キャンドゥ、「100円均一ではない店」の勝算
東洋経済オンライン 3月30日(月)10時45分配信
100円ショップ大手のキャンドゥが、3月27日、渋谷のファッションビル、パルコに新業態となる「OHO! HO! (オホホ)」を開店した。
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取り扱うのは、20〜30歳代女性向けのナチュラル雑貨で、価格帯は100〜4000円と幅広い。メインの価格帯は300〜500円だ。キッチンやダイニング用品を中心に、約2000アイテムをそろえ、従来の100円雑貨にはない質感を出しながらも、500円以下のリーズナブルな価格で訴求する。
■ 価格よりも趣味性を重視
キャンドゥの浜岡信一・執行役員経営企画室長は「従来の100円ショップの延長線ではなく、ゼロベースで新業態を開発した。価格帯ありきではなく、趣味性の高い20〜30歳代女性のマーケットを開拓することを狙った。店員も既存店からの再配置ではなく、新規で採用した」と説明。老若男女の日用雑貨を扱う既存100円ショップではリーチできなかった市場の獲得を目指す。
キャンドゥが新業態を展開する背景には、主力の100円ショップが長らく停滞を抜け出せていないことが背景にある。
100円ショップ業界はバブル経済崩壊以降の不景気を背景に本格的に市場が立ち上がり、2000年代前半まで急成長を続けた。しかし2000年代半ばからは業態としての目新しさが薄れたほか、他業態との競争も激化、国内市場は飽和状態が続いている。
こうした中、キャンドゥは業界大手のポジションこそ維持しているものの、2004年から売上高はほぼ横ばいで、店舗数もほとんど増えていない。業界のガリバー・大創産業(ダイソー)との競合のみならず、スーパー内へ小型店出店で成長したワッツや、いち早いPOS導入や雑貨の強化で高成長を続けるセリアの追い上げも響いた。
キャンドゥも業績の停滞を受け、大創のように高価格帯商品への展開や海外進出も行った。ただ、思うような効果を上げられず、海外は撤退、高額商品も整理して100円主力に回帰している。
■ 均一価格業態に限界
また、2013年にはロゴや店舗レイアウトなどを刷新、従来の日用品店然とした店作りから、明るく、おしゃれ感のある店に変えているところ。こうした店作りではセリアに一日の長があり、キャンドゥは追いかける立場だ。店舗の刷新も新店からということで、まだ効果は見えていない。
停滞する業績をテコ入れする新戦力として期待がかかる「OHO! HO!」。均一価格で割安感を訴求する業態が、成長力と競争力の限界から、価格・商品の多様化に踏み切るのは自然な流れだ。
ただ、価格にバリエーションがあるだけに、価格に対する商品のインパクトは薄れてしまう。それだけに、100円ショップ以上に、割安感を打ち出した品ぞろえができるかが、成功のカギを握りそうだ。
丸山 尚文
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