言葉杉浦さんに対して…。
お前8年前に由紀ちゃんのこと捨てただろ!その8年前っていうのが気になるのよ。
え?また8っていう数字が出てきたから。
もしかして例の数字と何か関係あるっていうんですか?それはありえないですよ。
今回の8は杉浦さんと由紀さんの間の問題の8ですしそれにもう1つの8は杉浦さんと由紀さん直接関係のない高島慎一の残したものですからね。
うんそれはわかるんだけど…それから田口さん杉浦さんが由紀さんに「また手を出している」「もてあそぶのはやめろ!」とも言ってたでしょ?えぇ。
杉浦さんが由紀さんにまた手を出しているってどういうこと?また2人の仲がそういう仲に戻ったっていうこと?由紀さんそんなふうに言ってなかったわよねぇ。
今では杉浦君はいいお友達ですいや単なる田口の妄想ですよ。
あぁいう男は妄想癖ありますからね。
それにもし仮にそうじゃなくて杉浦さんと由紀さんがそういう関係だとしても我々がとやかく言う問題じゃありませんしね。
…そうね。
(管理人)杉浦さ〜んお留守ですか?〜るり子が!?詳しいことはまだわかりませんが睡眠薬を大量に飲んで自殺したようです。
〜
(西原)解剖の結果死亡推定時刻は昨日の午後2時から4時の間。
(山越)ちょうどくわので高島慎一が殺された頃ですね。
そうだな…。
死因は睡眠薬の大量摂取による睡眠剤中毒死。
遺書のようなものが発見されてませんがまず自殺と見て間違いありませんね。
自殺?その根拠は?根拠?亡くなった杉浦るり子は精神状態が不安定で精神科に通院していたこともあった。
今でも躁鬱が激しく睡眠薬を常用しいつ発作的に自殺を図っても不思議ではない状態だったんです。
あの別荘に来るんだって精神状態をよくするためだったそうじゃないですか。
だからといってすぐに自殺と決めつけていいもんですかね…。
私が知ってる杉浦るり子はとっても自殺するようなタイプには見えなかったけどな…。
あたしが毒を入れたとでも言うの!?冗談じゃないわ!じゃあ自殺じゃなかったら何だとおっしゃるんですか?だからそれを探すのが警察の役目でしょう?また事件ですって?杉浦って弁護士の奥さんが死んだらしいですよ。
自殺かどうかはっきりわからないんですか?えぇ…。
あのぅ番場さん。
わざわざご報告いただいて感謝しますけど杉浦弁護士の奥さんが亡くなったこととこのくわので起こった事件とは何の関係もないですよね?だって毒殺未遂事件はもう解決しましたし高島慎一の事件の件も解決したようなもんですしね。
何をのんきなこと言ってんだお前は…。
我々の調べによりますと杉浦夫妻の関係はかなり冷めきっていたようです。
お嬢さん育ちの奥さんのわがままに旦那はほとほと疲れきっているようだ。
じゃあ杉浦さんが奥さんを殺したって言うんですか?いやいや…そうは言わないけどさ。
杉浦さんは昨日の午後自宅で1人で仕事をしていたらしくアリバイを証明する人間はいないんです。
やっぱり疑っているんじゃないですか。
杉浦るり子さんは浅尾由紀さんに対してひどく敵意をもってましたよね?この人は主人に捨てられたことを恨んでいます。
(るり子)だから何かしでかすんじゃないかと心配で見にいったんです
(番場)もし仮に杉浦さんと由紀さんが特別な関係だとしたら…2人にとって杉浦るり子は邪魔な存在ってことになる…。
それってつまり杉浦さんと由紀さんが奥さんを殺したってことですか?ちょっと待ってくださいよ。
奥さんの死亡推定時刻午後2時から4時って言いましたよね?昨日の。
ってことは…由紀さんだってそのときここにいたじゃないですか。
ちょうど高島慎一の事件のときですよ。
いやわかってるよそれは。
でもな杉浦さんと由紀さんのことで何か気になることはないかと思って聞きにきたんだ。
女将さん何かありませんか?いいえ別に…。
そうですか…。
るり子…。
由紀さんと杉浦さんどんな関係だったのかしら?えっ?番場さんには何も気になることはないって言ったけど田口さんのあの言葉気になるのよね…。
お前!8年前に由紀ちゃんのこと捨てただろ!!そのくせまた手出してるだろ!もし…由紀さんと杉浦さんがまたつきあっていたとしたら…。
2人が共謀して奥さんを殺したとでも言うんですか?女将さんいいですか?杉浦さんの奥さんが殺された時間に由紀さんここにいたんですよ。
そうよね…。
女将さん…女将さんが今回のことで責任を感じていらっしゃるのは痛いほどわかりますし俺も同じように責任を感じています。
でも…無理やり事件と結びつけて背負い込まなくてもいいんじゃないですか?俺は…女将さんが悩んでる顔より明るい笑顔のほうが好きですから。
ありがと。
とにかく事件のことは俺や警察に任せておいください。
そうね…警察にだけ任せましょう。
(六波羅)大変です!どうした?くわので殺された高島慎一のことなんですがナイフや灰皿に残っていた高島の指紋が8年前目黒で起きたチンピラ刺殺事件の犯人が残していった指紋と合致したんです。
なにっ!?8年前高島は殺人事件を起こしていたってことか?えぇ。
この事件です。
(番場)8年前…?高島が…8年前に人を殺していたって言うんですか?えぇ…。
断定はできませんがその可能性は高い。
その件に関して彼から何か聞いていませんでしたか?聞いていません…。
まさかそんなことまでしているなんて…。
本当に…何も知りませんでしたか?〜はい…。
番場さん今日は何ですか?女将さん不安にさせるような話だったら勘弁してくださいよ。
ねぇ…ちょっと…番場さん。
高島慎一は8年前に人を殺していたんです。
えっ?殺されたのは札付きのワルのチンピラだ。
(番場)現場から逃げ去る男と女の後ろ姿が目撃されたが結局容疑者は浮かんでこなかった。
それが8年経った今凶器のナイフに残っていた指紋と高島の指紋が一致したんです。
8年前?えぇ。
あっ…また8だ…。
そうだ。
高島は女将さんの手に8と書き残した。
これひょっとしたらその8年前の事件のことを示しているんじゃないのかな?その可能性はありますけど高島は8年前のその事件の何を伝えたかったんですか?死ぬ前に自分が犯人だと告げたかったわけではないですよね?それを調べるのが我々の仕事だ。
一応女将さんには報告しといたほうがいいと思いましてね。
すみません…。
いやいや…そんなに考え込まないでください。
我々がきちんと調べますから。
はい…。
えっ?あぁ…。
女将さんのこと頼むぞ。
素人が下手に事件に首突っ込むと危ないからな。
わかってますよ。
女将さん。
女将さ…。
あれ…?女将さんどこ行ったか知りませんか?もう女将さん女将さんってそれしかないのかしら。
どんなに思っても相手にされないのにね。
そんなことね今は放っておいてください。
さっき裏口から出ていきましたよ。
あんたには内緒ねって言ってた。
えっ!?
(笑い声)何なのよ!女将さん!女将さん…!あら?どうしたの?あら?どうしたの?じゃないですよ。
俺に内緒でどこに行こうっていうんですか?ちょっと調べたいことがあるの。
調べたいこと…?まさか事件がらみのことじゃ…?違う違う。
ならいいですけど…。
杉浦さんと由紀さんどうして8年前に別れたのかそれを知りたいの。
しっかり事件絡みじゃないですか。
そんな怒らないでよ。
高島慎一が都内で殺人事件を起こしたのも8年前。
杉浦さんと由紀さんが別れたのも8年前。
これってただの偶然かしら?偶然じゃないとしたら何があるっていうんですか?高島慎一と杉浦さんと由紀さんは無関係なんですよ。
でも高島慎一をくわのに連れてきたのは由紀さんよ。
まぁそれはそうですけど…。
それに…高島慎一と杉浦さんの奥さんが亡くなった日が一緒だっていうのも気になるの。
これってただの偶然に思えないのよ。
そりゃまぁそうですけど…。
ねぇ!だから今日1日時間ちょうだい。
お願いします!駄目です。
俺も一緒に行きます。
でも隆さんにはビールの補充とお風呂の掃除っていう大事な…。
一緒に行きます!…はい!はい。
(志保子)杉浦君と由紀のこと?えぇ。
以前おつきあいしてたって聞いたんですけど詳しいこともう少しお聞きしようかと思って…。
それはかまわないけどどうして?あぁ…それは…。
わかった。
由紀にお見合いの話があるんでしょう?それそれですよ。
さすが評論家の先生。
鋭いですね。
由紀ってそういうウケいいのよね。
清楚な美人タイプだから。
でも見合いはしないんじゃない?どうしてですか?今でも杉浦君のことが忘れられないからよ。
奥さん亡くなってチャンスも広がったし…。
でも8年前由紀さんは杉浦さんに捨てられたって…。
それって田口の馬鹿が言ったんでしょう?違うわよ。
その逆。
逆!?由紀が杉浦君をふったのよ。
どうしてですか?わかんない。
8年前杉浦君バリバリもう弁護士として活躍してたのに…もったいないよね。
絶対あの二人結婚すると思ってたんだけど由紀杉浦君と別れてからすぐに鎌倉に引っ越しちゃったのよね。
ちょうど今くらいの季節だったかしらね…桜咲いてたから。
桜…。
〜高島慎一が殺人事件を犯したのは8年前の桜の季節。
由紀さんが杉浦さんに突然の別れを告げたのも8年前の桜の季節。
やっぱり何か関係があるのよ。
高島慎一は殺人現場から女の人と一緒に逃げ出したのよね?じゃあその女の人が由紀さんだっていうんですか?でも由紀さんなんで高島なんかと一緒に逃げなくちゃいけないんですか?それはわからないけど…。
でも…もしそうだとしたら…。
杉浦さんに話を聞いてみるしかないわね。
お待たせしました。
すみませんこんなときに。
(杉浦)いえ。
まぁ。
で…お話というのは?高島慎一さんのことなんですけど…。
8年前の春彼が殺人事件を起こしたことご存じですか?えぇ。
僕は高島巴さんの弁護を引き受けた身ですから当然警察から聞いてますよ。
あのこういうことお聞きしづらいんですけど…同じ頃杉浦さんは由紀さんと別れてますよね?それがなんだというんですか?ただの偶然でしょうか?何を言いたいんです?由紀さんと高島さんの間には8年前何かがあったと考えられませんか?あなたは何を言ってるんですか?いやそのつまりですね…。
だとしたら高島さんが殺された事件の裏にはきっと何かがあるはずです。
同じ時刻杉浦さん…あなたの奥さんが亡くなられたのもただの偶然とは思えません。
いいかげんにしてくれ!!何の根拠があってそんなこと言うんですか?数字の8です。
8…?えぇ。
高島さんは亡くなる前私の手に数字の8と書き残したんです。
8年前を示すダイイングメッセージだとは考えられませんか?それも推測に過ぎない。
無責任な推測は慎んでもらいたい。
女将さん…これ以上我々にはどうすることもできません。
警察に行って番場さんに相談しましょうよ。
由紀さんや巴さんのこと心配なら相談すべきです。
そうね。
(番場)えぇ…?それじゃあこの3つの事件が関わってるってことですか?えぇそんな気がしてならないんです。
でそのキーパーソンがこの浅尾由紀…。
しかしね女将さん…杉浦るり子の死亡推定時刻と高島慎一の死んだ時刻はほぼ同じなんですよ。
つまり高島も浅尾も杉浦るり子の死とは関わりようがないってことなんです。
それができすぎだと思いませんか?できすぎ?はい。
あえて同じ時刻にしたってこともありえませんか?アリバイ作りってことか?〜
(番場)ほぅ…サウナか。
〜杉浦るり子の死亡推定時刻が偽装されていたってことですか?あぁ。
あの別荘には小さなサウナがついてるんだがそのサウナの入り口にストッキングの繊維が付着していたんですよ。
ストッキングの繊維?あぁ。
杉浦るり子がはいていたストッキングのものだった。
(番場)まぁごくわずかだが遺体から低温やけどの痕が見受けられた。
えぇと…杉浦るり子の死亡推定時刻は3日前の午後2時から4時の間でしたよね?あぁ。
そこで考えられるのは…もっと早い時間…つまり3日前の午前中あたりに杉浦るり子は殺されていてサウナでタイマーを使ってある一定時間その遺体を温め続けられたってことだ。
そうすれば腸内温度はなかなか下がらず死亡推定時刻はずれる。
じゃ高島慎一も由紀さんも杉浦るり子の死に関わることができたってことですよね?そうなんだよ…。
女将さんの悪い予感が当たったってことになりますかね。
今浅尾由紀さんのところにうちの若いもんが行ってます。
あっちょっと失礼。
(番場)はい刑事課。
バンバさん山越です。
バンバじゃないよ番場だよ!なんだどうした?すみません…浅尾由紀なんですけど自宅にもいませんし仕事も早引けしてるみたいです。
なにいなくなった!?急いで捜し出せよ!浅尾由紀がいなくなった…。
杉浦君!すまない急に呼び出したりして。
ううん…どうしたの?杉浦君…?由紀…8年前どうして急に俺と別れたんだ?そんな昔の話どうして今頃になって聞くの?8年前も俺は聞いた。
でも君は答えてくれなかった…。
答えてくれないか?忘れちゃった。
高島慎一が関係してるのか?なんのこと!?由紀お願いだ!今由紀に何が起きてるのか教えてくれ。
8年前俺は君の力になれなかった。
今度こそ君を守りたい君の力になりたい!なんのことか私にはわからない。
由紀!でも杉浦君にそういうふうに言ってもらえて嬉しい。
それだけでもう十分。
ありがとう。
由紀…。
由紀っ!〜さようなら!〜
(番場)あぁご苦労さん。
(番場)ここで待っててください。
でも俺たちも…!
(番場)俺の仕事だ。
…はい。
(ノック)
(番場)高島巴さん。
あなたがご主人を殴り殺したときの状況をもう一度詳しく話してもらえませんか?聞こえませんか?あなたがその手でご主人を殴り殺したときの状況ですよ!もう…覚えてません。
覚えてないわけないでしょう!杉浦さん!あなたは嘘をついてる!あの日あの部屋であなたたち3人に何があったのか…。
教えてください!失礼します!巴さん何もかも話して!由紀さん死ぬつもりかもしれないの。
由紀さんが!?だから何があったのか聞かせて。
お願い!〜番場だ。
緊急配備につけ!浅尾由紀を見つけ出すんだ。
まだ鎌倉市内にいるはずだから。
僕も連れて行ってください!よし後ろに乗れ。
すみません!じゃ女将さん。
もしもし。
(由紀)女将さん…?由紀さん!?今どこにいるの?あなたと話がしたいの。
(由紀)女将さんはもう気づいてますよね…。
私がしでかしてしまったこと…。
巴さんは何もしてないんです。
それだけはちゃんと言っておかなきゃいけないと思って。
由紀さん話を聞かせて。
今どこにいるの?
(エスカー乗り場のアナウンス)江ノ島?江ノ島にいるのね!女将さん…。
たくさん迷惑かけてごめんなさい!由紀さん!?女将さん!江ノ島よ!はい!〜どこだよ…!
(ケータイのプッシュ音)あっ番場さん?
(番場)女将さんどうしました?杉浦さんに聞いてほしいことがあるんです。
由紀さん江ノ島にいるはずなんですけど場所がどこか特定できないの。
心当たりがあるかどうか聞いてもらえますか?江ノ島!?江ノ島にどっか心当たりは?江ノ島…?もしかしたら江ノ島岬かもしれません!江ノ島岬?初めて2人きりで行った場所なんです。
(波の音)〜おい!ちょっと待てよ!来ないで!おい!危ない!なぁ…なんで女将さんに電話してきたんだよ?死にたくないからだろ?この世にまだ未練あるから…女将さんに助けてほしいって思ったんだよな?女将さんに謝りたかっただけ!だったら死ぬなよ!!死んで詫びるなんてなしだよ!女将さんにさ…これ以上迷惑かけたくなかったら生きろって!生きてちゃんと詫びろよ!!由紀さん…少しだけ私に時間を頂戴。
あなたの話が聞きたいの。
同じ女としてあなたが受けた苦しみを少しでも知りたいの。
…女将さん。
〜8年前…私は杉浦君との結婚を控えてとても幸せでした。
(由紀)あの日も杉浦君とのデートの帰りでした…。
キャー!
(富岡)お前今笑ったろう?笑ってません。
いや!俺の顔見て笑ったはずだ。
笑ってません!笑ったよ。
まぁいいやねえちゃんかわいい顔してんじゃねえか。
いいことしような!助けて…!おい!なにやってんだよ。
(富岡)酔っ払いは向こうへ行ってろ!お前こっち来い。
(慎一)待て待て待て!
(殴る音)
(慎一)てめえ!
(殴る音)うぅ…大丈夫か?
(富岡)おらぁ!!この野郎!
(慎一)うっ!危ねえ!
(慎一)危ねえんだよおやじ!
(ナイフを突き刺す音)
(富岡)うぅ…!キャーッ!うぅ…!〜いくぞ!私はどうしたらいいのかわからなかった。
ただあの男に手を引かれて逃げるしかなかった…。
(由紀)どこをどう走ったのかさえ覚えていない。
入るぞ!来いほら!
(慎一)入れ!
(慎一)どうする…どうする!?どうすんだよ…まったくついてねえな!競馬ですった上に人殺しかよ!でもまぁ…これは人助けだよな。
警察に行きましょう。
何しに!?自首をすれば罪は軽くなるはずよ。
俺だけ捕まれってことか。
ひでえ話だな!お願いします!そうしましょう!ふざけんなよ。
この恩知らずが!キャー!ほぅ…。
助けてやったお礼まだしてもらってなかったな。
いや…キャー!名前も知らないあの男はそのあと私の前に現れることはなかったけど私の人生はメチャクチャになった。
(由紀)殺人を見逃した上に…強姦までされた女が…弁護士の妻になれる?幸せな結婚なんかできる?できるわけない…。
〜私は杉浦君と別れて東京も離れました。
それでも私はしっかりと生きようとしました。
杉浦君に心配をかけないようにしっかりと生きようと…。
それが私にできる彼への償いだったから。
杉浦君とは1年前に偶然再会しました。
すみません〜杉浦君はるり子さんとの結婚生活がうまくいってないようでした。
私たちは特別な関係にはならなかったけど私は彼のそばにいられるだけで幸せだった。
彼を元気づけようといつも笑顔でいられた。
でもそんな幸せも長くは続かなかった。
高島慎一ね?…はい。
巴さんから相談を受けた私はアパートを訪ねたんです。
〜
(チャイム)慎一:はいはい…なんだよ。
お前あのときの…。
(由紀)いや…!
(慎一)うるさい!私は強引に関係をもたれました。
8年前のことをばらすと脅されてあの男の言うなりになるしかなかった…。
でも私は巴さんはどこかへいなくなったと嘘をついて彼女だけはかばおうとしました。
そのあとも…高島は何度も私に関係を迫りました。
(由紀)それをるり子さんに見られてしまった。
るり子さんは杉浦君と私の関係を疑って私をずっと尾行していたんです。
彼女はすぐに私を呼び出しました。
真っ昼間から下種な男とホテルね…。
あなたも落ちるところまで落ちたわね。
あなた最近主人と会っているんですってね。
仕事でたまに…。
あなたみたいに落ちきった女が主人の周りをウロウロされるのって迷惑なのよね。
主人の仕事信用第一でしょう?
(るり子)男漁ってホテル通いしてることは内緒にしておいてあげるから…。
主人に二度と会わないでよね。
あっ…。
汚らわしい!あっ!
(由紀)あの目は一生忘れられない…。
私は…彼女のことを高島に話しました。
うっせえな!!もう私警察に行く!警察に行ってもう何もかも話す!私には失うものなんて何もないんだから!わかったわかった!やめてよ〜!!そうかそうか…。
だったら…死ね。
うっ!いや…。
ほら楽になるぞ。
楽になれほら…。
嫌だ…。
(むせる声)その女…俺とお前の姿を見たって言ったな。
お前がへたに死んだら俺が疑われるじゃねえか。
8年前のこともばれちまう。
なぁその女殺すか。
そんな…!じゃお前が死ぬか?お前よ…その女にひどいこと言われてんだろ?許せねえんだろ?殺すの俺が手伝ってやろうか?その代わり巴を返せ…なっ。
あいつの居場所知ってんだろう?巴を返してくれたら…お前を解放してやるよ…なっ?お前ず〜っと悲惨な人生送ってんだからよそろそろ幸せになったらどうだ?このままじゃ惨めすぎるだろう!
(由紀)私だって幸せになりたい!だから決めたの杉浦るり子と高島慎一を殺すって…。
るり子:何?どうしたの?はいこんにちは。
(るり子)何すんの!〜
(るり子)いや!やめて…いやっ!いや!やだ離して…離して!
(るり子)由紀さんねえ由紀さんお願い助けて…由紀さん!〜やめて!うるせえ!もう後戻りできねえんだよ!!〜
(慎一)おい手伝えよ!
(由紀)そして…死亡推定時刻を偽装するために遺体を温めた。
そのあとすぐに「くわの」に来たのね?はい…あの男を殺すために。
巴…一緒に帰ろう。
みんなにご挨拶…。
やめてっ!やめてっ!!怒らすなよ。
なっ?ほら…よし。
よしいい子だ。
ふざけたこと言わないで!なんの真似だ?あんたなんか…あんたなんか生きている資格なんてない!お前俺を騙したのか?
(由紀)いやっ…。
離せおらっ!この野郎!
(慎一)女はナイフを使うものじゃねえんだよ…。
…えいっ!うっああ…。
巴さん…あなたがやったことにするのよ。
正当防衛が成立するから!お願い私の言うこときいて!あの男…殺さなかったらいずれあなたが殺されてたのよ!殺すしかなかったの!あなたのことは必ず私が守るから。
私を信じて!〜さあ悲鳴をあげて。
キャーッ!!夜になってから熱海の別荘に戻って私はサウナから…彼女の死体をリビングに移しました。
(由紀)女将さん…。
私…愚かですよね。
もう何も残ってない…。
死ぬしかない…。
女将さん…迷惑かけて…ごめんなさい。
おいっ!〜死んで詫びるはなしだって言っただろう!由紀さん!由紀さんあなたが杉浦さんと昔初めて「くわの」に来たときとっても幸せそうな顔してた。
だから私あなたの顔を覚えていたの。
でもくだらない男たちにあなたの人生も笑顔も愛も壊されてしまったのね。
でも終わりじゃないわ!こんな形で終わっちゃいけないのよ!そのくだらない男たちを見返してやりなさいよ!人生も愛も笑顔も生きてさえいればもう一度作り直せるはずよ。
…違う?由紀!
(由紀)杉浦君…。
この場所を私たちに教えてくれたの杉浦さんなの。
あなたとの美しい思い出彼の中でも消えてなかったのよ。
由紀…すまなかった。
8年前俺が君を受け止めていればこんなことにはならなかったんだよな。
(杉浦)君を愛していながら出世のために他の誰かと結婚なんかしなければこんなことにはならなかったんだよな。
許してくれ。
今度こそ君を守る。
君と一緒に生きていく!由紀さん…あなたは大きな罪を犯してしまった。
でもその罪を償えばもう一度人生は築き直せるはず。
愛は取り戻せるはずよ。
あの頃の素敵な笑顔また見せてちょうだい。
そしてお二人で絶対「くわの」に来てください。
(由紀)女将さん…。
〜
(杉浦)由紀…!〜いやあよくやってくれた。
えっ…今なんて言いました?んっ?二度言うほどのことじゃないだろう。
〜お疲れさまです!
(勝江)このくそ忙しいときにどこ行くの?
(敏子)ホントですよ。
懸賞推理小説!どうせいつものように落選するんでしょ?なに言ってるんですか!今回はね自信作なんですよ。
題しまして同窓会殺人事件桜の舞。
うわ〜素敵!馬鹿…。
今回の事件パクったんですか?えっ?女将さんの邪魔ばっかりして捜査の邪魔ばっかりして!なに言ってるんですか。
今回はね女将さんのボディーガードとして事件解決のために奔走したんですから。
なに言ってんの。
なんの役にも立ってないくせに。
いや今回はホントですよ。
女将さんもいつもいつもいい迷惑でしょうね。
ねぇ〜。
私はそんな隆さんが嫌いじゃありませんから。
ありがとう。
おじちゃん!おう翔太!おかえり。
おじちゃんお母さんねおじちゃんのことかっこよかったって言ってたよ。
えっかっこよかった!?
(仲居たち)うっそ〜?ホントだよ。
ホントだよな?みんな何してるの?仕事仕事。
あっ翔太おかえり。
ただいま。
楽しかった?ほらほら電話電話!はいはい!毎度ありがとうございます。
「くわの」でございます。
…ご予約のお客様ですか?ありがとうございます。
…えっ男女10名ずつの同窓会ですか?
(仲居たち)えぇっ!?いらっしゃいませ女将の桑野厚子でございます。
2015/03/30(月) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「佐野洋サスペンス・密会の宿5 不倫同窓会殺人事件」[字][解]
8年前に起きた事件の新事実とは!?
詳細情報
番組内容
鎌倉の山間に佇む旅館「くわの」に、大学時代の同窓生、男女3人ずつが訪れる。その中の杉浦と由紀は8年前に度々泊まりに来た恋人同士だった。その夜、由紀を除く5人が食中毒で倒れる。一方、暴力的な夫から逃げるため一人で旅館に連泊していた巴は、復縁を迫る夫・慎一を灰皿で殴打。慎一は「8」というメッセージを残して息途絶える。そんな中、杉浦の妻が別荘で謎の死を遂げる…。
出演者
桑野厚子…岡江久美子
久保隆…東幹久
浅尾由紀…中山忍
高島巴…木内晶子
杉浦治…大浦龍宇一
杉浦るり子…北原佐和子
高島慎一…デビット伊東
田口武弘…六角精児
倉内奈緒…池田昌子
北畑久義…大谷俊平 ほか
原作脚本
【原作】佐野洋
【脚本】深沢正樹
監督・演出
【監督】和泉聖治
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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