2014年6月28日
動詞に続くTHAT:省略できるとき、できないとき
「これはできるはずだと思います」と言いたい場合、くだけた言い方である doable を使うとして(改まった言い方をしなければならない場面なら feasible を使います)、
I think that this is doable.
というふうに動詞に続けて that を入れて言う人もいれば、
I think this is doable.
という具合に that 抜きで言う人がいます。
そこで、辞書でthinkの項を引くと think (that) と、thatを入れるか入れないかは任意であることが示されます。ところが、どういう場合に入れて、どういう場合に省略できるのかまでは説明されていません。
結論から言えば、話し言葉の世界では、基本的に that 抜きで通します。ただ、あとで説明するとおり、一定の場合には、例外的に省略せず、that をしっかり入れて言う必要があります。(アカデミック・ライティングの世界では、thatはすべて入れるのが原則です)
原則はTHAT抜き
I think...のように自分が何を考えているかを伝える動詞、あるいは She said...のように人が何を言ったのかを伝える動詞に続けて that 節で何を考えているのか、あるいは何を言ったのかという、その内容を説明する場合、that 節の冒頭の that は省略されます。いちいち言わなくてもわかるからです。逆に言うと、I think that...とわざわざ that を入れて話をされると、普通、聞かないものだけに耳障りということにもなりえます。
ただ、THATを省略するか否かについては多少なりとも、感覚的なものが働きます。
一般に believe, think, say, といった単純なものは省略する方が多数派です。端的に言えば、General Service List に載っているような基本的な動詞のときは、THATが省略される傾向にあります。「ポピュラー」な動詞の場合は、例えば、They believe (that) the world will end next month. (彼らは来月、この世の終わりが来ると信じている)では、thatがなくても、聞いている方は believe thatと言っているんだと簡単に頭の中で「復元」できるからです。
他面、本質的にはsayの一種であっても、allege, assert といった書き言葉的で、非日常的なものを話し言葉に持ち込むときは、that は普通、省略されません。日常的でない分、「彼女の申し立てによると、夫が襲ったということだ」の場合、She alleges her husband attacked her. より、She alleges that her husband attacked her. と言うのが多数派です。実際、英語のテレビニュースなどを見ていると、allege, contend といった書き言葉が持ち込まれるときは、きちんと THAT を言っています。
この点、Merriam-Webster's Essential Learner's English Dictionaryで調べると興味深い傾向が浮かびあがります。allege と assert を引くと、allege that, assert that となっており、allege (that), assert (that) ではありませんから、基本的に that は省略するなという姿勢がわかります。他面、contend を引くと、contend (that) となっているので、省略可とわかります。しかし、他の辞書、例えば、Longman Advanced American Dictionary で同じ単語を引くと、ちょっとだけ扱いが違います。
Longman の S1-S3に収まっている話し言葉の頻出3000番に収まっている動詞であって、THAT節を付けられるものの場合、THAT は省略できるという姿勢で臨むのも楽でいいのかも知れません。
三つの例外
このように動詞をthat 節(名詞節)で受ける場合、導入部の that は省略しますが、Longman Student Grammar of Spoken and Written Grammarによると、三つの例外があります。
例外の一は、that節がいくつか並ぶ場合です。例えば、プレゼンなどで、以下のようにthat 節をいくつか並べたりしますが、こういった場合は、thatを省略しては何を言っているかわからなくなるので省略できません。
I've attempted to explain here that last year was the strongest year ever in our 50-year history, that our strong balance sheet has enabled us to make massive investment in research and development, and that we have a strong pipeline of new products. 訳:以上でご説明しようとしたのは、昨年度の実績が50年前に貨車が始まって以来最高の業績であったこと、健全な財務体質のおかげで膨大な資金を研究開発に投じてきたこと、それに強力な新製品候補をいくつも抱えているということです。これは be208の146番です
例外の2は、受動態の場合です。例えば、「3ヶ月内に販売目標を達成できなかったらこの製品は打ち切られることもあると聞かされた」と言いたい場合は、次のように言うのが普通です。
I was told that the product may be discontinued if the sales target is not met within three months.
I was told the product...という、that 抜きの言い方はしないということです。
例外の3は、動詞とthat節の間に名詞や代名詞が入るケースです。こういった場合は、以下のように、thatを省略しないのが普通です。
We have already notified them that we would have no choice but to resort to legal channels.(先方には、法的手段に訴える他ない旨を既に知らせてある)
ここでは、We have already notified them we would...とすると、notifiedという動詞のうしろに them という余計なものが入っているので、ここから先がnotifyされた内容ですよと合図するものがないとわからなくなってしまいます。
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この記事に関連して、基本的な質問があります。
動詞に続くthatがある場合、例えば
I think that / ...
I think / that ...
のどちらで区切って読む(話す)のでしょうか。ずっと疑問
に思っていたので、この機会によろしくお願いします。
[返信]
ネイティブスピーカーはたいてい、一気にしゃべっているのでわかりにくい感じですが、切るとすれば、I think / that...とするのが基本です。
この雑記帳の以下の記事「(続)英語の切れ目:is や that の前に休止符を入れる」(10/29/05)で詳しく説明してありますので、ご覧ください。
http://eng.alc.co.jp/newsbiz/hinata/2005/10/is_that.html