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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2009年4月25日

費用対効果を考えた語彙学習

わが国のでの語彙学習(いわゆるボキャビル)のあり方を眺めていて感じるのは、英語を教える側に費用対効果という意識が希薄であることで、その影響から当然、学ぶ方もどの単語からきちんとマスターして行くべきかということにつき、本来払うべき注意を払っていないように思えます。

そもそも費用対効果分析はプラスとマイナスを比べてプラスになる方を選好していくという現代人にとりごく当たり前のアプローチです。だからこそネット上も乗り換えの最短経路を示すサイトが頻繁に利用されているのでしょう。ところが、どういうものか語彙学習となると、こういった発想が抜け落ちるようです。つまり、一般的に、ある語彙水準の学習に要する時間ないしコストというマイナス要素とその語彙水準をマスターすることで得られる英語力の向上ないし実効性というプラス要素を比べるといったことが行われている気配がありません。

どうも、わが国での語彙というものに対する取り組みを見ていると、下は学校教育の世界から、上は「最高峰」とされる英検1級まで、出現頻度を無視して、言い換えれば習得することによる効果の大小を度外視して、むずかしい単語を知っているほど「より英語ができる」という勘違いに陥っているようです。

★ 「採算」度外視の語彙習得

難語を知っているかということばかりに目を向ける結果、通常のコミュニケーションに必要なレベルの単語を実際に使えるようにする訓練がなおざりにされています。ある単語を習得し、自分の方から使えるようにするためには異なるコンテキストで6回以上は触れるようにし、活用形や派生形まで使い分けられるようになっている必要があるというのに、たいていは択一をやって答えが合っていれば、それで安心してしまうようです。しかし、そういう人はいつまでもその単語を使えるようにはならず、単に「知っている」レベルを周回し続けることになります。悲しいことです。

このように頻出順位の高い基本単語をおろそかにして、使用頻度が低かろうが、ともかくより高レベルの単語をという志向は小学校段階から見られます。現に東京外国語大学の投野先生のグループが2008年の5月に発表している「アジア各国と日本の英語教科書比較」という資料では、わが国の小中高の英語教科書が「他国の教科書に比べて基本語グループの割合が低い」と指摘しています。要するにただでさえ学生が触れる英語の絶対量が低い(日本と比べて他国の語彙量は2−3倍、テキスト量つまり延べ語数では3−5倍)というのに、背伸びして、不釣り合いに難しい単語を教えているのです。日本では中学の3年間をかけて教えている1,000単語を中国、韓国、台湾では小学校卒業時点で済ませている事実もあわせ考えると真っ暗な気持ちになります。

特に高校レベルの英語は大きな問題をかかえていると考えます。Spectrum(桐原書店)、Milestone(啓林館)、 Unicorn (文英堂)という三つの高校英語教科書を比較した Charles Browne の研究 (Japanese HIgh School Textbooks: Help or Hindrance )によると、以下の表のとおり、低頻出の難語がなんとテキストの58%も占めており、使う可能性の低い単語を無理矢理覚えると言っているも同然となっています。

table%206.jpg


どういうタイプの低頻出語彙が出てくるのかと言うと、以下のとおりで、参考まで、wordcountで調べて出現頻度を入れておきました。

anemone   27708
hearth    12975
syncopate  頻出上位 86800単語の圏外!

語彙水準が偏っていることは、基本2,000単語だけでどこまでこれらの教科書の単語をカバーしているかを見てもわかります。ネイティブの書いたテキストでは、通常 85% がこの種の単語で占められているのに、上記3種の高校英語教科書は、以下のような割合になっています。英語としてきわめて特異なテキストから成っていると言わざるを得ません。(出典は明治学院大学のCharles Browne 先生が2008年に発表されている"Optimizing EFL Vocabulary Learning with IRT and Online Technology"

Spectrum   71%
Milestone  78%
Unicorne    79% 

しかも、上の Browne 先生のプレゼン資料は、高校英語の教科書につき、こう指摘しているのです。

Many, many words from 1000‐2000 are never taught… 頻出1,000から2,000の単語のうち、とうとう教わらずじまいという単語が実に多数にのぼっている。


★ 難語は知っているが話せない人たち

当然、低頻出の難語にばかり注力していることが災いして、大学生なのに頻出最上位2,000単語のテストで8割以上取れない学生が9割を占めたりするのです。先のBrowne先生の報告例では、66人の大学1年生を対象に、Paul Nation の基本2,000単語レベルチェックを受けてもらったところ、合格点の80%以上を取れたのがたったの5人だったとしています(Browne, C. (1996). Japanese EFL textbooks: How readable are they? WorkingPapers in Applied Linguistics, Temple University Japan, 8 , 28-41)。これではコミュニケーションどころではありません。

サンプル数が少ないのでどうかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、Measuring Vocabulary via Online Technologyという別の研究報告からもこの点は裏づけられています。こういう事実があるのです。

Based on 10,000+ surveys, even Japanese students having a large vocabulary (3000+ words) are often missing 400 or more words from among the first 2000 most important and high-frequency words. 1万件を超えるサンプル数に基づいて言うと、日本人学生で、3,000単語超というかなりの語彙力を備えている例でも、しばしばもっとも重要な頻出最上位 2,000単語中、400以上の単語が知識から欠落していたりする。

「低頻出だろうが、難しい単語をたくさん知っている人こそが『英語ができる』のだ」という思い違いは英検を見てもわかります。以前にTOEICは3,714語レベルという記事で一度下のグラフをお見せしましたが、ご覧のとおり、英検1級の語彙水準は8,000超と、雑誌の Time や NewsweekあるいはCNN News をはるかに上回る「高等」なレベルです。ケンブリッジ英検でさえ、一番上の CPE で 5,000 単語レベルだというのにです。こうして足下を固めないままむやみにむずかしい単語の学習に力を入れるよう勧める姿勢が響いて、例えば、ケンブリッジ英検の CPE に合格していながら英語でコミュニケートできないなんて人はまずいないのに、どこぞの検定だといくらでもそういう人がいるという悲しい結果をまねいています。(ここでの語彙水準は、ある単語とその活用形−−三人称単数形、分詞形、過去形−−などをもって1単語と数える、レマカウントというやり方によっています)

newTOEICcoverage.jpg

★ 費用対効果アプローチによる語彙学習の進め方

以上を通じて申しあげたかったのは、やたらと高い語彙水準を追求すると土台部分がいい加減になり、結局、英語が身につかないということです。ここで言う土台部分とは、各種実証研究から、日常会話レベルの英語をこなすためには最頻出上位の 2,000単語(活用形や派生形を整理し、除外したワードファミリーで計算)であることがわかっていますが、問題は、この2,000単語の水準をクリアしたあとです。

以下のチャートをご覧になるとわかりますが、2,000単語レベルまでは急角度の右肩上がりで、習得語彙数がそのまま英語での守備範囲の拡大(端的にはテキストが読める割合)に結びついているのに、2,000単語以降は学習の効率が落ちることを見て取れます。そこで、例えば、2,000単語では間に合わない、もっと難しいレベルの単語が登場する新聞や雑誌の記事が読めるようになりたいということで、2,001単語から先のレベルの単語に取り組むとして、費用対効果から何が最適かを考える必要があります。

2000wordcoverage.jpg

この点、いわばストレートに取り組み、プラスして 2,001から3,000番までの単語を勉強しても、テキストを目にしたときの守備範囲の「拡大率」はわずか 4.3%でしかないことが研究からわかっています。上のグラフで言えば、頻出順位での2,000から3,000単語まで学習の範囲(横軸)を拡大しても、その割には「守備範囲」(縦軸)が伸びず、費用対効果から言って明らかに効率が悪いのです。ところが、これに対して、大学の教師が自分が書く本で使うような単語ばかりを頻度順に整理したアカデミックボキャブラリー(前回の記事で「社会人のためのコアボキャブラリー」と呼んだものです)を勉強すると、この「拡大率」が10%近くまで行くのです。すなわち費用対効果から言えば、2,001単語から先は、アカデミックボキャブラリーに焦点を合わせるのが効率がいいという結論になります。

時間などのコストをかけて出会う確率が低い難語を一生懸命やるよりは、使用頻度の高い単語をしっかりおさえた方が効率がいいに決まっています。結局、どの言語でもそうですが、一定範囲の言葉を言わば何度も反復使用しながらコミュニケートしているわけで、反復使用される機会の少ない単語に力を入れるのは、なんだかむなしいことです。

そうだと言うのに、これほど重要な「社会人のためのコアボキャブラリー」がわが国ではまるで関係者の意識にのぼることがないようです。TOEIC や TOEFL 用の特別講座を設けている大学はあっても、「アカデミックボキャブラリー=社会人のためのコアボキャブラリー」のための講座のある所は、寡聞にして知りません。Googleで「アカデミックボキャブラリー」をキーワードにして検索しても見るべきものがありません。このビジネス英語雑記帳で「アカデミックボキャブラリー」を取り上げたときの記事がいくつもヒットするぐらいですから、いかにお寒い状況かがわかるというものです。

何であれ、単語力の強化に努めてらっしゃる読者の方々には、基本2,000単語レベルをクリアしているとして(これは上記の Paul Nation のテストで判定できます)、次のステップは追加してもう1,000単語ではなく、「アカデミックボキャブラリー」として知られている「社会人のためのコアボキャブラリー」ですよと声を大にしてアピールしたいところです。

TOEICに取り組んでいる人にも無縁の話ではありません。新TOEIC R TEST 出る順で学ぶボキャブラリー990という本を出されているぐらいで、TOEIC単語学習の世界で費用対効果アプローチを率先して実践されている神崎正哉先生が教えてくださったところによると、アカデミックボキャブラリーは、TOEIC単語に占める割合は5.6%と、比率としてはあまり高くないものの、語彙問題の選択肢に使われたり、リーディング問題を解く鍵になったりで、スコアに直接結びつくことが多く、従ってTOEICでスコアを伸ばすためにも重要とのことです。

このように大事なのに、この種のボキャブラリーの重要性が説かれるのをわが国で聞いたことがありません。しかし、語彙習得論の世界では不可欠のステップと認識されています。例えば、Houghton Mifflin という有名な教材会社でボキャブラリーものの編集に当たっている二人の大学教師が書いているTeaching and Developing Vocabulary—という記事では、学ぶべきボキャブラリーを不可欠の基本単語 (Level 1)、読んだり、授業を通じて触れ、学ぶたぐいの単語 (Level 2)、専門用語 (Level 3)、低頻出の難語 (Level 4) に分類した上、Level 2 の単語をこう形容しています。

They have been referred to as the vocabulary of educated persons, as "academic vocabulary," and as "instructional vocabulary."  教育のある人間のボキャブラリーということで、「アカデミックボキャブラリー」さらには「指導の場で使われるボキャブラリー」と呼ばれてきたものです。

そして,一般に授業についていきまずまずの成績を収める上で必要な単語だとした上で、perspective だとか generate といった単語を例として出しています。お手元に Longman Advanced American Dictionary あるいは Longman Exams Dictionary をお持ちの方は、ご覧になればわかりますが、これらの単語には Ac というラベルが付いているわけで、Academic Vocabulary = Academic Word List = the vocabulary of educated persons という構図を見て取れるかと思います。これほど大事な単語リストですから、わが国での扱いがどうあれ、基本2,000を固めたあとは、費用対効果から言って是非ともこのコアボキャブラリーをおさえるべきだというのが私の考えであり、確信です。

なお、ビジネス英語雑記帳の読者の中に高校生その他の大学受験生がいるようにも思えませんが、2,570単語(基本単語+アカデミックボキャブラリー)だけでは、受験で困ると考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、第1に、ここで言う、2,570単語は、ファミリーワードで数えた単語数で、派生形までも入れたら4,000-5,000単語となる計算です。第二に、日本大学の中條清美先生の研究によると、受験英語の語彙水準は、レマカウントで、大学入試センターが 3,000単語強、私大がだいたい4,000前後、東大が3,500(但し、延べ語数がたくさんあるテキストを読みこなす必要あり)ですから、十分間に合います。他面、世間で言うように8,000だの10,000だのという数字は、単なるやりすぎで、「迷信」であることがわかります。なんであれ受験に関しては、基本単語2,570単語に自分が必要とする大学別のクセのような追加分を見きわめて足せばいいと考えます。


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Comments

日向先生

返信ありがとうございました。
AWLに関しては、同じくケンブリッジ出版のAcademic Vocabulary in Use はいかがなのでしょうか。
先生がお勧めのものと同じく学べるのでしょうか。

[返信]

有名な先生の著作ですから、信頼性は高いと思います。

もうひとつのやり方は、

http://www.englishvocabularyexercises.com/AWL/id17.htm

で練習を繰り返しながら、間違えなくなるまでやるというのもあります。費用対効果で言えば、こちらの方がいいかも知れません。

日向先生

単語の学習についてお教えいただきたいことがございます。
「知られざる英単語」を終えましたら、Vocabulary in UseシリーズのUpper-Intermediateに進んでもよいのでしょうか。それとも、もう一段下のPre-Intermediate and Intermediateをクリアしなければ習得すべき語彙に漏れが生じてしまいますか。

また、collocationやphrasal verbのシリーズもあるようですが、これらはやはり意識して別立てで学習すべき分野なのでしょうか。vocabularyシリーズだけではカバーできないのでしょうか。

[返信]

Paul Nationは、「知られざる英単語」がカバーしている2000番までの語彙をマスターした場合、次の1000単語ではカバー率が4%ちょっとしか上がらないのに、アカデミックワードをやると10%あがり、カバー率が計90%になるとして、Coxhead のAcademic Word Listのマスターを進めています。基本単語で言えば570ですが、派生語を入れると3000前後になります。

和書はなく、洋書の一冊ものなら、SchmittらのFocus on Vocabulary、三冊ものなら、Vocabulary Mastery 1-3があります。

返信ありがとうございます。

先生のブログを見て、語学の上達には繰り返しが必要なことがわかりました。

単調な繰り返しを、がんばりたいと思います。

ありがとうございました。

[返信]

どういたしまして。古来、Practice makes perfect. って言いますからね。

日向先生はじめまして。   いつも読ませていただいております。    vocabulary in use をやろうと思っているのですが、アメリカ版とイギリス版があるようで、どちらを選んだらよいのか迷っています。   大きな違いなどは、あるのでしょうか? お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。

[返信]

やはり世の中、アメリカ英語をみなさん、模範にしていますから、Basicとか書いてあるアメリカ版の方がいいと思います。どちらをやるにしろ、最低二冊、できれば三冊買った上、間違えなくなるまで繰り返し、その上で次のIntermediateに行くべきだと思います。飽きるでしょうから、間にcollocationsやphrasal verbsものをはさむといいのではないでしょうか。

日向先生こんばんは
アドバイス有難うございます。
英語のTVドラマや映画を字幕なしで…は憧れます。
ニュースを一度聞いただけで分かるようにもなりたいです。
具体的に教材を推薦して下さり有難うございました!
これからも頑張って98%を目指せします♪

[返信]

ひとまず字幕を消して見てみることです。ペーパーでの語彙力テストなら、SATさんは普通の英語圏の人より上なのですから、「いつかそのうち」と憧れず、きょう、始めることをお勧めします。あるいはネットでスクリプトが簡単に手に入りますから、予めそれで学習しておくという手もあるかと思います。ご健闘を祈ります。

日向先生こんばんは
大学生のSATと申します。
語彙習得を検索していてこのHPに辿り着きました。
V-chekで測定したところ
カバレッジ95%8739語でした。
今後の勉強法としてはカバレッジ100%を目指してやればいいのでしょうか?
もしよろしければアドバイスの程よろしくお願いいたします。

[返信]

こんにちは。たしか wordengine.jpのどこかに書いてあるはずですが、実用レベルに持って行くには98%を目指せと言われています。一方、ご自分が何に英語を使いたいかにもよりけりです。会話をこなせるようになりたいなら、Cambridge University Press から出ているVocabulary, Phrasal Verbs や Collocations の本を間違えなくなるまで繰り返すことをお勧めします。その上で英語のTVドラマや映画を字幕なしでわかるよう「勉強」することでしょう。他面、様々な本を辞書なしで読みたいということであれば、academic vocabulary をマスターし、かつ、Word Power Made Easy のような本で低頻出語をもおさえておくことだと思います。

日向さん、今晩は。

弊ブログで、英語現場で「少ない語彙力で会話力を挙げるにはどうするか?」という命題のエントリーを作成しましたが、その中で本エントリーを参照させていただきました。

その解は、”柔らかい日本語と固い信念で”と結論づけました。語彙力が弱い中で英語圏でどうやっていくかを仲間に示したものです。エントリー参照をご承認いただけると幸甚です。

[返信]

こんにちは。いちろうさんの役に立つことならどうぞ遠慮なくご利用ください。それにしても、普通の会話である限り、「語彙力が弱い」ことはそれほどの問題ではないのではないでしょうか。ほとんどの会話が2,000語レベルですから。Overkill になるような取り組み方より、fluencyを重視した千本ノックの方が重要だと思っています。

日向さん、今晩は。

N=1(統計学の)ですが、一つのModelとして当方の事例を紹介します(もし参考にならなければ、本コメントボツでかまいません)。

日本時代に、英検2級、Toeic580点で海外関係の仕事にかかわりだし、それから来米して15年が過ぎようとしています。

現在は上記グラフで、①Timeを読むのは”ちときつい”、②地元新聞は購読(この表のCNN,ABCNewsレベルでしょうか)、③(その下のToeicが高得点かどうかは不明ですが=あの反射力に自信なし)、④よって5,000語前後語彙力、のレベルでしょうか。

これで、こちら(アメリカ)の企業で、対外折衝や社内折衝の業務を行っています。又、コミュニティの活動にも支障がありません。

勿論、もっと語彙力がつけばそれはそれですばらしい英語生活になるのでしょうが、社会人になるとかけられるエネルギーも限られてきますので、これでよしとしています。

是非日本の英語学習後続の皆様方には、このエントリーを研究されて、Cost performanceの良い英語学習を心がけていただきたいものです。

[返信]

いつもながらの有益情報、大感謝です。おっしゃるとおり、5,000ぐらいあれば用は足りるわけで、何よりも実際に英語で生活し、仕事をしている方がそうおっしゃるのですから、まさに「論より証拠」です。ありがとうございます。

一方、あのグラフのビジネス英会話の語彙水準が2,000弱というのは、ややショックですらありますが、おおいに納得できる数字でもあります。

わが国の英語教育関係者は「牛刀をもって鶏を割く」という言葉を知らないんだろうなと感じます。

日向清人先生こんばんは
現在中学3年生のチキチキです。
本での勉強法とネットでの勉強法を教えて頂き
ありがとうございました!
早速本屋さんに探しに行きます。
IELTSは兄が受験していたのでお聞きしたことがあるのですが
ケンブリッジ英検は初めてです。
興味もありますし、日向清人先生のアドバイス通り
2000単語マスター後に受験を目指して頑張ります!
ご丁寧に教えて下さり本当にありがとうございました!

[返信]

どういたしまして。

ちなみに、IELTSがTOEFLのようにアカデミックな英語を中心とするのに対して、ケンブリッジ英検はもっと一般的な英語のテストです。

日向先生、
基本2000語に関してご教示いただきありがとうございました。基本語もコアをしっかり摑むというアプローチをとれば費用対効果が高いというふうに理解いたしました。肝に銘じたいと思います。

また、コアボキャブラリーの充実振りには大変感銘を受けました。特に、例文の質の高さ、興味深さには驚くばかりです。早くも次回の連載を楽しみにするとともに、道のりは長いかもしれませんが、この画期的な試みの完成を心から願っております。

[返信]

あと56回、頑張ります。応援、うれしいことです。それにしても、さすがはYutaさんと感心したのがあの例文のよさをわかってくださること。私も翻訳しながら、ケプラーねええ、冥王星、ほうっ、と感心したり、笑ったりと楽しんでいます。

はじめまして、いつも関心しながら読ませていただいてます。
単語が使えるようになるまで異なるコンテキストで6回以上触れる必要ですよね。
基本2000単語が危うい私に良い学習テキスト(ツール)があれば、是非ご教授していただきたいかなと思います。
紹介されている神崎先生のテキストは買います。

[返信]

こんにちは。本でおやりになるなら、ケンブリッジ出版の Vocabulary in Use の Basic と Elementary を間違えなくなるまで何冊もつぶすことです。ネットなら、初中級レベルの英単語を9割カバーしている、 www.wordengine.jp にある基本単語2324のコースでしょう。年1000円と、格安です。いずれも語彙習得論の専門家が関わっており、お勧めするこちらも安心です。

神崎正哉先生の「新TOEIC  TEST出る順で学ぶボキャブラリー990」を応援するつもりでコメントしたつもりですが。確かに神崎先生の「出るボ」は費用対効果アプローチですね。初めは日向先生の言われる費用的効果はわかりずらかったのでわざとはずしました。確かにいたずらに難しいボキャブラリーを羅列した問題集や単語集は多いですね。

日向清人先生こんばんは
現在中学3年生のチキチキと申します。
中高一貫校だからのなのか、
ブリタニカ(小学生版)からの抜粋が
試験問題に出題されるので毎回悪戦苦闘しています。
基本2,000単語をマスターすれば
ブリタニカ(小学生版)も読めるようになるのでしょうか?
また基本2,000単語をマスターするのに適した
問題集等ありましたら教えて頂きたいです
(洋書・和書問いません)
よろしくお願いいたします

[返信]

チキチキ君、こんにちは。

ブリタニカの小学生版でのテストを受けているとのこと、恵まれている環境だと思いました。是非、続けて頑張ってください。

この小学生版のテキスト、8割以上が基本2,000単語でまかなわれていますから、まずはこれをマスターすることです。これに気づくとはなかなかの「眼力」ですね。達人になる日も近いことでしょう。そのための方法ですが、おすすめは、ケンブリッジ出版の Vocabulary in Use の Basic と Elementary を間違えなくなるまで繰り返すことです。飽きてきたら、このシリーズで、Test your vocabulary in use というのがありますので、basic, elementary を買って、そちらで練習というやり方もあるでしょう。いずれにしろ、カラーもふんだんでいい教材です。ただし、一冊3,000円以上とお金がかかります。

もう一つは、ネットで繰り返し勉強する方法です、こちらは年1000円です。www.wordengine.jp で、ボキャブラリー研究の有名な先生たちの成果が盛り込まれており、理屈にかなっているので、信頼できます。

では、勉強頑張ってください。2000単語マスターしたら、一度ケンブリッジ英検にトライしてみてください。これを目標にすると最高レベルに達するまで余分な勉強をせずに効率よく学習できます。

日向先生、いつもためになる記事をありがとうございます。
自分で基本語を分析してみると、いまさらながら基本語を学ぶ大切さとともに難しさを痛感させられます。基本語は多義語でもあり、コロケーションも多くあります。2000語といっても、10通りの語義とコロケーションがあれば、あっという間に2万語レベルになってしまいます。一方、難しい語はバリエーションが少ないので、知識としてむしろ教えやすから日本の教育界は難語を教えたがるのではと変な勘ぐりをしてしまいたくなってしまいます。

先生が取り上げられた神崎先生の本はTOEICの基本語を中心に取り上げていますが、やはりTOEICを知り尽くした神崎先生だからこそできた芸当だと思います。基本語の中からTOEICで使われる用例を取り出すのは大変なことですから。

アカデミックボキャブラリーの連載大変楽しみにしております。普通の英語学習者にとっては、週一回のペースでも十分すぎると思いますので、先生の負担にならないかたちで続けていただければと願っております。

[返信]

こんにちは。Yutaさんのようなレベルの高い方に励まされると、頑張ろうという気になります。ありがとうございます。

ところで、基本2000単語、たしかに手を広げて行くと膨大になりますが、General Service List を作った Michael West は、old でも、How old are you? のように、youngの反意語としての使い方が38%、old wine のように new の反意語としての使い方が 18%と分類したことで知られており、要は中核的用法に絞ると、意外とすっきり勉強できます。その意味ではPODのような信頼性の高い簡便なもので語義を確認したら、あとは練習という方が効率的だと考えます。

日向清人先生。はじめまして。
神崎正哉先生が4月10日に出版された「新TOEIC TEST 出る順で学ぶボキャブラリー990 講談社」を知っておられるでしょうか。これは、新公式問題集のVol.1~Vol.3に出ているボキャブラリーを神崎先生が過去のニューバージョンTOEIC公開テストを全て受験して分析して、出た頻度が高い順に並べたものです。これなどは、今までの単語集と比べて格段の進歩が見られると思います。まだ、神崎先生から出版の報告を受けておられませんか。書店で購入すれば、1680円くらいで手に入ると思います。

[返信]

本文をきちんと読んでくださっていれば、後段にある「新TOEIC R TEST 出る順で学ぶボキャブラリー990という本を出されているぐらいで、TOEIC単語学習の世界で費用対効果アプローチを率先して実践されている神崎正哉先生」という部分が目に入っていたことだろうにと惜しまれます。

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