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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2005年5月31日

形容詞の並び順:なぜa big nice cardboard boxとは言えないのか

店頭に並んでいる英文法書のなかには目次を見ても形容詞が独立の項目として取り上げられていなかったりします。そのせいか、ネットで公開されている英文日記その他日本人の書く英文を見るとおよそ形容詞の並び順というのものに目が向けられていません。確かに名詞の前に形容詞がいくつも並ぶといったことはあまりありません。また、Michale SwanがPractical English Usageで言っているように、むずかしく、複雑なテーマなのでしょう。また、そのせいか文法書によっては、細かいところでの順番が違っていたりもします。

しかし、そうは言っても、最大公約数的な理解はあるわけで、この部分で間違ってしまうと格好がつきません。例えば、David CrystalはThe Cambridge Encyclopedia of The English Languageの中で、いかにもありそうな、a nice big cardboard boxという、名詞に先行する形容詞が三つという例を挙げて、a big nice cardboard box、a cardboard nice box、a nice cardboard big boxとは言えないことにつき、誰も疑問を抱かないとしています。そこで、今回は、こういった形容詞の並び順がどう決まるのかを見ていきます。ここでは主として、Swanの前掲書での説明を軸に、これを他の資料で確かめるアプローチで臨みます。

★ 主観的判断の方が客観的記述よりはが先というルール

一般にabsolute, perfect, wonderfulといった主観的判断を表す形容詞は他に先行します。こういう見地からすると、上のa nice big cardboard boxも、なぜniceが一番先なのかがわかります。


★ 「大きさ、長さ、高さ」の方が「色、産地、材質、用途」より先というルール

主観的判断の次に来るグループは客観的記述ということになりますが、この客観的記述はさらに名詞を形容する「大きさ、長さ、高さ」と、名詞の種別ないしタイプを指す「「色、産地、材質、用途」に分けて考えることができ、二つのグループどうしでは、「大きさ、長さ、高さ」の方が「色、産地、材質、用途」より先に来ます。

このルールの適用により、the glass round tableとは言えず、the round glass tableと言うべきであり、また、a modern, big brick houseとは言えず、a big, modern brick houseと言うべきだとされています。

それでは、「色、産地、材質、用途」より先に来るべき「大きさ、長さ、高さ」のグループはどこが違うのでしょうか。違いは、「大きさ、長さ、高さ」のほうは、veryあるいはextremelyなどで修飾できる、つまりgradableであり、程度の差を言うことができるのに対して、「色、産地、材質、用途」の方は、一般にvery Spanishとは言えないことに表れているとおり、Spanishか、そうでないかのいずれかであり、程度を論じられるものではないということです。

このように「大きさ」と「材質」が並ぶなら「大きさ」の方が先ということで、a nice cardboard big boxとはならずに、a nice big cardboard boxになるわけです。

なお、この「大きさ、長さ、高さ」といった形容は、他に新旧、温度の高低なども入りますが、並び順もこのとおりで、例えば、AlexanderのLongman English Grammarは、a large old table, a large round table, a large old round table, a huge ice-cold strawberry milkshakeといった例を挙げています。

★ 「色、産地、材質、用途」の中での順番

大きさなどの客観的形容に続く、「色、産地、材質、用途」といった種別ないしタイプを指す形容詞どうしは、この順番で並びます。従って、「イタリー製の革ジャケット」なら、a leather Italian jacketではなく、an Italian leather jacketになりますし、ガラス製のコーヒーテーブルなら、a coffee glass tableではなく、a glass coffee tableになります。

このように、何色か、どこ製なのか、材料は何か、何のために使うのかを表す形容詞はこの順に並びますが、どうしてこの順番になっているのかについては、そこでの名詞にとって、よりcrucialなもの程、名詞に近い位置に来ると説明はされます。しかし、どうして、用途の方が材質よりcrucialと言えるのか今ひとつわかりません。ただ、実際上、この順番で使われるのは確かなので、やはり書いたりする場合は、これに従わざるを得ません。

★ 数量との関係

数量は形容詞に先行するので、six large eggsとなり、large six eggsではありません。また、序数その他順番を示すものは基数に先行するので、「最初の三日間」と言いたい場合、the three first daysとは言わず、the first three daysになります。

★ まとめ

形容詞の並び順については、二つおさえておけば十分だと思います。一つは、主観的判断の方が先に来るという点、もう一つは、そのあとに続く、客観的描写については、veryなんとかという具合に程度の差を言えるものが先に来るという点です。しかし、実際問題としては、自分で英語を書く際に三つも四つも形容詞を並べる必要が生ずるとは考えにくく、従って、冒頭で取り上げた、a nice big cardboard boxを一つのモデルとして頭に入れておけばたいていの用は足りることでしょう。

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Comments

初めまして。いつも楽しく拝読させて頂いています。曖昧にしてしまいがちなポイントをいつも明快に解説して下さっているので、非常に勉強になります。

今回は一つ質問させて頂きたくて投稿しています。「数量との関係」の項で、「large six eggsとなり、six large eggsではありません」とありますが、これはタイプミスでしょうか?例えば、This recipe calls for four large eggs.のように、数詞がlargeの前にくるのではないでしょうか。変な例文ですみませんが、例えばThere were two large women and five skinny guys.のように、「数詞」「形容詞」「名詞」の語順になるのが通常であると、私は記憶しております。

お忙しいところすみませんでした。素晴らしいブログの更新、毎日楽しみにしております。これらもよろしくお願い致します。

[返信]

単純な書き違いです。ご指摘ありがとうございます。正しくは、ご指摘のとおり、six large eggsです。どうぞこれからもよろしくお願いします。

日向清人

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