ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

山本一郎氏と『統計学が最強の学問である』の
西内啓氏が目指すデータ分析のあるべき姿(下)

西内 啓
2015年3月30日
1
nextpage

切れ味するどいブログやコラムで有名な山本一郎氏が、シリーズ40万部を突破したベストセラー『統計学が最強の学問である』の著者・西内啓氏らとともにデータサイエンス専門企業を立ち上げ、IT業界やメディアで話題を呼んでいる。
そのサービスの開始に伴い、お二人に会社設立の経緯や提供するサービスの内容、目指す社会像などを深く語ってもらった。(構成/崎谷実穗)

データ分析は、現場でこそ行なわれるべき

――データビークルが提供する分析ツール「データダイバー」は、どういった層がターゲットになるのでしょう。

やまもと・いちろう
株式会社データビークル取締役CFO、イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社代表取締役。慶應義塾大学法学部政治学科卒。ベンチャービジネスの設立や技術系企業の財務・資金調達など技術動向と金融市場に精通。数量モデル、データ分析と未来予想のスペシャリストとして、米マイナーリーグや日本各球団の解析も行う。著書に『ニッポンの個人情報』(翔泳社)、『ネットビジネスの終わり』 (Voice select)、『情報革命バブルの崩壊』 (文春新書)などがあるほか、フジテレビ系『とくダネ!』コメンテーターや報道番組のリサーチ業務、東京大学と慶應義塾大学で設立された「政策シンクネット」では高齢社会対策プロジェクト「首都圏2030」の研究マネジメントも行う。

山本 最終的なゴールとして、実際に私どもが使っていただきたいのは、企業のデータ分析担当の方というよりは、店長さんや各店舗についているバイヤーさんなど、現場の方々ですね。

西内 現場で簡単にデータ分析のサイクルを回せる、というのが一番の特長ですから。

山本 現場の方々がデイリーの売上を見ながら「この商品はもう少し売れるはずだから、本部から多めに仕入れよう」といった判断ができるようになればいいなと。いちいち、本部の指示を待たなくてもよくなります。

――コンビニの店長さんなども対象でしょうか。

山本 まさにそうです。最近みんながだまされて買ってる恵方巻きは、販売量を本部が決めて、数量計画を立てて、それに見合う予約受付期間を用意して、告知して、売るという方法をとっていたんですよね。その期間で捌けなかったら、店のみなし在庫になってしまう場合もある。そういう、決められた期間で売らなきゃいけないものに対する商品戦略が、店全体の商品構成上、非常に動かしづらいものになっているのが現状です。ボジョレーヌーボーとかバレンタインチョコとかクリスマスケーキとか、季節連動で硬直化した商品がいっぱいあるんですよ。だから、いままでは予約受付で割引つけたりして、実質値下げで対応してきた。でも、本当の店の「商い」というのは「地域に独居老人が多い」「この日に運動会がある」といったきめ細かな機会にどういうニーズを見つけるかですからね。

――実際の店舗の需要よりも、本部の売上計画に振り回されてしまう。

山本 データからお客様像を割り出して、もっと店舗ごとに、仕入れ量や在庫などの最適値を把握できるようにならないと、廃棄ロスは減らないんですよね。廃棄ロスの問題は、生鮮食品を扱う企業はどこも解決できず困っています。

西内 在庫の廃棄コストは、商品価格に含まれてますからね。消費者の不利益にもなる。

山本 データからお客様の動態が把握されて、品質改善や適切な在庫管理に役立つなら、社会的にもすごくいいことですよね。ポイントカードなどを使ってお客様騙して個人情報を吸い上げて、需要を予測するということも始まっていますが、それも結局中央集権型なんですよ。やりたいことは分からないでもないけど。どの店舗でどういうものが売れるかを本部で勝手に予測してお勧めしても、効率は一定以上には上がりません。

1
nextpage
slecial-information
関連記事
クチコミ・コメント

DOLSpecial

話題の記事

西内 啓(にしうち・ひろむ)

東京大学医学部卒(生物統計学専攻)。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバードがん研究センター客員研究員を経て、現在はデータを活用する様々なプロジェクトにおいて調査、分析、システム開発および人材育成に従事する。著書に『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)、『1億人のための統計解析』(日経BP社)などがある。


News&Analysis

刻々と動く、国内外の経済動向・業界情報・政治や時事など、注目のテーマを徹底取材し、独自に分析。内外のネットワークを駆使し、「今」を伝えるニュース&解説コーナー。

「News&Analysis」

⇒バックナンバー一覧