モスクワ=駒木明義
2015年3月29日17時43分
ロシアの野党指導者ネムツォフ元第1副首相の暗殺から1カ月が過ぎた。イスラム風刺画への反感が動機だったという当初の見方には、疑問点が次々に浮上。真相は不明だが、ロシア南部チェチェン共和国を巡るプーチン政権の暗部が事件と深く関わっている可能性が浮かび上がっている。
ネムツォフ氏は2月27日深夜、モスクワ中心部の赤の広場につながる橋の上をウクライナ人女性と歩いていたところを背後から射殺された。
これまでに逮捕された容疑者は5人。実行犯とみられているのが、チェチェンに駐留する内務省軍「セーベル(北)大隊」の副隊長だったザウル・ダダエフ容疑者だ。当初は殺害を認めたと報じられていたが、弁護人によると、その後共犯とされる4人も含めた容疑者全員が、捜査への協力を拒んでいるという。裁判所は、5人の勾留を当面4月28日まで許可している。
「イスラム風刺画が動機」という可能性を指摘したのは、プーチン氏の後ろ盾を得てチェチェン共和国を牛耳るカドイロフ首長だ。ダダエフ容疑者の逮捕後、ネット上に「(容疑者は)仏週刊紙シャルリー・エブドや風刺画を擁護する意見にショックを受けていた」と書き込んだ。
だが、この動機には不自然な点が多い。
まず、ネムツォフ氏は、風刺画を擁護する意見を積極的に発信していたわけではない。ブログに「『風刺画家にも責任がある』という意見は殺人を正当化している」と書いたことがあるぐらいだ。
さらに、ロシア紙モスコフスキー・コムソモーレツによると、容疑者が今回の暗殺に使われた車を入手したのは、シャルリー・エブド紙が襲撃されるよりも前のことだった。
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