[PR]

 れんがタイルの壁にとんがり屋根。東京・数寄屋橋かいわいのにぎわいと時代を、長く見守ってきた数寄屋橋交番の建て替え計画が決まった。耐震補強や女性用の部屋がないことなどが主な理由だ。

 同交番は1982年に完成。2階建てで延べ約53平方メートルと小ぶり。当時、東京都が進めていた「文化のデザイン」事業の一つで、交番では最も早い例だった。

 設計は、東京工業大教授も務めた建築家の山下和正さん(78)。銀座の街を意識し、鉄骨の構造にれんがパネルを貼り、とんがり屋根を載せた。「都市のシンボルとして分かりやすく、定着するものを考えた」。模型段階の屋根に目印につけていた待ち針を当時の警視総監が気に入ったため、そのまま待ち針風の彫刻になった、というエピソードでも知られている。