ベネッセ:名簿業者を書類送検 不正競争防止法違反疑い
毎日新聞 2015年03月30日 11時50分(最終更新 03月30日 12時14分)
通信教育大手「ベネッセホールディングス」の顧客情報漏えい事件で、警視庁生活経済課は30日、不正競争防止法違反容疑で逮捕・起訴された元システムエンジニアの松崎正臣被告(40)から情報を買い取り転売したとして、東京都江東区の名簿業者「セフティー」の社長(45)と法人としての同社を同法違反(営業秘密の取得・開示)容疑で書類送検した。社長は「営業秘密との認識はなかった」と容疑を否認しているが、同課は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。東京地検立川支部が刑事処分を判断する。
また同課は、松崎被告が持ち出した情報が、セフティーなどを経由し最終的に全国500業者以上に拡散したことを明らかにした。
書類送検容疑は昨年5月21日、ベネッセの顧客情報の保守管理を担当していた松崎被告から営業秘密である顧客情報約897万件を購入し、7月1日と2日の2回にわけ、うち約1万6300件を熊本県の教育関連会社に電子メールで送信し転売したとしている。
ベネッセは顧客情報の中に、外部流出した時に自社の名簿と分かるように同社の通信教育講座「進研ゼミ」にちなんだ「進研太郎」名義などのダミー情報を混ぜていたが、同課がセフティーのコンピューターサーバーを解析したところ、転売時にダミー情報を削除した記録が残っていたという。さらに、名簿業者の間で価値の高い子供の情報が大量に持ち込まれたのに不正入手を疑わないのは不自然とみて捜査していた。
社長は今月上旬、毎日新聞の取材に「『進研太郎』名義があったかは記憶になく、不正流出には気付かなかった」と話した。松崎被告は「セフティーには『イベントで集めた情報』などと説明した」と供述している。【林奈緒美】