電通ブルーが、インターネット接続を使わないチャットアプリ「PandeChat」をリリース

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2015.3.30

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南京錠の形をしたスマートロック「246(ニーヨンロック)」で知られる、電通のイントラプレナーシップ目的子会社の電通ブルーは今日、インターネット接続不要で匿名のメッセージ交換ができるチャットアプリ「PandeChat」をリリースした。iOS で利用できるほか、近日中には Android 版も公開する予定だ。

PandeChat は BLE (Bluetooh Low Energy) を用いてアプリ間で匿名チャットができ、通信ができるのは、ユーザ同士の距離が概ね半径15m以内にあるときのみ。渋谷のハチ公前やライブ会場など、人が集まる場所で知らない人同士が手軽に匿名でメッセージ交換をすることができる。

将来は「モノにコメントを残す技術を実装したい」(電通ブルーのディレクター小西啓一郎氏)ということなので、「ルイーダの酒場」のようなメッセージを中継するしくみが、街中の人が集まる場所に配されるかもしれない。安全上問題がなければ、飛行機や新幹線の中など、一定期間見知らぬ者同士が密閉空間に滞留するような機会に適用してみるのも面白いだろう。

電通は最近、「全国避難所データベース」を在日外国大使館や地方自治体向けに提供を開始するなど、これまでに災害時対策向けのサービスを複数公開している。「PandeChat」を開発する電通ブルーとは担当部局が異なるため電通内における連携の有無は不明だが [1]、インターネット回線が不通時であっても、PandeChat を通じてユーザ間通信を繰り返し、避難に関する情報を拡散していくようなユースケースも想像できる。普段は偶発的な出会いからのコミュニケーションを助けるアプリとして機能し、非常時にはライフセーバーとしての役割も担えるかもしれない。

先に香港で発生した普通選挙を求める学生デモ(通称・雨傘革命)では、PandeChat と同様にインターネットを介さないチャットアプリ「FireChat」が多用され、不特定のデモ隊参加者間のコミュニケーション確立に威力を発揮したことは記憶に新しい。


  1. 「全国避難所データベース」はコミュニケーション・デザイン・センター担当、電通ブルーはデジタル・ビジネス局傘下。)

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Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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