2014年8月10日
知られざる「否定疑問文」の使い方
文法書を見ても、否定疑問文は通り一遍の説明しかなく、コミュニケーションに役立ちそうもないので、「普通、こんな感じで使っている」という感覚をお伝えしたく、特集してみました。
▶ 作り方
否定疑問文は、Yes/Noで答えてもらう質問と同じ作り方をします。
BE動詞を含むセンテンスなら、BE動詞を先頭に出してから、その動詞の活用形に省略形のNOTを付けて、次いで主語です。
You're tired with all that work you did.(あれだけ働いたので、疲れているんだよね)→ Aren't you tired with all that work you did? あんなに働いて、疲れてないの?
NOTの省略形を使わないときは、Are you not tired with...というふうにNOTは主語の後ろに入れますが、非常にフォーマルな感じがします。
BE動詞以外の一般動詞を含むセンテンスなら、DOの助けを借り、時制や人称に合わせたDOの変化形に省略形のNOTを付けてから、主語、そして本動詞の順です。
You think this is ridiculous. (あたなはこれを馬鹿げていると思っている)→ Don't you think this is ridiculous? (これ、馬鹿げていると思わない?)
BE動詞以外の一般動詞に進行形や完了形にするためのBE, HAVEといった補助動詞あるいはCAN, WILLといった助動詞が付いているときは、その助動詞を先頭に出した上、NOTの省略形を付け、次いで主語、動詞と組み立てます。
You have never had a bad day.(あなたはツイてない日を経験したことがない)→ Haven't you ever had a bad day? Seriously? ツイてない日というの、経験したことがないの?本当に? ☞ 強めるためのeverは否定文の中ではneverになります。
▶ 使い方
(a) 意外だ、心外だ、失望したという気持ちを表す
期待はずれであることを強調するツールであり、時には、Haven't you finished the report yet? (まだ、報告書できていなのか)と相手を非難するときにも使います。
A: Don't you accept credit cards? B: Sorry, we don't take credit cards. We're a cash business. A: That's okay. Do you accept U.S. dollars? A: クレジットカード、使えないんですか? B: 申し訳ありません、うちはカード、扱っていないんですよ。いちは現金商売なものでして。
(b) 穏やかに反論する(「こうも考えられませんか」というニュアンス)
I think...と反論するより、Don't you think...?と相手の立場から「〜とは考えられませんか」という形で反論した方がずっと感じがよく、コミュニケーションを損ねずに済みます。
A: Solar power is the future. B: But don't you think solar power is actually more expensive than is commonly thought? A: You have a point there. But it's also a fact that photovoltaic panels have halved in price since 2008. A: 太陽光発電にこそわれわれの未来があります。 B: しかし、一般に思われているより太陽光エネルギーはコストがかかるとは思われませんか? A: いい点を突かれていますね。ただ、太陽電池パネルの値段が2008年以来、半分になっているというのも事実です。
(c) 相手がNOと言いそうなのを見越して使う
相手が NOと答える可能性が高いとき、予め否定疑問文で聞いた方が相手も、強く響くことを恐れずにNOと言えます。
A: Don't you like sushi? B: No, not really. A: No problem. Sushi is not the only Japanese food there is. A: 寿司、お好きですか。B: いやあ、ちょっと。A: 全然問題ありません。寿司だけが和食というわけではありませんし。☞ 同じ No, not really. でも、Do you like sushi? への返答だと、「いやあ、ちょっと」という感じではなく、「いいえ、そういうことはありません」的なきっぱり感が前面に出てしまいます。
▶ 否定疑問文に返事をする
混乱せずに、NOという要素が入っている否定疑問文にうまく対応するコツは、
相手に同調し、そのとおりと言いたいなら NO で切り出し
相手の言っていることを打ち消して、そうではないと言いたいなら YESで切り出すことです。
例えば、
Haven't you finished it yet? まだ終わっていないのか?
と聞かれた場合、
まだ仕上がっておらず、「そのとおり、まだ終わっていません」と言いたいなら、
No, I haven't. But I'm getting there. It'll be done in an hour. ええ、まだです。でも、もうすぐです。あと1時間もあれば出来ます。
というふうに、NOで切り出します。この場合、二つポイントがあります。ひとつは、相手の否定疑問文の一部を切り取って、No, I haven't.と、haven't を付け加えることです。もうひとつのポイントは、英語の作法として、相手の期待にそわない場合は、何かしら理由をつける、あるいは事情を説明するという暗黙の了解があるので、ここでも、「もうすぐです。あと1時間もあれば」と補足しています。
相手が否定疑問文で聞いてきた場合に、「そうではない」と打ち消すなら、例えば、設例のように「終わってないのか」と聞いてきた相手に対して、「そんなことはない、終わっている」と「逆否定」するなら、次のように、YESで切り出します。
Yes, I have. I have already handed it to your secretary. 済ませてますよ。秘書の方に渡してあります。
ここでもポイントは、ただの YES ではなく、相手の使った助動詞を繰り返していることです。ただ、「打ち消す」わけですから、相手が haven't と否定形で使っていたものをここでは have と肯定形に戻しています。
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