2010年11月25日
Which/Whatを使った冠詞の使い分け
The Cambridge Encyclopedia of the English Language というイラスト入りの大著の中で、常に頭の中に残っている写真が二枚あります。Which と What の使い分けを示したもので、これ自体気が利いているのですが、のちのち冠詞の使い分けにも通じていることを発見し、その後の自分自身の冠詞の使い分けの中核となっています。
この二枚の写真、What が open choice つまり indefinite meaningの場合に使われ、Which が限られた選択肢を与えられた上での definite meaning の場合に使われることを示そうというもので、一枚の写真は、ドライブ中のカップルがボンネットの上で地図を広げて、「どのルートで行こうか」と相談している図です。ここでは、open choice ですから、
What road shall we take?
ということになります。
次の写真は、カップルが分岐点で車から降りて、行き先別の道路標識を見上げている図で、ここでは選択肢が限られていますから、
Which road shall we take?
となります。
こうした what = indefinite meaning, which = definite meaning という構図は、そのまま冠詞の使い分けに応用できます。
と言うのも、冠詞の元々の役割は、そこでの名詞が one of X's を表しているのか、つまり没個性的なカテゴリーを表しているのか、それとも具体的に特定している that X 、つまり個性のある「あのX」を表しているのかの別を示すというものだからです。
そして、名詞がカテゴリーを表しているときには、不定冠詞かゼロ冠詞(不可算名詞の場合ならびに可算名詞を冠詞ナシの複数形で使う場合に冠詞を付けずに使うこと)であり、名詞が特定のXを指しているときは定冠詞を使うわけで、これを what = indefinite meaning, which = definite meaning という構図を使って言えば、カテゴリーのときなら、indefinite meaning ということで、what を使うわけで、従って、What is this? と言えるようなとき It's a laptop computer. または It's coffee. と言い、他面、Which one of X's? と言えるようなときは、It's the one I gave you yesterday. というふうにthe を入れることになります。
と言うことは、ある名詞を使おうという場合に、カテゴリーということで不定冠詞/ゼロ冠詞だろうか、それとも、具体的に特定しているXということで定冠詞だろうかと迷うようなとき、ひとつの便法として、What is this? と聞けるたぐいの話か、あるいは、Which one of X's? と聞ける場面かを考えると、おのずと答えが見えてくるケースが多いと言えます。
まとめに代えて言うと、結局、冠詞の使い分けは、classification vs identification の問題であり、前者なら What is this? という質問への答えになっているはずであり、後者なら、Which one of X's? という質問への答えになっているはずだということです。
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- [冠詞の使いわけ]
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非常にいい記事ですね、冠詞の使い分けの勉強になります。
[返信]
おほめにあずかり、光栄です。これからもどうぞよろしくお願いします。
- R
- 2010年11月28日 02:33
ちょうど今週のはじめに冠詞について習ったところだったので興味深かったです。
私の先生は「冠詞のルールは64種類あるけど、全部説明してたら帰れなくなってしまうので全部は説明しません」と言ってました。結局4種類だけ勉強しましたが、その4種類も『classification vs identification 』で説明できるので根本はそれなんだろうなと思いました。
64種類と聞いたときは冠詞がよりこわい存在になってしまっていましたが、日向先生の説明で少し気持ちがラクになりました。
[返信]
何でもそうですが、網羅的にやろうとする本質が希薄になってしまうわけで、自分の頭の中ではカテゴリーなのか、特定なのかという構図しかありませんし、それで足りています。