伊賀鉄道と近畿日本鉄道(近鉄)、三重県伊賀市の3者は3月27日、伊賀線の経営形態を公有民営方式に移行することで合意した。

伊賀線は、伊賀市内の伊賀神戸~伊賀上野間16.6kmを結ぶ鉄道路線。1944年以降は近鉄が運営してきたが、赤字経営のため経営体制の見直しが図られることになり、2007年10月1日から上下分離経営に移行。近鉄と伊賀市が出資する伊賀鉄道が列車の運行を引き継いだ。施設は引き続き近鉄が保有し、伊賀鉄道は近鉄に施設の使用料を払って列車を運行している。赤字は近鉄と伊賀市が穴埋めしている。

3者によると、現在の経営体制は2016年度を期限としていることから、2017年度以降の枠組みを議論する勉強会を2013年に設置して検討を重ねてきた。その結果、「今後、事業環境はますます厳しくなる」などとして、公有民営方式へ移行することになった。

公有民営方式は上下分離経営の一種。自治体などの公的機関が鉄道施設を保有し、これを民間企業などの運行事業者に無償で貸し付ける。運行事業者が施設の維持コストを負担する必要がないため、経営の改善に大きな効果があるとされる。

今後は2015年度中に地域公共交通網形成計画を策定し、2016年度中には鉄道事業再構築実施計画の認定を申請。2017年4月から公有民営方式に移行する計画だ。移行に際しては近鉄が施設と車両を伊賀市に無償で譲渡する。これにより伊賀市が施設を保有し、伊賀鉄道は伊賀市から施設を無償で借り入れて列車を運行する体制になる。
《草町義和》