2014年1月23日
IT文の使い方
ITの使い方をまとめてみました。
▶ 何が起きているかを言うIT文
自分たちのいる部屋が寒すぎたり暑すぎる場合、
It's too cold/hot. 寒すぎるね/暑すぎるね。
と言ったりしますが、これは <It is 何々>という器に「寒すぎる」とか「暑すぎる」というコンテンツを盛り込んだセンテンスです。
ポイントは次の項で説明する It's raining. (雨が降っている、雨だ)と違って、What's too cold/hot? と聞くことができ、その場合、The room is too cold/hot.と具体的に何が起きているかを答えられることです。
同様に、天気についても、
It's cloudy/windy. 曇っているね/風が強いね。
というふうに形容でき、What's cloudy/windy? と尋ねられたら、The weather's cloudy/windy.と答えられます。
▶ 主体なきIT+ING文
前項の It's too cold.であれば、What's too cold? に対して、The room's too cold.と答えることができますから、coldの主体が何であるかわかります。これに対して、
It's raining. 雨が降っている。
It's snowing. 雪が降っている。
のような言い方では、What's raining? What's snowing?と聞いても意味がないことに示されるよう、主体がありません。"is raining" というコメントを付けるために、形式的なトピックとしてのITを無理やり置いていると言えます。
しかも、It's too cold.なら、The room's too cold.とITの部分を他の言葉で置換えれるのに、It's raining.をThe sky's raining.にすると英語ではなくなってしまいます。
こうした主体なき IT + ING文は、客観的な論評でもよく使われます。例えば、「原子力は持続可能性のあるエネルギー源ではないと言われている」なら、
It is said that nuclear power is not a sustainable energy source.
ですが、ここでも、Itが何かを具体的に指しているわけではありません。やはり "said that" 以下のコメントを付ける対象がないと英語の作りとして困るので、無理やり IT というテーマを置いているのです。
なぜ無駄なITを入れるのか: 無駄にITは入れなくてもよさそうですが、しかし、そうなると、例えば「雨が降っている」と「雨が降っていますか」という平叙文と疑問文の区別がつかなくなってしまいます。It is raining.とIs it raining? なら区別できますが、Is raining.とIs raining?では、区別が困難です。
このパターンに属する代表的なものは、上の「雨/雪が降っている」といった天気がらみのもの以外、時刻、距離、寸法などがあります。ご覧のとおり、ITの部分は内容がないので訳す必要がありません。
What time is it? It's two o'clock. 何時?2時。
When was it? It was Monday the 20th. いつの話? 20日、月曜日。
How far is it? It's a three hours ride on the bullet train. どのくらい遠いの? 新幹線でおよそ3時間。
How long is it? It's about 10 centimeters long. 長さはどのくらい? 約10センチ。
▶ 重い部分を先送りするIT文
英語は重いフレーズが先頭に来る「頭でっかち」を嫌うので、それを文末に移動する一方で、英語にとって大事な主語の位置が空席とならないようITで埋めます。
「彼女の関心が金であることは明白だった」
That her interest was in money was plain. 彼女の関心がお金であることは明白だった。
↓
It was plain that her interest was in money.
特に以下の例のように使う動詞が appear, follow, happen, seem 等であるときは、こうしたIT構文によるのが一般的です。動詞こそBE動詞でないものの、いずれも重い部分が文末にまわされている点で共通しています。
It appears that safety procedures were not followed. 安全確保のための手続きが守られなかったようだ。
She may not be talkative but it doesn't follow that she is not listening. 彼女はおしゃべりではないかもしれないが、だからと言って人の話を聞いていないとは言えない。
It's not that I don't like watching TV, but it just so happened that I didn't have time to watch that program. テレビを見るのが嫌いとかそういうのじゃなくて、たまたま時間がなくてその番組を見そこねただけだ。
It seems that nobody knows what happened. 誰も何が起きたのか知らないようだ。
この他、節(主語+述語動詞のフルセンテンス)が動詞のING形など以下の要素で始まるときも同様です。
▶ INGで始まる節
It's a major challenge trying to strike a balance between work and life. 仕事と自分の生活をうまく両立させるのはけっこう大変な課題だ。← Trying to strike a balance between work and life is a major challenge. での重い下線部を先送りしています。
MEMO 但し、It's no use getting angry.(怒ったってしょうがないじゃないか)のような定型句は別として、一般的にはING形は主語の位置に持ってくる方が普通で、「飛行機で移動する方が車よりよほど安全だ」と言いたいとして、It is much safer flying than driving.よりはFlying is much safer than driving.とする人の方が多いと言えます。
▶ TO不定詞で始まる節
It's unrealistic to expect advertisers to check the truth of advertisements. 広告内容の正しさをチェックするよう広告業者に期待するのは現実的でない。← To expect advertisers to check the truth of advertisements is unrealistic.での重い下線部を後ろに送っています。
▶ WH-語で始まる節
It was unclear where she had contracted the disease. どこでその病気にかかったのかは定かでない。← Where she had contracted the disease was unclear. での重い下線部を後ろに送っています。
MEMO 会話では重い部分を省略するのが普通です。重いフレーズを文末に送るためにITを使うパターンは、会話の場合は、そこでの文脈からわかるので、いちいち先送りされているフレーズを言わずに省略するのが一般的です。例えば、ひとしきり仕事と家庭の両立を論じた後であれば、何の話かわかりますから、It's a major challenge. と言って済まし、 trying to strike a balance between work and lifeの部分は省略したりします。
▶ 新情報を前面に立てるためのIT文
あるセンテンスの一部をピンポイントで抜き出した上、その部分を新情報として前面に立てるため、IT文を利用できます。
An old boy friend asked Jill out to dinner last night. ゆうべ、昔のボーイフレンドがジルを夕食に誘った。
という一文では、動詞の主体(主語のold boy friend)、動詞の客体(目的語のJill)、補足情報(副詞句last night)のいずれも強調されていません。
しかし、IT文を利用して以下のような作りにすると、主語のold boy friendにスポットライトを当てて新情報として浮き上がらせることができます。
It was an old boy friend that asked Jill out to dinner last night.
次に原文のJIllを新情報として前面に出したいなら、こういう言い方をします。
It was Jill that an old boy friend asked out to dinner last night.
また、原文のlast nightを特に強調したい新情報として目立たせるならこうなります。
It was last night that an old boy friend asked Jill out.
ご覧のとおり、 It is/wasでのBE動詞の次に来る部分が新情報としてハイライトされていますが、次の例のように、続く形容詞節の中でハイライトするようなこともあります。
We had a delicious lobster soup for dinner last night. No, it was a soup made from crab shells. ゆうべは夕食でおいしい伊勢海老のスープをいただきましね。違うよ、カニの殻から作ったスープだよ。
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