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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2009年3月31日

比較するときのツール(話し言葉vs書き言葉ーその3)

前回、「比較する」というジャンルで使う「つなぎ言葉」として、look like, in the same way, similarly, likewiseを挙げましたが、このうち、いかにも書き言葉という感じがするのは similarly です。自分だったら話し言葉の中で使うのは避けます。

ちなみに、ロングマン英英(アメリカ英語版)を見ると、W3とだけありますから、書き言葉の中での頻出上位3,000に入っている言葉であることがわかります。また、Ac と、570語のアカデミックボキャブラリーに入っている言葉であることも示されています。

それぞれが、どんな感じで使われるかをちょっと見ておきましょう。

This food looks like a mushroom of sorts.

In informal conversations, speakers often leave out the subject. So instead of saying, "I didn't go to the party," you say, "Didn't go to the party." In the same way, subjects and auxiliaries are left out: [Have you] Seen John lately?

He is a typical stay-at-home, and, similarly, his family members prefer indoors to out.

I will let you know if there are any developments. Likewise, I would like you to keep me informed.

★ Macmillan が示す比較のための定番ツール

Macmillan English Dictionary For Advanced Learners—New Edition (以下 Macmillan)が比較というジャンルで使う定番ツールとして示しているものを見て行くと、まず名詞としては、以下のものを取り上げています。

それと、参考情報として有用なので、ロングマン英和についている頻度を示す記号もいっしょにあげておきます。J とあるのは、JACET(大学英語教育学会)が発表している8,000単語の語彙表で、J6とあれば、6,000単語レベルで、けっこう使用頻度が低いということです。

resemblance J6
similarity J3
parallel J3
analogy J5

横道にそれますが、ちょっとおもしろいことに気づきます。どの単語も、ロングマン英英が S1-3, W1-3 で示している話し言葉の上位3,000、書き言葉の上位3,000のいずれにも入らないのに、どれもJACETの語彙表に入っているということは、入試で英語の問題を出題するような大学の英語教師がいかにこういう「凝った」単語が好きかを如実に表しているわけで、考えさせられます。まあ、本人たちがこの種の単語の出てくる本を読んでいる関係で、大学生にもこのレベルの単語を知っておいて欲しいと思うのでしょうが。

いずれにしろ、この4つの名詞は書き言葉にはぴったりだけれど、普通の会話で使うと bookish という感じがします。

次に形容詞としては、次の6種が重要だとしています。

analogous J7
common S2, W1, J2
comparable J4
identical J4
parallel J3
similar S2, W1, J1

こう見てくると、話し言葉の中でこの種の形容詞を使うとすれば、common と similar が無難だし、自然と言えそうです。目を引くのが、普通、話し言葉で使う単語は書き言葉では使いにくかったりしますが、common と similar は書き言葉でも1,000番内の使用頻度ですから、安心して使えるという事実です。

なお、Macmillanがいいなと感じる一つの理由ですが、この項ではボックスを設けて、comparable といっしょに使う副詞はこれとこれ、similarと組合わさる副詞はこれというふうに、コロケーションを教えてくれています。(誤植で、adverbsとあるべきものがadjectives になっているのが愛嬌です)

次に比較の際に使う動詞としては、以下の三つを取り上げています。

resemble W3, J3
correspond J3
look like

この項では、look like がもっぱら speech で使われ、academic writing ではあまり使われないことを示すグラフを出して、使うなら話し言葉やインフォーマルな書き言葉に限定すべしと注意を呼びかけています。逆に言うなら、話し言葉で resemble だとか correspond は使いなさんなということになります。親切な本です。

副詞では、以下のものを取り上げています。

similarly W3, J3
likewise J5 [「フォーマル」というラベルつき]
in the same way

この三つにつき Macmillan は academic writing では、similarly がダントツでよく使われ、in the same way や likewise の使用頻度がsimilarlyの1/6 程度であることを示すグラフを出しています。ということは、この三つの中では、話し言葉に使えるのは、in the same way だけとなります。なお大学の先生で会話の中でやたら likewise を使う人に会ったことはありますが、similarly はさすがにまだです。(なお、同じ likewise でも、Good to see you again. と言われて、Likewise! と応じるときの likewise は完全な話し言葉です)

最後に前置詞や接続詞のたぐいです。

like S1, W1, J1
as S1, W1, J1

話し言葉でもどんどん使えるというのは安心できます。Macmillan がどんな例文を挙げているかというと、こんな感じです。(下線はわたしが付けました)

The police, like most people, have stereotypical views as to the "typical" criminal or delinquent.

The "Celtic Belt" was heavily forested in those days, as was Italy in pre-Roman days.

★ まとめ

こうして見てくると、比較のジャンルでの定番ツールのうち、話し言葉の中で安心して使えるのは、以下のものということになります。

common
similar
look like
in the same way
like
as

英語でコミュニケートできるようになりたいという方は、ここで、「ふーん、そうなんだ」で終わらせることなく、是非、これを組み込んだ会話例を作ってみてください。たしかに日本では普段、英語を話す機会はないかも知れませんが、こういった「脳内リハーサル」が有効であり、いざというときに役立つのは各種の研究からも明らかな上、このような知識が定着することで、本を読んだり、DVDを観ているときも、「ああ、look like ね」とちょっとずつ楽しさが増してくるものです。

ちなみに、会話の中で何かを比較する際によく使う「話し言葉ならではの」接続表現としては以下のものをよく耳にしますし、自分でも使っています。

a. Yes, of course, we can fly. Alternatively, going by train allows you to see more of the scenery. (もちろん飛行機で行けるけど、飛行機じゃなくて電車という方が景色がもっと見られるじゃない)

b. I normally drink only white wine, but on the other hand, red wine goes better with this, for sure. (いつもは白ワインなんだ。そうは言っても、これには間違いないなく赤ワインの方がいいしね)

c. Seems we don't have much of a choice here. At the same time, we mustn't forget that we still have a budget to stick to.(選択が限られている感じだな。しかし、同時に予算に縛られていることも考えておかないと)

d. I tell you, the new "ramen" shop was awful. Then again, you can't expect much for a 300-yen "ramen," can you? (言っておくけど、あの新しいラーメン屋はひどいよ。もっとも、300円のラーメンだからね、もともとそうは期待できないってのがあるよね)

今は基本的なビジネス英単語の使い方を網羅した辞典の原稿で手一杯なのですが、一段落したら、上のような定型的な接続表現を会話のメカニズムに即して体系的に整理して、「比較する」ときのツールはこれ、「話をふくらませる」ときのツールはあれというふうにまとめ、さらに音声を使った練習問題を工夫したいと思っています。

次回は、コントラストをつけるときの言い方を見て行く予定です。

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