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通信自由化の原点に戻り利便性高めよ

2015/3/30付
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 日本電信電話公社(NTT)の民営化から4月で30年を迎える。この間にインターネットや携帯電話が普及し、我々の生活も便利になった。だが通信会社や国内端末メーカーは集約が進み、外国勢の力が強まっている。通信の多様化を狙った自由化の原点に戻り、様々なサービスを見直す時だ。

 1985年の自由化はNTTの独占を崩し、新規参入の促進を狙った。鉄道や高速道路、電力などの企業が参入したが、結果的にはNTT、KDDI、ソフトバンクの3社に集約され、寡占による料金の高止まりが指摘される。

 端末メーカーは携帯電話ブームに乗り、一時は家電メーカーを含め20社近くあったが、ほぼ5社に集約されてしまった。日本独自の仕様にこだわり、スマートフォン(スマホ)時代の到来を見誤ったためだ。人気が高いのは米アップルなど外国ブランドの方だ。

 通信市場は30年で激変したが、消費者には恩恵もあった。家庭の通信費は増加したものの、いつでもどこでも家族や友人と連絡がとれるようになり、ネットによるコミュニティーが作られた。通信速度が飛躍的に高まり、ネットで動画も見られるようになった。

 こうしたサービスは通信技術が電話網からインターネットに移ったことによるが、企業向け市場ではまだ十分に移行できていない。受発注用のファクスやクレジットカードの信用照会端末などはいまだに電話網に依存している。

 海外ではスマホによるクレジット決済など金融サービスへのネット利用が進んでいる。産業界でも機器の情報をネットで集め、ビッグデータとして効率化に役立てる動きが活発だ。日本も今後はネット技術を社会インフラとして広く活用していくことが重要だ。

 特に2020年の東京五輪に向け、公衆無線LANサービスの整備は喫緊の課題だ。海外から来る外国人の最大の不満は無料ネット環境の不足だという。集客したい店舗や施設に無線基地局を置き光回線で結んでいくことで、そうした需要に応えられるだろう。

 その意味でNTTが光回線網を開放したことは評価したい。今後はコンビニや銀行など、通信会社でなくてもNTTから光回線を借りることで、自らの事業と融合した新しい通信サービスができる。そうした多様で便利な新しいサービスを生み出すことが、新たな通信の自由化策となろう。

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