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【プロ野球】

黒田 8年ぶり日本勝利 おとこ気劇場 白星開幕

2015年3月30日 紙面から

◇広島2−1ヤクルト

広島−ヤクルト 7回表2死一塁、中村を三振に仕留め、ガッツポーズで雄たけびを上げる黒田=マツダスタジアムで(出月俊成撮影)

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 広島の黒田が7イニングを5安打無失点の好投で日本球界では8年ぶり白星。内外角を正確に突き5奪三振、1四球だった。打線は5回に梵が先制二塁打。7回はグスマンの二塁打で加点。ヤクルトは6イニング1失点の杉浦を援護できなかった。

      ◇

 試合終了の瞬間、黒田はロッカールームにいた。「勝利を信じて」モニター観戦。勝利を確認すると、ベンチで待つ緒方監督の元に走った。「遅いよ」と笑われながら、2人で熱く抱擁。そのままお立ち台に上がる。「広島のマウンドは最高でした」。日本球界で2740日ぶりの勝利だった。

 13時25分。「お帰り黒田」のコールを受けながら、ゆっくりとマウンドに上がった。球場にはB’zが特別に書き下ろした登場曲「RED」が流れる。3万1540人。真っ赤に染まったスタンドが揺れる。初球。先頭の山田に選んだのは、代名詞のツーシームだ。

 ファウルを奪うと2球目、外のスプリットで三ゴロに。2死からミレッジに中前打を許したが、続く雄平を再び“宝刀”で見逃し三振に抑えた。07年9月27日。海を渡る前、ラスト登板もヤクルト戦だった。「いろいろ考えることが、たくさんありましたね」。交差する感情を胸に打者に向かった。

 迎えた7回2死一塁。中村に対しフルカウントからの7球目、外角のボールからストライクに入る、通称「バックドア」で見逃し三振に斬った。「展開的にも苦しい場面だった。最後、目いっぱいの1球を投げたつもりです」。強く拳を握り、熱く雄たけびを上げる。96球。「1球の重み」をマウンドで体現した。

 「簡単な言葉ではたたえられない」。復帰までの苦悩、復帰後の努力を知る緒方監督は、言葉を選ぶように話した。「彼がこのマウンドに立つために、どれだけのプレッシャーを背負ってきたか。その中で最高の結果を出してくれた」。歴史的1勝に声は震えていた。

 ヒーローインタビューを終えると黒田はライトスタンドに向かった。笑顔の人、涙を流す人。歓声を浴び「複雑な感じ。引退するのかなって」と笑った。まだ1試合目。覚悟と責任を持って戦う。「体が続く限りチームのために投げたい」。24年ぶりの悲願へ。最後の挑戦はまだ始まったばかりだ。 (田中政行)

 

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