年初に「2015年のメディアづくりに参考になりそうなスマホや動画に関するデータ10選」という記事を書きました。以降もメディアやスマホ、動画視聴、コマースなどさまざまな分野における調査が出ています。気になるものをメモしていたので、基本的な部分から具体的なものまで、簡単に紹介。なんとなく、スマホを中心とするメディア環境がざっくりつかめるのではないかと思います。
1. PCからのインターネット利用者数減少が約5000万人でストップ
(出典:ニールセン)
ニールセンが3月に発表した「Digital Trends 2014」。そのなかでは、PCとスマホのインターネット利用者の推移のデータがあり、PCからのインターネット利用者数は約5000万人で減少がストップしていることがわかります。一方のスマホは4500万人を超えるなど微増が続いています。
(出典:ニールセン)
ほかにも上の表にもあるPCの利用目的(とスマホ利用での目的)も興味深いです。PCでは「必要な知識・情報を得るため」「新しい知識・情報や面白い情報を得るため」「商品やサービスを購入するため」の3つが上位を占めています。スマホではそれらがトップ10には入っているもののギャップがあるのは媒体の特性を理解するうえでもおもしろいですね。
2. SNS利用の現状:スマホからのSNS利用者は4243万人(2014年に700万人以上増)
(出典:ニールセン)
ニールセンが1月末に出した調査によれば、「スマートフォン利用者の92%がSNSを利用」とのこと。PCからのSNS利用者が3442万人なのに対し、スマホでは4243万人と2014年に700万人以上増えています。
利用サービスについては、LINEとFacebookがそれぞれ3400万人前後の利用者を抱えているそう。2014年に最も利用者数を伸ばしたサービスはInstagram。広告も芸能人の利用が増えている気がするので、2015年もビジュアルコミュニケーションは注目ですね。
(出典:ニールセン)
3. 高校生のスマホ利用:女子高校生の1日の平均使用時間は7時間
(出典:デジタルアーツ)
さきほど小学生のスマートフォン利用を紹介しましたが、こちらの資料では高校生のデータに触れたいと思います。調査の母数が少ないものの、男女平均で96%。女子高校生の1日の平均使用時間は7時間、さらには女子高校生の約4人に1人が「0時から3時」に使用しているとのこと。この調査での女子高校生のインスタグラム利用率が35%である一方、男子高校生のそれが6%というのもおもしろいです。
4. 小学〜高校のネット利用:コミュニケーション目的が89%(高校生)
(出典:内閣府)
内閣府が2月中旬に出した、平成26年度「青少年のインターネット利用環境実態調査」は満10歳から満17歳に対する調査。母数のケタは異なるものの、先述の資料とも重なる部分が多いです。
高校生の95.8%がインターネットを利用し、そのうち63.3%がスマートフォンで2時間以上ネットを利用しているとのこと。高校生に関してデバイスの利用目的は、コミュニケーションが89%、音楽/動画視聴が80%弱。小中学生になるとゲームの割合が多くなっています。また保護者のインターネット利用についてもデータを発表していて、スマホ利用は7割弱で、各デバイスでの平均利用時間は109.2分となっています。
小学生に関しては、ICT総研が1月末に発表した「小学生のスマートフォン利用実態調査」によれば、小学生の携帯電話利用者は3人に1人(スマホ利用者は6人に1人)とのこと。小学生のスマートフォン利用者数は2018年度末には144万人にまで増加すると予想され、全児童数の22.5%が利用することになるようです。
5. 10代のスマートフォンの接触時間が、PC、テレビを抜いてトップに
(出典:ジャストシステム)
ジャストシステムによる『モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査』(総集編)では、12月度調査において、10代のスマートフォンの接触時間が、PC、テレビを抜いてトップとなったという象徴的なデータが示されています。「11月度調査では、10代女性の1日あたりのスマートフォン利用時間は200分を越え、スマートフォンは通話のためのツールではなく、一つのメディアとしてポジションを獲得した年」との分析もあります。
6. ニュースキュレーションアプリ:スマホ上で「SNS」「ゲーム」「動画」アプリ利用が1日平均約2時間
(出典:ジャストシステム)
同じく『モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査』には、ニュースキュレーションアプリについての項目も存在します。2014年はスマートニュースやグノシー、アンテナ、ラインニュースなどが成長し、2015年にグノシーが上場と、盛り上がっている市場です。
全国の15歳から69歳の男女1,100名を対象の調査ですが、利用率はYahoo!ニュース、スマートニュース、ラインニュースという順。スマホ上では「SNS」「ゲーム」「動画」アプリに1日平均約2時間、10代では3時間以上使うというデータも出ており、2015年もさらなる時間の取り合いが繰り広げられていくことでしょう。
7. ニュース/ポータルサイト・企業サイトが購買に与える影響
(出典:アドビ システムズ)
アドビ システムズが日経BPコンサルティングに委託して実施した調査によれば、ニュース/ポータルサイトや企業のウェブサイト、ソーシャルメディアが購買行動に与える影響が大きくなっているという結果が出ています。逆にテレビや新聞、雑誌は軒並み激減しており、この傾向はしばらく続くことでしょう。
また、テレビ・新聞・雑誌を見て気になった商品の最新情報をWebサイトで調べる消費者が88.3%いるとのこと。つまり、テレビ・新聞・雑誌からすぐに行動に移らないという見方もできそうです。
8. 動画視聴:ミュージックビデオが44%でトップ、「ながら視聴」は61%
(出典:オプト)
オプトによる「動画視聴行動調査2015」によれば、動画サイトで視聴した動画の分野のトップは「ミュージックビデオ」で調査対象1200名の44%となっており、昨年比12ポイント増です。そのほか、おもしろ、お笑い、映画、ニュースなどが続いています。
(出典:オプト)
また、ながら視聴に関しても"年末年始"限定のデータを出していて、61%となっています。そのときのデバイスは56%がノートパソコン、44%がスマホと回答。さらに上のグタフはながら視聴のシチュエーションを示しており、ノートパソコンではメールしながら、スマホではLINEをしながら、という違いが出ています。
9. この1年でスマホから動画視聴が約1000万人増加
(出典:ニールセン)
動画についてはニールセンの「ビデオ/映画」カテゴリの最新利用動向をチェックしてみましょう。この1年でPCからの動画視聴が減少し、2015年1月時点でスマホが3701万人、PCは2682万人となり、スマホから動画視聴が1000万人近く増えていることがわかります。
(出典:ニールセン)
各スクリーンからの「YouTube」「ニコニコ動画」「GYAO!」という箇所では、GYAO!のみPCからの視聴が増加しています。共通点は、一訪問あたりの利用時間はスマートフォンよりもPCの方が長いということでした(ニコニコ動画では、スマホからの利用時間がの3分、PCからは27分で約9倍の差がある)。
3サービス全てにおいて、「PCは男性、スマホは女性」の割合が高くなっていることも興味深いポイントだと思います。
10. 音楽視聴:「動画アプリ」からの視聴が56.1%とトップ
MMD(モバイル・マーケティング・データ)研究所はスマホでの音楽視聴についてのデータを発表しています。iOSユーザーの32.9%、Androidユーザーの20.2%が「ほぼ毎日」スマートフォンで音楽を聴いているとのこと。また、視聴方法については「動画アプリ」が56.1%、「無料音楽配信アプリ」が33.2%、「購入したCDからスマートフォンに取り込んでいる」が32.7%という結果に。有料/定額はまだまだ少ないようです。
11. スマホ広告:2014年のスマホ広告市場規模が3,008億円(2015年は3,903億円との予測)
(出典:CyberZ)
サイバーエージェント子会社CyberZの調査では、2014年のスマホ広告市場規模が3,008億円で、前年比162%と高成長だったことが分かっています(前年予想時は2,304億)。この背景には、「スマートフォンの特性を活かした広告媒体や広告フォーマットの登場により、スマートフォン向け広告商品の多様化が進み、広告主のスマートフォンにおけるプロモーション環境は大きく改善」といったことがあるようです。
ちなみに、2015年にはスマホ広告市場は3,903億円と予測されています。ニュースアプリやキュレーションメディアのマネタイズとしても運用されることが多いスマホのネイティブ広告市場も右肩で上がっていくとのことです。
(出典:CyberZ)
12. アプリ経済:2013年度は約8200億円規模、年次90%成長
(出典:Google Japan)
グーグルと野村総合研究所(NRI)がまとめた「インターネット経済調査報告書」2014年度版は、インターネットが日本経済全体にどのように貢献しているかを把握することができる貴重な資料です。
調査では、スマホから生まれたビジネス領域を新しく「アプリ経済」と捉え、2013年度における規模は約8200億円という数字を発表。2014年時点で56.5 万人分の雇用創出をしており、アプリ経済が2011~2013年度にかけて、年平均成長率90%と高成長を遂げていると分析しています。
13. コンテンツマーケティング動向:実施理由の67%がブランド認知、半数以上がアウトソース
(出典:エコンテ)
エコンテによる「コンテンツマーケティング調査レポート(2015年版)」が、コンテンツマーケティングの現状をつかむのに最適な資料です。まずは実施理由。ブランド認知がもっとも多く67%、顧客獲得が50%となり、そのほか見込み客の育成やエンゲージメントが続いています。
(出典:エコンテ)
実際にどのような手法でアプローチしているかというと、ソーシャルメディアや自社ブログが多い結果となっています。ソーシャルメディアのなかでは、コンテンツマーケティングにフェイスブックで取り組むという回答が7割という結果に。6割がフェイスブックの効果を感じているとのことです。
(出典:エコンテ)
また、おもしろかったのが、コンテンツをアウトソースしているかどうかというもの。半々くらいとなっていて、デザインを外部に手がけてもらうことがいちばん多い結果となっています。
そのほかにもコンテンツマーケティングのむずかしさ、過去の情報発信/今後の情報発信、実施効果をどういう軸でおこなっているのか。「コンテンツマーケティング調査レポート2015年版」はこれからコンテンツマーケティングを導入する際の説明や提案に向けても有益な資料になると思います。
14. ハッシュタグ:約4割が利用経験あり、気になる商品や情報を検索するため
(出典:アライドアーキテクツ株式会社)
アライドアーキテクツ株式会社が発表した「女性のハッシュタグ利用状況と利用しているSNSについての実態調査」はこれまでのデータよりも切り口が具体的なものですが、非常に興味深いです。36%がハッシュタグ利用経験があり、利用SNSはツイッターが83%とトップ。
「気になる商品や情報を検索するため」が6割を超えていることから、ECなどでももっと活用されるようになるのでしょうか。実際、食品や化粧品の検索を経験している人は4割を超えているとのことです。
(出典:アライドアーキテクツ株式会社)
理由については、「検索が簡単なため」(28%)、「情報が整理されているため」(19%)、「リアルタイムで情報を得られるため」(16%)、「見ているだけで時間が潰せるため」という順になっています。
15. スマホからのEC利用:「キーワード検索を利用」は77%
(出典:ゼロスタート)
ゼロスタートが3月に発表した「スマートフォンでのEC利用調査」によれば、消費者の62%がインターネット上のショッピングモールを利用しており、40%がECサイトのアプリやスマートフォン向けサイトを利用しているとの結果。
スマホからのEC利用にともない、「スマートフォンでの購入頻度が上がった」(42%)、「商品情報の比較頻度が上がった」(35%)、「店舗に行く前・店舗内でスマートフォンで商品検索してから購入」(20%)というデータも出ています。サイト内での行動では、「キーワード検索を利用」が77%との結果も注目です。
おまけ:雑誌広告の広告注目率は45%、精読率は約30%
(出典:ビデオリサーチ)
最後におまけとして、紙媒体のトピックをひとつ。ビデオリサーチによる第2回雑誌広告効果測定調査「M-VALUE」の結果を紹介(21社36誌、合計646素材の広告を対象に調査)。
掲載された広告に「注目」した(確かに見た)人の割合を示す「広告注目率」は、36誌646素材平均で44.7%でした。
また、読者のうち、広告を「確かに見」て「内容まで読んだ/じっくり見た」人の割合を示す「広告精読率」の平均は28.9%でした。
広告に注目した読者の66.6%が広告商品・サービスに「興味関心」を抱き、53.0%が「購入・利用意向」を示しているとのこと。ウェブ広告でもこのような調査を探してみたいですね。
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ひとつひとつのデータをバラバラに見ることはあっても、なかなかまとめて見ることは少ないのではないでしょうか。まとめて見ることで、意外な関連が見つかったり、全体感の理解につながったり、次のトレンドを読むことにつながると考えています。なにか参考になれば嬉しいです。
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