米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画に関し、林芳正農相は28日、翁長雄志知事が沖縄防衛局へ出した海底作業停止指示を一時的に無効とする意向を固めた。30日にも発表する。一方、県側は防衛局への岩礁破砕許可の取り消しや訴訟も視野に対抗措置の検討に入った。翁長知事は28日、那覇市で開かれた議員団集会で「いかに理不尽な形で沖縄の問題が扱われているかを確認し、新基地は造らせないという大きなうねりをつくってほしい」と述べ、政府の対応を批判した。
翁長知事は集会で、移設阻止に向けた知事権限の行使などを念頭に「長い道筋の中で、じわりじわりと地殻変動が起きる。それを実現するために頑張りたい」とも語った。
知事は23日、大型ブロックが岩礁破砕の許可区域外のサンゴ礁を損傷している可能性が高いとして、防衛局に対し、辺野古沿岸での海底作業停止を指示した。
これを受け、防衛局は24日、知事の指示を「違法」と主張。行政不服審査法に基づき、水産資源保護を担当する農相へ不服審査請求書を提出した。また、審査結果(裁決)が出るまで緊急的に知事の指示を無効とする執行停止申立書も提出した。農相は申し立てを認める方針だ。
県は27日、農相へ「防衛局の申し立ては不適法で、却下されるべきだ」と主張する意見書を提出した。しかし農相は「知事の指示は正当性がない」とする防衛局の主張を妥当とする判断に傾いた。
農相の判断に基づき県の指示はいったん失効し、防衛局は辺野古沿岸部での海底ボーリング調査を続けるとみられる。
農相が今後の裁決でも正式に知事の指示を取り消す可能性があり、県は取り消し無効を求める仮処分の申し立てが可能かどうかも検討している。
県は、30日までに作業停止の報告がなければ、岩礁破砕許可を取り消す可能性があると防衛局に伝えており、実際に取り消しに踏み切るかどうかや時期についても調整している。
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