はじめまして。どうしても聞きたいな、と思って送らせてもらいます。
10年ぶりぐらいで、という企画だそうですが、とても良い事ですね。
先生のファンにとって(もしかしたらそうでない人にも)、とてもありがたい機会です。
さて私がお聞きしたいのは、「本屋」の行く末についてです。私自身、本が好きで……少しでも関わりたくて仕事にしてしまうぐらい好きなんです。
でも、最近は全く元気がない(つまり売れない)現状です。先生の本だけは別なんです、ご存知のとおり。「本」が世の中から無くなってしまう事は100%ないと信じていますが、「本屋」の方は世の中からなくなってしまいそうな勢いです。20年書店員をやってきましたが、いろいろな物事が減る一方なんです。まだまだ底に届かない感じで落ちるばかりです。先生は「本屋」って今後どうなると思ってらっしゃいますか? 私は自分の子供や孫の世代に「本屋」を見せてあげられますかね? 写真見せながら、昔話しなきゃならないですかね?
(M.K、男性、43歳、書店員)
僕も書店がもちろん好きで、よく行くのですが、その数は年を追って少なくなっていくようです。アメリカでも書店の数は着実に減っています。キンドルとかネット通販とか、そういう方式で本を読み、本を手に入れる人が多くなっているからでしょう。まずインディペンデントの書店が消えていき、それからチェーンのブックストアも淘汰されていきました。残念なことです。ふらっと書店に行って、ぶらぶら本を見てあてもなく時間をつぶすというのはとても素敵なことなんですがね(今はまたインディペンデントの書店が少し息を吹き返しているようですが)。
でもときどき思うんですが、毎月出版される本の数って多すぎませんか? あまり数が売れないから、点数を多くしないわけにいかないんだという話も耳にしましたが、それにしてもあまりにも多すぎる気がします。とくに新書とか文庫本とか、自社の棚のスペースを確保するために、どんどん数を出していく。当然中身は薄くなっていく。出版業界が自分で自分の首を絞めているような部分もあります。こう出版点数が多いと、書店の作業だってたいへんですよね。もう少しおちついた書籍環境をつくっていくことも大事じゃないかという気がします。
本屋さん、いろんな難しい問題があるのでしょうが、どうか気長にがんばってください。
村上春樹拝