[ 特集 ] 2000年12月20日 第339号
犠牲者たちに送る鎮魂曲, 各国非政府機構と国連等に伝えられる
こういう場面を想像してみよう. 戦場のまん中で震えている、若い兵士. 彼の軍帽には、赤い日の丸(日本国旗)がついている. 兵士は慰安所を出入りして、朝鮮から連れてこられた慰安婦に‘人間的な’愛を感じる. 火力で武装した彼の隊は敵に向かって無差別乱射をするが、竹槍を持ったみずぼらしい独立軍の何名かが、結局、彼を含む部隊員全員を‘残忍に’抹殺する. 仮に、日本の人気歌手がこういう内容のミュージックビデオを作って、爆発的な人気を博したならば? たぶん、韓国の新聞はこの荒唐無稽な歴史歪曲を、大文字特筆し、若いハッカーたちはサイバー戦争を起こすかもしれない.
<ご存知でしょうか>の没歴史性と欠礼を越えて
(写真/今年最高のレコード販売を記録した チョ・ソンモの <ご存知でしょうか>.しかし、ベトナム戦の真実からは遥かに離れていた)
今年、韓国大衆音楽界では、実際にこういう事が行われた. 歌詞とは関係なく、ベトナム戦を連想させる内容で綴ったチョ・ソンモの<ご存知でしょうか>ミュージックビデオは、最近、ある音楽チャンネルが‘今年のミュージックビデオ’として選定した. この曲が収録されたチョ・ソンモの第3集アルバムは、200万枚以上売れて、今年最高のレコード販売を記録した. どちらかといえば、韓国人は<ご存知でしょうか>ミュージックビデオの華麗なスペクタクルと、兵士に扮したチョ・ソンモの物悲しい表情に感歎して、無意識にもう一度ベトナム人を傷つけていることに気がつかない.
それで、今回出されたレコード <ごめんなさい ベトナム>は、ベトナム戦の犠牲者たちに送る鎮魂曲であり、<ご存知でしょうか>が犯した‘無心な欠礼’に関して、ベトナムの同時代人たちに伝える謝罪のメッセージでもある.
このレコードは、さる7月、ソウル スンシル大ハン・ギョンジク記念館で開かれた、ベトナム戦争犠牲者のための鎮魂公演‘サイゴン, その日の歌’に参加した音楽人が主軸になって作られた.
“ベトナム国営放送社から、さる公演の記録を特集放映したいという提案を受けました. それで、もう一度きちんとやってみようということで、志を同じくした音楽人が集まりました.”レコード企画者の パク・チウム教授(順天大)と、ウォン・イル, ノ・ヨンシム, オオブプロジェクト, イ・ジサン, 打楽グループ コンミョンが、10月から録音作業に入っていったこのレコードの5曲の収録曲は、皆 純水脹作曲等だ. <ごめんなさい ベトナム>(パク・チウム, キム・ヨンナム, 清い国子供合唱団), <潰されたジャガイモ>(オオブプロジェクト), <ベトナムから来た手紙>(イ・ジサン)等、公演で紹介された曲の再作業を通じて、完全に新しい曲のとして整えられ、<涙花>(ウォン・イル), <曲り角で>(ノ・ヨンシム)などは、新しく作曲されたし, イントロとアウトロでコンミョンの敍情的な演奏も追加された.
レコードの製作過程は、そんなに順調ではなかった. 何よりも、資金問題が日程進行をさえぎった. 最小限2千万ウォン以上はかかるレコード製作に集まったお金は、ベトナム戦争真実委員会から出された300万ウォンと周囲から出された後援金200万ウォン. 参加音楽人の多大なる労苦と録音スタジオの広い雅量がなかったら、不可能だった.
元来、さる11月、米国クリントン大統領のベトナム訪問に合せて、二国の首班に並んで送ろうとしたこのレコードは、予定より出版が遅れはしたが、国内のみだけでなく、世界へ行くことになる. 意味は違うけれど、ソテジやH.O.Tにもできなかった全世界進出をすることになる、最初の韓国レコードになるだろう. 非産業的流通を前提に製作される2千枚限定版中の1千枚が、米国のホワイトハウスをはじめとする全世界政府と非政府機構, 国連, そして平和運動団体に渡される.
ベトナム現地公演も企画中
(写真/レコード作業をするパク・チウム教授.一枚のレコードを通じて、戦争犠牲者たちに対する謝罪運動の国際的連帯のつながりを作るという夢を見ている)
“このレコードは、全世界に、20世紀の最悪の侵略戦争のうちのひとつであるベトナム戦の真実を知らせる意味だけではなく、指向点を失ってさ迷う平和運動にとって新しい転機になることができると思います.” ベトナム戦の真実を訴える一枚のレコードを通じて、戦争という人類共通の問題を引き出して、戦争犠牲者に対する米国と韓国等、加害国の謝罪運動のための連帯のつながりを作るというのが、パク・チウム教授をはじめとする参加音楽人と‘ベトナム戦真実委員会’のしっかりした夢だ.
国内では市場に発表される1千枚のレコードも、既存の商業的流通経路を排除して、インターネットやNGO, 大学街書店等、‘欲しい人’が自ら探して求めることができるようにし, もう少し健康な流通構造を実現するという計画だ.
“数十万の人々が<サンデーソウル>を読んで喜ぶ時に、リ・ヨンヒ教授の<転換時代の論理>を読んだ1千名の人々が私達の社会の民主化の主軸になりました. <ごめんなさい ベトナム>も、やはりチョ・ソンモの歌ぐらい大衆的な愛を受けられなくても、21世紀平和運動における<転換時代の論理>のような意味で残ることができるだろうと思います.”
製作に参加した音楽人は、レコード市場に発表を記念し、ベトナム現地での公演も企画している. ‘戦争を越えて、平和に’というタイトルで開くことになるこの公演は、昨年、全財産をベトナム真実委員会に寄託した ムン・ミョングムおばあさんの遺言に よって、ベトナムで‘平和歴史館’の起工式が開かれる日、ベトナムの音楽人と共に進行される予定だ(レコード購入及び後援問い合わせ:ベトナム戦真実委員会 02-3675-5810).
キム・ウンヒョン記者dmsgud@hani.co.kr
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